サマータイムは有効か?

夏は昼が長い?

 前回は春分日の日の出入り時刻について調べてみました。 今回は昼の長さの変化についてみてみましょう。
 春分を過ぎると昼間はどんどん長くなっていき、夏至の日(6月21日ころ)にもっとも長くなります。 夏は朝が早く、夕方が遅く、昼がとても長い、という印象があります。

 でも「夏に昼が長い」というのは当たり前なのでしょうか? また日本全国平等に昼が長くなるのでしょうか?

 夏至・冬至の全国の日の出入り時刻をまとめると下表のようになります (「こよみハンドブック」(大阪市立科学館編)の 「夏至・冬至の日の出・日の入り時刻(64ページ)」もご覧ください)。

夏至(6月21日ころ)冬至(12月21日ころ)昼の長さの差
場所日の出日の入昼の長さ(A)日の出日の入昼の長さ(B)A−B
那覇(沖縄)5:3719:2413時間47分7:1117:4210時間31分3時間16分
福岡(九州)5:0819:3214時間24分7:1717:159時間58分4時間26分
高知(四国)4:5619:1914時間23分7:0517:039時間58分4時間25分
岡山(中国)4:5119:2014時間29分7:0616:599時間53分4時間36分
大阪(近畿)4:4519:1414時間29分7:0116:519時間50分4時間39分
名古屋(東海)4:3819:1014時間32分6:5516:459時間50分4時間42分
東京(関東)4:2519:0014時間45分6:4716:319時間44分5時間01分
仙台(東北)4:1319:0314時間50分6:4816:219時間33分5時間17分
札幌(北海道)3:5519:1715時間22分7:0116:049時間03分6時間19分

 
 夏至の日では日の出は北(東)に行くほど早くなります(北海道は沖縄より2時間近く夜明けが早い)。 しかし、日の入りは日本全国ほぼ同時です。 昼の長さも北(東)へ行くほど得をすることになります(東京は沖縄より1時間も昼が長い)。

 反対に冬至の日は全国ほぼ一斉に日の出をむかえ、北(東)の方から日の入りをむかえていきます。

 夏至と冬至の昼の長さの差でいうと、北海道と沖縄では、3時間もの違いがあることがわかります。
 日の出の早くなり方、日の入の遅くなり方は全国同じではなく、昼の長さの変化も全国一律ではないのです。

 これは日本列島が南−北ではなく、北東−南西に伸びているからです。
実線は日の出、破線は日の入の同時刻線(「こよみハンドブック」より)
 そんな日本の風土を無視して、夏期に時計を全国一斉に1時間進めるサマータイムを導入しようという動きがあります。
 サマータイムは関東にとっては便利かもしれませんが、西日本では弊害の方が多くなります。 とても不平等な制度なのです。

 サマータイム推進派は「先進各国で導入されているから」といいますが、 各国の事情(緯度や国の形状)が異なっているので他国と比較するのは意味がありません。
 また、導入の理由とされている「省エネ」や「余暇の有効利用」はサマータイムを導入しなくても 各自の努力でなんとかなる(そして、サマータイムを導入しても実現しない)ものばかりです。

 本当にサマータイムは有効なのでしょうか・・・?  なんのために必要なのでしょうか・・・?


※参考:サマータイムについては「サマータイム問題を考える」もご覧ください。

2005.3.16記(石坂

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