1.電気と磁石
電気(静電気)と磁石(磁鉄鉱)はどちらもものを引きつける力をもっていることから、 何か関係があるのではないかと考えられていました。 しかし、本当に何らかの関係があるのかどうかは、なかなかわかりませんでした。 今からおよそ200年前、1799年にヴォルタが電堆(電池)を発明すると、 静電気だけでなく電流(動電流)を使えるようになり、電気についての研究が進みました。 そして1819年、エルステッドは、方位磁石を電線の近くに置いて電線に電流を流すと、 磁針の向きが電線とは直角になることを、実験の授業を行なっている最中に発見しました。 これで電気と磁石に本当に何か関係があることが証明されたことから、 多くの研究者は「電気で磁石を動かすことができたのだから、 磁石で電気を起こすことはできないのか?」と考え、さまざまな実験を行ないました。 2.ファラデーリング イギリスのマイケル・ファラデーも、磁石で電気を起こせないかと考えた一人でした。 しかし、例えば電線の近くに磁石を置いていても、電線に電流が流れるわけではありません。 ファラデーは、電流を流した電線には磁針を動かす力があるのだから、 その近くにもう1本電線を並べれば、この電線にも何か作用があって、 電流が流れるかもしれないと考えました。 そこで二重らせん型のコイルを作り、片方のコイルに検流計、 もう片方のコイルに電池をつなぎましたが、検流計の針は全く振れません。 けれど注意深く実験を行なうと、電池をつないだ瞬間だけ、 検流計の針がわずかに振れることを発見しました。 また、電池をはずした瞬間にも検流計の針はわずかに振れたのですが、 それは電池とつないだ瞬間とは反対向きでした。
3.発電機 コイルに電池をつないで電流を流すと電磁石になり、 電池をはずすと電磁石でなくなります。 ですから、コイルを2つ並べておいて、 片方のコイルに電池をつないだりはずしたりすることは、 片方のコイルを磁石にしたり磁石でないようにしたり、 更にいえば磁石をもう一つのコイルの近くに持ってきたり遠ざけたりしているのと 同じようなことになります。 そこでファラデーは、コイルの鉄芯に磁石をくっつけたり離したり、 コイルに磁石を近づけたり遠ざけたり、コイルの近くで磁石を動かしたりすると、 コイルに電流が流れる、つまり発電できることを発見しました。 ファラデーのこの発見により、静電気・電池に続く第3の電源として、 発電機が発明されました。現在みなさんの家で使えるコンセントの電気も、 ほとんどがこれと同じ基本原理で作られています。 展示場の4階には、 ファラデーの実験を自分で体験できる 「トランス」や「磁力線を見よう」などの展示が盛りだくさんです。 みなさんも、歴史に残る発見を体験してみませんか。 | |||||||
大阪市立科学館 友の会 『月刊うちゅう』 1999年10月号 |