長谷川能三のHP月刊『うちゅう』街角ウォッチング  

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水滴がのぼっていく噴水
 JR東西線北新地駅の少し東に「そねちか」という地下の広場があり、この広場の東の壁に、ちょっと変わった噴水があります(地図)。 ビデオでお見せできないのが残念ですが、ノズルから吹き出した幾筋も水の流れの中を、キラキラと光った水滴がゆっくりのぼっていくのです。 もちろん水はジャバジャバ流れているのですが、その流れを無視したかのように、水滴はゆっくり動いていきます。 といっても、宙に浮かんだ水滴がそんなにゆっくり動くのでしょうか。
 ホースで水撒きをしていると、ホースから流れ出る水は一筋の線のように見えていますが、たいていは大きな水滴がたくさん連なって飛んでいるのです。 しかし、次から次へと同じコースを通って水滴が飛んでいくので、私たちの目には筋のように見えてしまっているのです。 水滴が連なって飛んでいるのを見るには、例えば暗闇でストロボを光らせます。すると、ストロボが光った瞬間だけが見えるので、水滴が止まったように見えます。
 それなら、次々と水滴が通り過ぎていくのと同じテンポでストロボを光らせるとどうなるでしょう。 ストロボが光った一瞬一瞬に見えている水滴は、次から次へと別の水滴に変わっていきます。 しかし、同じ所に水滴がある一瞬ばかりを連続して見ているので、まるでひとつの水滴が同じ所に止まっているかのように見えてしまうのです。
 ストロボスコープという装置を使うと、このように一定のテンポでストロボをピカピカ光らせることができます。 また、噴水のノズルやホースを一定のテンポで振動させれば、水滴が通り過ぎるテンポも決めることができます。
 こうして、動いている水滴をあたかも止まっているかのように見ることができます。 さらに、ストロボのテンポを少し速くすると、次から次へとやってくる水滴の動きが間に合わなくなります。 このため水滴は、実際に動いている方向とは逆方向に、ゆっくり動いているように見えます。


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