巨大ブラックホールと銀河の関係

どっちが先?巨大ブラックホールと銀河の誕生

 銀河の星の数と、銀河中心に鎮座する巨大ブラックホールの質量には関係があることが分かっています。 巨大ブラックホールが大きければ大きいほど、その銀河の星が多いのです。
 "ニワトリが先かタマゴが先か?"
 ブラックホールが大きいから星がたくさん作られたのでしょうか? それとも星がたくさんできたから中心のブラックホールが大きくなれたのでしょうか・・・? (「星形成銀河と巨大ブラックホール」)。

 最近、エルバス博士らの研究グループがヨーロッパ南天文台ESOの大型望遠鏡VLTを使って、あるクェーサーを観測し、この論争に決着をつけるかもしれない事例を発見しました。

 普通、クェーサーは銀河中心にある巨大ブラックホールだと考えられています。
 にもかかわらず、50億光年ほど離れたところにあるクェーサーHE0450−2958を観測したところ、それ自身は銀河の中になくむき出しで、少し離れたところに盛んに星を作っている銀河が見つかったのです。
 エルバス博士らはHE0450−2958の影響を受けて、この銀河の星形成が盛んになっているのではないか、と考えています。 そして、近い将来、巨大ブラックホールHE0450−2958は、たくさんの星をもった銀河の中に取り込まれることになるのではないか、と考えています。

 つまり、星がたくさんできたから中心のブラックホールが巨大になれたのではなく、巨大なブラックホールがあったから銀河の星形成が盛んになった、というのです。

 「この推論の正しさを証明するためには、もっともっと別の事例を探す必要がある」と研究者らは話しています。


※原文は英語ですがESOのプレスリリースをご覧ください。

2009.12.17記(石坂

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