夏の間は「ちょっと風呂上がりにビールでも…」という方も多かったかもしれませんね。 今年の夏は記録的な暑さだったようですが、そんな夏も終わり、ようやく秋の気配がやってきました。 でも、未成年の方やお酒を飲まない方には申し訳ないのですが、7月号に引き続き「おいしいビールの話」です。 今回のおいしいビールは「ドラフト・ギネス」というアイルランドのビールです(写真1左)。 黒に近い濃い色で、焙煎の苦み香ばしい…。 なかなかおいしいのですが、夏よりも秋〜冬向きのビールですね。
あれっ?前回の「おいしいビールの話」では、細かい泡を作るために、内側が素焼きになった陶器製のマグカップがいいということで、ガラスのコップでは細かい泡ができなかったはず…。 しかしこのビールの缶には、「グラスを傾けて」ビールを注ぐということが書いてあります。 グラスを使って、しかもそのグラスを傾けるというのは、泡をなるべく出さないビールの注ぎ方ですね。 それなのに、このドラフト・ギネスなら、非常に細かいクリーミーな泡ができるのです。
ビールの缶を開ける前は缶の中は高圧になっていて、このボールの中にも高圧のガス(おそらく二酸化炭素か窒素)が入っています。 缶を開けると圧力が下がるため、ボールの小さな穴からガスが吹き出してきます。 これがビールに細かい泡を作っていたのです。 ちなみに、この「ドラフト・ギネス」を夏前から数本買っていたのですが、この夏、パッケージデザインが新しく変わったようです。 写真1の右が従来の缶で、左が新しい缶です(ちなみに、まん中は「ドラフト」ではない「ギネス」で、細かい泡になる特別な仕掛けは付いていないため、同じ330ミリリットル入りでも缶はひとまわり小さい)。 ところが、この写真1右の従来の缶にはボールは入っていなくて、振ってもカラカラ音はしません。 そこで、こちらの缶も開いてみると、ボールの代わりになるプラスチック製の中空部品が、缶の底に入っていました。 これにもやはり小さな穴があいていて、缶をあけたときに吹き出したガスでクリーミーな泡を作っていることにはかわりはありませんでした。
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大阪市立科学館 友の会 『月刊うちゅう』 2000年10月号 |