『科学談話室』の話題より | ||
この話題は 台風の雲 からの続きです |
[danwa:0652] 高気圧の地衡風 | |
Date:Sun, 10 Feb 2002 17:49:35 | From: 浜口 |
みなさんこんにちは. おひさしぶりです.浜口です. Bi.Bi.さんと石坂さんの間では話が通じているようですが,次の計算がやっ ぱりよくわかりません. (したがって,それ以降の計算もよくわからない.A^_^; ) ([danwa:0634Bi.Bi.さん]) >たとえば、北極点を原点として、 >高気圧周りの空気の位置ベクトルをr、 >高気圧中心の位置ベクトルをr0、 >高気圧中心から空気までの変位ベクトルをr'とすると、 > >r=r0+r' (1) > >両辺を時間に関して2階微分すると > >a=ω×ω×r0+ω×ω×r'+2ω×v’+a' (2) > >ここで、a、a'、v'はそれぞれ静止系での空気の加速度、回転系での空気の加速度、 >回転系での空気の速度 ・ωは地球自転の角速度ですか? ・(1)式のr0,r'と,(2)式のr0,r'は同じものですか? ・微分するだけで「回転系での量」が出てくるのはどうしてですか? 浜口 |
[danwa:0655] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sun, 10 Feb 2002 19:37:38 | From: Bi.Bi. |
談話室のみなさん、こんばんは。 浜口さんコメントありがとうございます。 [danwa:0652] 浜口さん > ([danwa:0634Bi.Bi.さん]) > >たとえば、北極点を原点として、 > >高気圧周りの空気の位置ベクトルをr、 > >高気圧中心の位置ベクトルをr0、 > >高気圧中心から空気までの変位ベクトルをr'とすると、 > > > >r=r0+r' (1) > > > >両辺を時間に関して2階微分すると > > > >a=ω×ω×r0+ω×ω×r'+2ω×v’+a' (2) > > > >ここで、a、a'、v'はそれぞれ静止系での空気の加速度、回転系での空気の加速度、 > >回転系での空気の速度 > > ・ωは地球自転の角速度ですか? YES > ・(1)式のr0,r'と,(2)式のr0,r'は同じものですか? YES > ・微分するだけで「回転系での量」が出てくるのはどうしてですか? 説明不足で申し訳ありません。 回転系での高気圧中心の座標を次のように入れるからです。 回転系の座標の原点を高気圧の中心、 直交単位ベクトル(i’、j’、k’)、r’の成分を(x’、y’、z’)とすると r’=x’i’+y’j’+z’k’ あとはこれを時間微分するだけです。 この両辺を時間微分すると ・ ・ ・ ・ r’=x’i’+y’j’+z’k’ + ω×r' 左辺最後の項は直交単位ベクトル(i’、j’、k’)が角速度ωで回転しているから。 左辺の残りの項は回転系から見た速度v’、つまり ・ r’=v’+ ω×r' この両辺をもう一度時間微分すると同様の手続きで ・・ ・ ・ r’ =v’+ ω×r' = a' +2ω×v’+ω×ω×r' となります。 Bi.Bi. |
[danwa:0656] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sun, 10 Feb 2002 22:29:59 | From: 浜口 |
Bi.Bi.さん,こんばんは. 説明ありがとうございます. >・ ・ ・ ・ >r’=x’i’+y’j’+z’k’ + ω×r' この右辺最後の項の記法がよくわからないのですが. (あらわに書くとどうなっていますか) 浜口 |
[danwa:0657] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Mon, 11 Feb 2002 01:03:16 | From: Bi.Bi. |
浜口さん、こんばんは。 > > >・ ・ ・ ・ > >r’=x’i’+y’j’+z’k’ + ω×r' > > この右辺最後の項の記法がよくわからないのですが. > (あらわに書くとどうなっていますか) > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ r’=x’i’+y’j’+z’k’ + x’i’+y’j’+z’k’ ・ ・ ・ =x’i’+y’j’+z’k’ + x’ω×i’+y’ω×j’+z’ω×k’ ・ ・ ・ =x’i’+y’j’+z’k’ +ω×( x’i’+y’j’+z’k’) ・ ・ ・ =x’i’+y’j’+z’k’ +ω×r' ω、r'はそれぞれ、角速度ベクトル、変位ベクトル ×はベクトルの外積演算子です。 2つ目の等号はi’、j’、k’が角速度ωで回転しているから。 Bi.Bi. |
[danwa:0658] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Mon, 11 Feb 2002 11:56:21 | From: 浜口 |
こんにちは.浜口です. ([danwa:0657]Bi.Bi.さん) >ω、r'はそれぞれ、角速度ベクトル、変位ベクトル >×はベクトルの外積演算子です。 なるほど.ωはベクトルで,×は外積だったんですね. 了解です. それと,高気圧の中心は回転系で静止している,と仮定しているんですよね. ********** 次に,石坂さんにお聞きしたいんですが, ([danwa:0640石坂さん) >> a=ω×ω×r0+ω×ω×r'+2ω×v’+a' (2) > >この(2)式で空気が運動していなくても(v’=0)、気圧傾度力がなくても働く >成分だけ抜き出して書くと、 > > g = ω×ω×r0+ω×ω×r' + g’ ここで,なぜ重力加速度が出てくるんでしょうか? 浜口 |
[danwa:0659] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Mon, 11 Feb 2002 18:02:53 | From: 石坂 |
