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 ★★★ 世界天文年2009 ★★★


「星界の報告」表題

「星界の報告」

 1610年に刊行されたガリレオ・ガリレイの「星界の報告」は3月12日付のメディチ家コジモ2世への書簡から始まっています。 その中でガリレオは自らが望遠鏡で発見した、木星をめぐる星(今日で言う"ガリレオ衛星")をコジモ2世への敬愛から「メディチ星」と名づけたことを報告しつつ、望遠鏡によって拓かれた新しい宇宙の姿への感動と驚きを抑えられない筆致で描いています。 望遠鏡を発明したのはガリレオ・ガリレイではありませんが、ガリレオは発明から10ヶ月後に自ら望遠鏡を作り上げ、それを空に向けました。1609年のことです。 当時は「telescope(望遠鏡)」ではなく、「perspicillium(見通すもの)」と呼ばれていました。

 ガリレオが初めて望遠鏡で見た天体は何だったのでしょうか?

 「星界の報告」には、「最初にを見た」とあります。
 月を観察したガリレオは詳細なスケッチを多数残しています。 上弦の月(撮影:石坂千春) ガリレオは月の表面が決して滑らかではなく、急峻な山や崖に覆われていることに非常に驚きました。 それまで天空(宇宙)は神の住まう世界であり、神の領域は球と円によって構成される、文字通り"完璧"なものである、と考えられていました。
 しかし、ガリレオが望遠鏡で月を観察すると、明らかに天空に属するはずの月が"完璧"どころか、地上と同じように凸凹で"不完全"な世界だったのです。 望遠鏡という道具を手に入れたガリレオは新しい発見を次々と重ね、人々の世界観・宇宙観を変えていきます。 しかしそれは同時に、自らの信念「科学的真実」に従うか、それとも権力に従うか、という厳しい選択をガリレオに迫ることにもなるのです。
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世界天文年2009

 さて、2009年はガリレオが望遠鏡を天空に向けてから400年となることを記念した「世界天文年」です。 世界天文年の目的は「世界中の人々が一人ひとり空を見上げ、宇宙の中での地球や人間という存在に思いをはせ、自分なりの発見をすること」です。
 "International Year of Astronomy"を「"国際"天文年」ではなく「"世界"天文年」とするのは、参加主体が「国」ではなく「個人」だから、すなわち、みなさん自身が「世界天文年」の主役だからです。 その理念がスローガン「The Universe: Yours to Discover(宇宙〜解き明かすのはあなた〜)」に表れています。
 この世界天文年2009では、世界中でさまざまなイベントが行われることになっています。 日本でも、全国一斉「1000万人の大観望会!」ができないかなぁ…などと夢みています。
 まだ少し先の話ですが、みなさんも2009年にはさまざまな機会に空を見上げ、宇宙と親しんでください。

皆既日食!2009年7月22日

 実は、世界天文年である2009年に、継続時間が6分を超える今世紀最高条件の皆既日食(→北海道大学・日食情報データベース)が起こります。それも、この日本で!
 日本、といっても皆既になる場所(→NASA日食情報)はほとんどが海の上で、陸地ではトカラ列島と硫黄島、それと屋久島と奄美大島の一部がかろうじて皆既帯に入っているだけです。 トカラ列島で受け入れられる最大人数はたったの1500人程度! なかなか日本国内の陸地で皆既日食を見ることは難しそうです。
 これまで友の会では、1999年トルコ、2006年エジプトなど日食観測ツアーを組みました。 今回は行くとすれば上海でしょうか。
 大阪でも80%くらい欠ける部分日食になるのですが、やっぱり皆既日食が見たいですよねぇ…。
 とにかく、楽しみな世界天文年です。

※初出:月刊うちゅう2007年9月号(石坂

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