大阪市立科学館における太陽の撮像と黒点数の推移2

石坂千春

大阪市立科学館



概 要

 2005年度に大阪市立科学館天文台で継続的に太陽を撮像し、展示場にて画像を公開したので
報告する。併せて、黒点数についても月ごとに集計し、オーロラ発生数と比較したので報告する。


1.はじめに

 2005年4月1日から翌2006年3月5日まで、大阪市立科学館屋上に設置された天文台で継続的に太陽像の撮影を行い、展示場にて画像を公開した。 当該期間中、撮像できたのは125日である(※2006年3月には屋上天文台の望遠鏡の補修工事を行っていたため、3月6日以降の撮影はしていない)。
 当館では昨年度より継続的に太陽の撮像を行ってきた[1]。 今回、2005年度に撮影した太陽像から黒点数を集計したので報告する。 次章では太陽像の撮影方法と公開方法について報告し、3章では集計した黒点数を報告する。 また、黒点数とオーロラ(サブストーム)発生数との相関については4章でまとめた。


2.撮影方法および公開手順

(1)撮影機材

 屋上天文台の10cm屈折望遠鏡(f1000)にデジタル一眼レフカメラNikonD100を直焦点で接続する。 望遠鏡の対物レンズを直径5cmに絞り、減光フィルタとして印刷用リスフィルムを利用する。 CCD感度はISO200相当、露出は気象状況によるが1/320〜1/400秒程度に設定した。 なお、2005年12月7日以降、減光フィルタを交換したため、感度をISO800相当、露出を1/30秒程度に設定変更している。

(2)公開手順

 公開用のパソコンはLANにつながっていないので、次のような手順を踏む。 なお、この展示公開用パソコンは2002 年度に当館元学芸員川上新吾氏が導入したものである。

 〇1討靴紳斥杼を画像処理用のパソコンに取り込み、サイズを800×531ピクセルに縮小した後、撮影日時を画像上に書き込む(図1)。

   図1.公開画像(2005年6月9日)



◆´,硫菫ファイルを、フロッピーディスクを介して公開用パソコンの所定のフォルダーに保存する。
 公開用HTMLファイルを編集して、新規太陽像にリンクを貼る。
ぁ.屮薀Ε兇鯲ち上げ、画面を公開用CRTに切り替える。


3.黒点数の集計

 画像処理をした太陽像から肉眼で黒点を特定し、黒点数N、黒点群数gを集計した。 ここで黒点相対数(=10g+N)を導入する(観測者による係数を1とした)。 計測した黒点数および相対数を表1にまとめる。

       

表1.撮像日と黒点数

日付黒点群黒点数相対数日付黒点群黒点数相対数
2005/ 4/ 117172005/ 9/ 91313
2005/ 4/ 5210302005/9/1431040
2005/ 4/ 823232005/9/1611323
2005/ 4/ 912122005/9/20011
2005/4/1414142005/9/221414
2005/4/1514142005/9/241111
2005/4/1612122005/9/251111
2005/4/2112122005/9/29000
2005/4/220112005/9/30000
2005/4/240002005/10/ 61212
2005/4/2614142005/10/ 9000
2005/4/2714142005/10/12000
2005/4/2815152005/10/13000
2005/4/29110202005/10/14000
2005/ 5/ 80222005/10/19000
2005/5/1027272005/10/20000
2005/5/1127272005/10/21000
2005/5/13410502005/10/25000
2005/5/1714142005/10/27000
2005/5/210112005/11/ 1000
2005/5/2513132005/11/ 2000
2005/5/2613132005/11/ 5000
2005/5/2714142005/11/ 8000
2005/5/2914142005/11/ 9000
2005/5/3113132005/11/10000
2005/ 6/ 716162005/11/152727
2005/ 6/ 828282005/11/162828
2005/ 6/ 9310402005/11/172929
2005/6/1424242005/11/183636
2005/6/1648482005/11/192626
2005/6/1736362005/11/202525
2005/6/1825252005/11/223737
2005/6/1924242005/11/232828
2005/6/2115152005/11/251313
2005/6/280002005/11/261212
2005/6/3028282005/12/ 33838
2005/ 7/ 6418582005/12/ 7000
2005/ 7/ 7420602005/12/ 8000
2005/ 7/ 8616762005/12/ 9000
2005/7/140112005/12/161313
2005/7/150112005/12/171313
2005/7/200002005/12/221313
2005/7/230222005/12/272424
2005/7/2412122006/ 1/ 5000
2005/7/2713132006/ 1/ 8000
2005/7/280112006/1/12000
2005/7/3014142006/1/201212
2005/ 8/ 226262006/1/222727
2005/ 8/ 318182006/1/27000
2005/ 8/ 415152006/ 2/ 2000
2005/ 8/ 516162006/ 2/ 3000
2005/ 8/ 90442006/ 2/ 4000
2005/8/100332006/ 2/ 5000
2005/8/120002006/ 2/ 8000
2005/8/170222006/ 2/ 9000
2005/8/180112006/2/14000
2005/8/1913132006/2/18000
2005/8/2415152006/2/22000
2005/8/260442006/2/24000
2005/8/270222006/ 3/ 2000
2005/8/280222006/ 3/ 4000
2005/ 9/ 10112006/ 3/ 5000
2005/ 9/ 2011