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。 [danwa:0658]浜口さん: >>> a=ω×ω×r0+ω×ω×r'+2ω×v’+a' (2) >> >>この(2)式で空気が運動していなくても(v’=0)、気圧傾度力がなくても働く >>成分だけ抜き出して書くと、 >> >> g = ω×ω×r0+ω×ω×r' + g’ > > ここで,なぜ重力加速度が出てくるんでしょうか? これに答えるために[danwa:0657]Bi.Bi.さんとダブりますが、 ベクトルの時間微分の式を書いておきます。 ちょっと長くなります。すみません。 あるベクトルAを静止系(宇宙系)で時間微分したものを dA/dt、 角速度ベクトルωをもつ回転系(地球と一緒に回転する系)で時間微分 したものを δA/δt と書きます。 時間とともに地球上に置いたベクトルAがどんなふうに動くかは図 で描くと分かりやすいのですが、今は天下り的に式で書いてしまうと、 dA/dt=δA/δt+ω×A …(3) となります。この式は[danwa:0655]Bi.Bi.さんが時間微分を文字の上 の・で表わしていたのを記号を変えただけです(×はベクトル外積の 記号)。 で、この A のところにまず r=r0+r' …(1) を代入します。 dr/dt = dr0/dt + dr'/dt = δr0/δt + ω×r0 + δr'/δt + ω×r' = ω×r0 + δr'/δt + ω×r' r0は高気圧の中心で、回転系で静止している(地球にへばりついている) のだから δr0/δt =0 です。 このdr/dtもまたベクトルなので、式(3)に再び代入すると d(dr/dt)/dt = δ(ω×r0 + δr'/δt + ω×r')/δt + ω×(ω×r0 + δr'/δt+ ω×r') 題意より角速度ωは時間的に変化しないのでδω/δt=0、また回転系での速度を v'= δr'/δt と書くと、上の式は結局 d(dr/dt)/dt = δ(δr'/δt)/δt + 2ω×v' + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') となります。 この式でd(dr/dt)/dt、δ(δr'/δt)/δtはそれぞれ静止系での加速度、回転系 での加速度です。これらをそれぞれ a、a' という記号で書いたものが式(2) ですよね。 前置きが長くてすみませんでした。ここまでは単にBi.Bi.さんの[danwa:0657] を書き換えただけです。 さて、加速度aは静止系で単位質量当たりに働く力ですよね。 気圧傾度力が無い場合、働くのは重力だけですから a = g です。 また、a'は回転系で単位質量当たりに働く力です。気圧傾度力が無く、 運動がない(v'=0)場合、遠心力[ω×(ω×r0) + ω×(ω×r')]以外で 働くのは「見かけの重力」すなわち有効重力ですから、a' = g' と書き ます(※)。 加速度 a、a'をそれぞれ重力加速度 g、有効重力加速度g'で書き換え ましたので、 g = ω×(ω×r0)+ω×(ω×r') + g’ となりました。 これで浜口さんへの答えになっているでしょうか? 石坂 (※)でも、この説明は本当は正しくないかもしれませんね・・・。 |
[danwa:0660] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Mon, 11 Feb 2002 20:17:06 | From: 浜口 |
石坂さん,こんにちは. レスありがとうございます. > 前置きが長くてすみませんでした。ここまでは単にBi.Bi.さんの[danwa:0657] >を書き換えただけです。 はい,そこまでは理解しました. > さて、加速度aは静止系で単位質量当たりに働く力ですよね。 運動方程式(ma=F)を議論に持ち込んだということですね. 1・a =[単位質量の気塊が受ける力] 了解です. > 気圧傾度力が無い場合、働くのは重力だけですから a = g です。 ん?それは変では? 気圧傾度力,地面との摩擦力を無視しても,地面からの垂直抗力は残るので はないですか. (もし重力だけだったら.気塊は地球を自由にすり抜けて,人工衛星になって しまう) 余談ですが,「地球を自由にすり抜ける人工衛星の軌道」がどんなものかと いうのは,それはそれで,おもしろい問題ですね. 浜口 |
[danwa:0662] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Tue, 12 Feb 2002 15:16:45 | From: 石坂 |
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。 [danwa:0660]浜口さん: >> 気圧傾度力が無い場合、働くのは重力だけですから a = g です。 > > ん?それは変では? > 気圧傾度力,地面との摩擦力を無視しても,地面からの垂直抗力は残るので > はないですか. やっぱり・・・そうですよね。 ということで、ここからは教科書をカンニングしながら・・・と (^^;)。 [danwa:0659]石坂が書いた式 d(dr/dt)/dt = δ(δr'/δt)/δt + 2ω×v' + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') で、静止系での加速度d(dr/dt)/dt、回転系での加速度δ(δr'/δt)/δtをそれ ぞれ a、a' という記号で書いて、都合上、a'を左辺に持っていくと、 a' = a - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') となります(前回同様、v'=0 としています)。 ここで a を重力加速度 g とそれ以外の成分( a")に分けて書きます。 