みなさんは、鏡に映った自分の姿が左右反対になっていることで、 何か困ったことはないでしょうか? まぁ困るか困らないかは別にして、世の中には左右が反対にならない鏡というのもあって、 商品として売られているのです。 どんな仕組みになっているかというと、鏡を2枚直角に組み合わせてあって、 片方の鏡に映った像がさらにもう一つの鏡に映っています。 そのため、裏返しのさらに裏返しということで、左右が逆にならないのです。
もう一つ、左右が反対にならない鏡を作る方法があります。 今度は平面の鏡を使うのではなく、真ん中がへこんだ凹面鏡を使うのです。 といっても、反射望遠鏡に使われているようなくぼみ方ではなく、 縦方向にはまっすぐ、横方向にだけくぼんでいる鏡なのです。 ちょうど円筒形の一部を切り取ったような形ですね。 スプーンの内側をのぞきこむと、 ふつうの鏡に映った姿と比べて上下も左右も逆に映ります。 円筒形の鏡では、縦方向はまっすぐなのでそのままですが、 横方向にだけふつうの鏡とは左右が逆に映ります。 ふつうの鏡は左右反対に映っていますから、 円筒形の鏡だと左右が反対にならずに映るのです。
でもこのような鏡に姿を映すときに注意が必要です。 鏡の曲面の曲率半径より鏡に近づくと、左右が反対のまま映ってしまいます。 それ以上に鏡に映った自分の姿を見てちょっと悲しくなってしまうのでご注意下さい。 では、どんな距離で見るのがいいかというと、 曲率半径のちょうど2倍だけ鏡から離れると、 ちゃんと左右が反対にならずに映ります (さらにそれより少し離れると、鏡に映った自分の姿を見て、ちょっとうれしくなれます)。 冒頭の写真は、波打った形の鏡なのですが、 ちょうど円筒形のようになった部分を使って写していたんですね。 この方法なら顔の真ん中に線が入らなくていいのですが、 見る距離によって悲しくなったりうれしくなったりする (何が悲しいのかは、ぜひ自分で試してみて下さい) 以外に、もう一つ大きな欠点があります。 右目で見た自分の顔と左目で見た自分の顔が重ならなくて、 顔が二重に見えてしまうのです。 曲率半径が大きいとあまり目立たないのですが、これでは手鏡にはできませんね。 | |||||||||
大阪市立科学館 友の会 『月刊うちゅう』 2002年12月号 |