 月ごとに集計した1日当たりの平均黒点相対数と、九州大学宙空環境研究センター(SERC)が公開している黒点データ[2]とを比較すると、本報告の黒点数が系統的に少ないことが分かる(図2)。 これは観測方法の違い(特に解像度)と黒点の特定法の違いを反映しているものと考えられる。 本報告における黒点相対数とSERCのデータから求めた相対数との比例係数は約3.2、切片は25.0である。

 図2 科学館で撮影した太陽像の黒点相対数とSERCの黒点相対数



4.考察とまとめ

 石坂2005[1]で報告した2004年度の黒点数と合わせ、月ごとに平均した1日当たりの相対数をグラフに表したものが図3である。 図3にはSERCが公開している1日当たりのオーロラ(サブストーム)発生数[2]も月ごとに平均して載せている。

図3.黒点相対数とオーロラ発生数の推移



 図3を見ると、時期的な増減はあるものの、全体としては活動極小期に向かい[3]、黒点数が減少傾向にあることがわかる。
 太陽活動極大期にはオーロラが頻繁に出現する、と一般に信じられているが、一方、黒点数が少ない極小期においてもコロナホール(高速太陽風)起源のオーロラが活発に発生することが分かっている。
 そこで、前章で求めた黒点相対数と、やはりSERCが公開しているオーロラ発生データ[2]との相関を見た。 月ごとに平均した1日当たりの黒点相対数とオーロラ発生数との相関をとったものが図4である。
 オーロラの平均発生数は緩やかな変動を示しつつも、黒点数によらず、ほぼ一定である。 表計算ソフトEXCELLに装備された回帰分析ツールで求めた相関係数は0.031であり、黒点数とオーロラ発生数の間に相関は認められない。 極小期におけるオーロラが黒点活動ではなく、コロナホールからの高速太陽風に起源をもつことに由来するものと考えられる。


図4.黒点相対数とオーロラ発生数の相関

相関は認められない。相関係数は0.031である。


 2007年前後に太陽活動は極小期を迎えると予想されている[3]。 今後も継続的に太陽の撮像と太陽黒点数の集計を行い、太陽活動の推移を観測していくことが肝要である。

謝意
 本研究に関して、石坂2005[1]では日ごとの集計を行っていたが、川上新吾氏より月ごとの平均値で検討してはどうかとの示唆をいただいた。ここに感謝する。


参考資料

[1]石坂千春 大阪市立科学館研究報告15(2005),P73
[2]九州大学宙空環境研究センター宇宙天気概況
[3] NASAによる太陽黒点周期予報



※補遺

 本稿で報告した太陽像については、一部を著者のホームページ上でも公開した。

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