a' = a" + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') したがって、回転系(地球上)で力が釣り合っている:平衡状態に ある( a'=0 )ためには、 a" = - g + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') でなければいけません。 すなわち、有効重力加速度 g' = g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') に対して、a" = -g' という垂直抗力が必要、ということになります。 反対にもし垂直抗力がない(例えば空中に投げ上げられた球などの) 場合( a"=0 )は、前回石坂が書いたように、a' = g' 、すなわち g' = g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') になります。この場合は a'≠0 なので回転系(地球上)で力が釣り合っ ているわけではありません。 【参考文献】力学〜新しい視点にたって〜(培風館) 石坂 |
[danwa:0664] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Tue, 12 Feb 2002 17:28:34 | From: 浜口 |
石坂さんこんにちは。 浜口です。 垂直抗力は無視できない,ということはわかってもらえたようですね。 ([danwa:0662]石坂さん) > a' = a - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') > >となります(前回同様、v'=0 としています)。 えーと,v'=0と仮定したんですよね。 (つまり,回転系で気塊は静止していると) とすれば,当然,加速度a'も0では? 浜口 |
[danwa:0666] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 13 Feb 2002 18:40:21 | From: 石坂 |
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。 [danwa:0664]浜口さん: >> a' = a - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') >> >>となります(前回同様、v'=0 としています)。 > > えーと,v'=0と仮定したんですよね。 >(つまり,回転系で気塊は静止していると) > とすれば,当然,加速度a'も0では? そういわれれば・・・そうでしたね (^^;)。 石坂 ※一応、くどいですが、順を追って式を再掲すれば・・・ a = a' + 2ω×v' + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') で、a'を左辺に持っていって、 a' = a - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') - 2ω×v' ここで a を重力加速度 g とそれ以外の成分( a")に分けて書いて、 a' = a" + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') - 2ω×v' したがって、回転系(地球上)で静止していて(v'=0)、力が釣り合っ ている:平衡状態にある( a'=0 )ためには、 a" = -g' = - g + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') でなければいけない、と。 で、垂直抗力がない(例えば空中に投げ上げられた球などの)場合 ( a"=0 )は、一般に v'≠0 なんだから、 a' = g' - 2ω×v' ですね。 |
[danwa:0667] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 13 Feb 2002 22:52:25 | From: 浜口 |
石坂さん,みなさん,こんばんは。 ([danwa:0666]石坂さん) > したがって、回転系(地球上)で静止していて(v'=0)、力が釣り合っ >ている:平衡状態にある( a'=0 )ためには、 > > a" = -g' = - g + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') > >でなければいけない、と。 ようするに,回転系で静止しているためには, 「慣性力とそれ以外の力とがつりあっていなければならない」 ということがおっしゃりたいのですね。 よくわかります。 これで,[danwa:0640]の途中の式: > g = ω×ω×r0+ω×ω×r' + g’ > >ここでg、g’はそれぞれ地上における、重力加速度、有効重力加速度です。 まで何とか議論をフォローできました。A^_^; この式に続く議論はどこにあるのでしょうか? 読み返してみてもよくわか らないのですが。 浜口 |
[danwa:0669] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sat, 16 Feb 2002 10:12:27 | From: 石坂 |
