『科学談話室』の話題より | ||
[danwa:0127] ハイテク(H2) | |
Date:Thu, 6 Jan 2000 00:27:39 | From: 浦田 |
船場の若旦那さん、みなさん、こんばんは、浦田です。 20年前にHP規格のインターフェースを通じて、プログラムを受信してあら ゆる機能に設定できる箱を作ったことがあります。この箱の基本ソフトはひた すら自分自身を機能させるプログラムの待ちうけることなのでとてもシンプル でした。暴走するとプログラム受信ルーチンに入ります。 過酷な条件、例えば静電気等で回路はラッチアップを起こします。待機信号を 受けたホストは直ちにプログラムを送ります。NASAの探査ロケットはそん な感じですね。開発期間がとても短縮されますし、簡単な回路ですみます。プ リント基板上の線は太くして、穴明き基板に部品を通してはんだするのが丈夫 です。最近はチップ部品を表面実装していて、おまけにハードコーテイングを してるので、電源オンオフによる熱収縮と周囲温度変化によるストレスでチッ プがはがれてしまうこともあります。ROMの内部の線も切れることがあるそ うです。パソコンの電源は切らないほうがいいのでしょうけど、ハードデスク のベアリングの寿命を考えるとどうしたものか??と迷います。 私の仕事上の製作物は振動と炎天下と埃にさらされているので剥ぎ取り故障 は時々ありました。基板の線を太くして、防水防塵ハードコートを止めてから は故障は無くなりました。 アポロ11号で使われた電子回路はテレビ放送で見る限り20年前のトランジ スタラジオ程度の丈夫な実装方法だったと記憶しています。いまのH2ロケッ ト等はどうでしょうか? |
[danwa:0155] Re: ハイテク(ハイテクでは難しい宇宙?) | |
Date:Sat, 29 Jan 2000 02:49:49 | From: 浦田 |
浦田です、こんにちは、
アポロ月着陸船のコンピュータについての記事を読みました。 RAM(書き換え可能メモリ)は2Kワード(14ビット)で、コアメモリ だったそうです。 (網の交わった点全てに、2ミリ位のドーナツ状のフェライトを通してあっ て。交点では電流が2倍になって選択磁化される) 使用しているコアメモリは電流駆動だから、静電気に強そうです。 地上電位と同じで打ち上げられたロケットは上空に行けば行くほど大気との電 位差が大きくなってきます。ロケットが大きくなるほど電流容量も大きくなり ます。もし、回路のアースと胴体が接続されていて、アンテナを通じて内部の 電子回路に入ったら放電破壊が起こりそうです。飛行機の翼の先端に針金を束 ねて筆のようにしたデイスチャージャーがたくさん付いています。H2にもつ いているのでしょうか? (上空大気程電圧が高いのは、宇宙線による電離が強いからだそうです) 一般に電子回路のプリント基板には、放電ギャップが所々に設けられていま す。 しかし、高集積化で、内部パターン間隔が狭くなると、放電ギャップも頼りな くなりそうです。 半導体メモリの1セルが小さくなれば、宇宙線の一撃で書き換えが起こらな いのでしょうか。セルが大きければ、何発かは耐えられるような気がします。 実際仕事で使うROMは、内部のチップが小さいより大きいほうが静電気に 対して 丈夫です。 |
[danwa:0156] Re: ハイテク(Re: ハイテクでは難しい宇宙?) | ||
Date:Sat, 29 Jan 2000 15:04:02 | From: Ando S. | |
Andoです。久しぶりに投稿します。 ([danwa:0155] 浦田さん)
「・・・人工ノイズ源だけでなく、自然ノイズ源にも新しいものが現れた。 その一例は、高集積度のICの中で自然放射能によるα線が引き起こすソフト エラーである。LSIのメモリ素子がランダムに素子の破壊を伴わない誤動作 を起こすことが問題となった。・・・・・、ICのパッケージ材料などに微量 含有されている天然放射性同位元素のウランやトリウムの崩壊によるα線 が、メモリ素子の中に電子−正孔対を生成させて誤動作の原因となっている ・・・・・。α線により発生する電子は1個のα粒子当り約1.4x106個程度 であるが、集積度が高くなるにつれてダイナミック形メモリの動作電荷が減 少する結果、α粒子による電荷が誤動作をひき起こすようになった。LSIが VLSIに進歩してゆく過程で問題が顕在化したのである。」 この説明からすると、浦田さんの心配は現実に起きそうに思われます。宇宙 船のボディーは、どれだけ宇宙線を阻止できるのでしょうか。 参考に本の名前をあげておきます。 「電子回路のノイズ技術」:オーム社、山崎弘郎ら共著、1982年第1版2刷 先に引用した箇所があるところは、256ページの中ごろです。 また、参考文献として、α線による誤動作を実際に研究した論文があげられ ています。 T. May & M. Woods: A New Mechanism for Soft Errors in Dynamic Memories, Proceedings 1978 International Reliability Physics Symposium, pp.33-40 Ando S. |
[danwa:0157] Re: ハイテク(Re: ハイテクでは難しい宇宙?訂正) | ||
Date:Sun, 30 Jan 2000 15:11:34 | From: 浦田 | |
浦田です、Andoさんみなさんこんにちは、 [danwa:0155]でまちがいがありましたので訂正します。 まちがい:
サターン5型(アポロ計画)の本には、高層に突っ込んだロケットに雷放電 が起こる。 らしいです。 「ミグ戦闘機には真空管が使われていた」と少しバカにした報道もありまし た。ついエンジニアはハイテク(高密度化)ICチップに飛びつきたくなります が。環境に応じて、最も安全な部品を選択使用することが大切ですね。 その点、ウインドウズは近くに雷が落ちただけでもモデムが壊れる程、貧弱 な部品で作られています。省電力優先です。 今まで、LSIを崇拝していましたが、環境を考えてローテクも使う必要がある と感じます。実際、スペースシャトルのCRT画面はとてもシンプルな表示で す。表示はとんどLEDで電流駆動です。ひょっとしたら、パネルの裏は、ICで はなく個別部品トランジスタや機械式リレーが並んでいるかも?なんて想像し ています。宇宙ではハンダコテでも修理できるほうが、安心ですよね。パネル の裏の写真なんか検索できるでしょうか? アポロ計画では、大きな基板に大きな部品をハンダ付けしていました。電流 駆動回路だし、部品間隔も配線間隔も大きいし、雷にも強かったと思います。 H2の1段2段目位はローテク使ってでも成功させて欲しいと心から願うばかり です。 |
・・・さて、この先 話はどうなるのか?お楽しみに!・・・ | |
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