水が合わない・・・

ロゼッタによってナゾが深まる地球の水の起源

 世界的権威のある科学雑誌「サイエンス」が2014年十大ニュースの1位として選んだのは、ヨーロッパ宇宙機関ESAの探査機ロゼッタ、彗星着陸でした。
 ロゼッタはチュリモフ・ゲラシメンコ彗星の探査を続けていますが、地球の水の起源について、これまでの仮説に疑問を投げかける発見をしました。

 46億年前、誕生したばかりの地球はマグマ・オーシャンに覆われ、非常に熱かったと考えられています。 その熱で、もともと含まれていた水などの揮発成分はすべて失われたでしょう。
 現在の地球に存在する水は、その後、小惑星や彗星によってもたらされた、とするのがこれまでの仮説です。
 この仮説が正しければ、地球の水の組成(重水素/水素比)と、小惑星や彗星の水の組成とは一致するはずです。

 ところが、探査機ロゼッタの観測によると、チュリモフ・ゲラシメンコ彗星の水の組成は、地球の水の組成とは大きく違っていました(右図)。 それどころか、チュリモフ・ゲラシメンコ彗星の水の組成は、似たような軌道をとる他の彗星(“木星族”)とも、一致しませんでした。

 一方、図を見て分かるように、小惑星や、一部の彗星は水の組成は、地球と一致していました。 ですから、小惑星が地球の材料になった、というのはOKですが、彗星については、地球の材料になったものと、そうでないものに分かれている、ということになります。

 どうやら、太陽系の水の歴史は、これまで考えられてきたような単純なものではなさそうです。
 いったい、地球の水は、どこから、どうやってきたのでしょうか・・・?ナゾが更に深まっています。


★原文は英語ですが、ESAのプレスリリースをご覧ください。

2014.12.23記(石坂

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