冷たい月のホットな海

氷の衛星の地下に、温かい海が広がっている!

 木星や土星などの大きな惑星のまわりには、たくさんの衛星(「月」)があります。
 その中には、海があり、生命の生存が可能かもしれないものもあるようです。

 生命生存可能性のあるものとしては、木星の衛星エウロパが代表的ですが、そのほかに、たとえば、同じく木星の衛星ガニメデや土星の衛星エンケラドスが挙げられます。
 
 今回、ガニメデに発生したオーロラの変動をアメリカ航空宇宙局NASAのハッブル宇宙望遠鏡HSTが観測し、内部に海がある可能性を指摘しました。
 また、ヨーロッパ宇宙機関ESAやNASAの土星探査機カッシーニの観測により、エンケラドスの地下にも温かい海がありそうなことが確かめられました。

(1)木星の衛星ガニメデ

 ガニメデは直径が5,262kmもあり、太陽系の衛星群の中では最大、惑星の水星よりも大きいです("惑星級"の大きさ・・・!)。
 その表面は氷で覆われており、とても冷たいですが、厚さ160km以上の氷の大地の下に、深さ100kmもの海(塩水)がありそうなのです。
 ガニメデには磁場がありオーロラが発生します。
 ガニメデは木星の強い磁場の中を動いていますので、もし電気を通す物質(塩水は電気をよく通します)が中にあれば、磁場が誘発され、オーロラの発生場所が変化します。 
 今回、HSTはガニメデに発生したオーロラの位置の変化を測定し、内部に液体の海がある可能性を指摘したのです。

(1)土星の衛星エンケラドス

 エンケラドスは直径が500kmほどと小さいですが、氷を噴き出す間欠泉があることが分かっています。
 今回、カッシーニの観測データを詳しく調べた研究者らが、エンケラドスから噴き出したものの中に、大きさが2〜8ナノメートルという極微小な二酸化ケイ素(シリカ)の粒が含まれていることを発見しました。
 シリカの粒は地球では、地下から噴き出す熱水と海底の冷水が出会う場所:熱水鉱床で作られます。
 さらに、間欠泉はメタンを含んでいることも分かりました。 メタンも海底の熱的作用によって合成されることがありますし、有機物の主原料である炭素を含むもっとも単純な物質でもあります。
 熱水鉱床は地球生命が誕生した場所かもしれない、とも言われています。
 もしかしたら、もしかしたら、エンケラドスの"海"でも、生命が発生しているかも・・・!と空想が膨らみます。


★原文は英語ですが、
  (1)ガニメデについてはHSTのプレスリリース
  (2)エンケラドスについてはESAのプレスリリース
をご覧ください。

2015. 3.14記(石坂

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