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。 さて、[danwa:0667]浜口さん: > これで,[danwa:0640]の途中の式: > >> g = ω×ω×r0+ω×ω×r' + g’ >> >>ここでg、g’はそれぞれ地上における、重力加速度、有効重力加速度です。 > >まで何とか議論をフォローできました。A^_^; > > この式に続く議論はどこにあるのでしょうか? 読み返してみてもよくわか >らないのですが。 そうですね、[danwa:0644]まで飛んでしまいましたね。 もう一度ゆっくりと議論を進めていきたいと思います。自分の言葉で書かない と頭に入ってこないので、繰り返しになることが多いですが、ご了承ください。 > ようするに,回転系で静止しているためには, >「慣性力とそれ以外の力とがつりあっていなければならない」 はい。 空気は地面をすり抜けて下に行くこともなければ、地球の自転に 伴う遠心力によって地面から引き離されてしまう事もありません。 それは、地球の引力(g)と地球自転に伴う遠心力(ω×ω×r0+ ω×ω×r')と「垂直抗力(後述)」([danwa:0666]ではa"としていた のをNと書くことにしましょう)とが N = -g' = - g + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') のように釣り合っているからです。 [danwa:0640]ではNと書くところを、いきなり -g' と書いて しまいましたので、釣り合いの式が g = ω×ω×r0+ω×ω×r' + g’ と表現されています。 そして・・・(続きはまた別便にて・・・) 石坂 ※ここで「垂直抗力」について・・・ 私のイメージでは垂直抗力は、地面にモノが載っている時に直接 地面から受ける力、です。 地球の半径は約6400kmで、今話題にしている大気(対流層) の厚みは高々10kmですから、地球に比べると空気の厚みは無視 できますよね。空気(気塊)は質点のように地面に乗っかっている、 と言ってもいいでしょう。 この場合、重力g'に対抗する力はイメージ通りの「垂直抗力」です。 でも、もし大気の厚みを気にするなら、g'に対抗する力は[danwa:0644] Bi.Bi.さんのように、鉛直方向(-g'の方向を鉛直と定義します)の気圧 傾度力ということになるかもしれません(もちろん大気の一番下は地面と 直接、接しているのですが・・・)。 [danwa:0644]でBi.Bi.さんは、地面に近いほうが気圧は高く、上空は気 圧が低くなっているので、空気には鉛直上向きに気圧傾度力が働いていて、 これがg'と釣り合っている、ということをおっしゃっているのだと思います。 |
[danwa:0670] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sun, 17 Feb 2002 14:25:16 | From: 石坂 |
談話室のみなさん、こんにちは。 さて[danwa:0669] では、空気が地面と接しているとき、 N = -g' = - g + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') ・・・(1) が成り立っていることをみました。 この(1)式のすべての項を左辺にもっていくと、 N + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') = 0 ・・・(1') となります。これはベクトルの式ですから、空気が地面と接してい るときは、垂直抗力、重力、地球回転にともなう遠心力の項は4つ 合わさって打ち消しあい、鉛直方向成分、水平方向成分のどちらも、 0になる(力が働かない)ということを意味しています。 ※[danwa:0640]以下の議論では「[danwa:0634][danwa:0639]Bi.Bi. さんのようにω×(ω×r0) の項は無視してω×(ω×r') の項だけ 単独に取り出して考慮する、ということはできない」ということを 示そうとしていました。 では、いよいよ高気圧(低気圧でもよい)の力の釣り合いの式 ([danwa:0666])を見てみましょう。 a' = a" + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') - 2ω×v' ・・・(2) ここで空気に働く力(加速度) a" の中身は気圧傾度力と垂直抗力、 そして回転運動の向心力ですから、(2)は、 a'=(向心力)+(気圧傾度力)+N + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') - 2ω×v' ・・・(3) と書けます。 (1')と(3)を見比べてみると、(3)式右辺の N + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') の部分は0であることがわかります(高気圧の空気の運動には寄与しない)。 したがって、(3)式は a'=(向心力)+(気圧傾度力) - 2ω×v' ・・・(4) となり、力が釣り合っているとき( a'=0 : 平衡状態)は (向心力)= 2ω×v' -(気圧傾度力) という関係が成り立っていることがわかります。 この式の意味するところは、まさに[danwa: 0632]で浜口さんが書いた: > 地面系で記述した場合はコリオリ力が働きますから,向心力は確保できます. > コリオリ力 − 気圧傾度力 > が(右回り)円運動の向心力となります. ですよね。 これが[danwa:0647]までの議論だったと思います。 石坂 |
[danwa:0671] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Tue, 19 Feb 2002 13:55:53 | From: 浜口 |
こんにちは.浜口です. 「回転系で静止している気塊」の力のつりあいについてはよくわかりました. 次にいきましょう. ([danwa:0670]石坂さん) > では、いよいよ高気圧(低気圧でもよい)の力の釣り合いの式 >([danwa:0666])を見てみましょう。 ここからは「回転系で動いている気塊」を考えるんですね. > a' = a" + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') - 2ω×v' ・・・(2) 動いているわけですから“釣り合いの式”という言い方は気になります. むしろ,“(回転系での)運動方程式”というほうがしっくりきます(私は). 言い方の問題なのでたいしたことではないですが. > ここで空気に働く力(加速度) a" の中身は気圧傾度力と垂直抗力、 >そして回転運動の向心力ですから、(2)は、 ここからは円運動(高気圧または低気圧の周囲の)に話をしぼるんですね. それはいいんですが,この“向心力”は変ですね. 一般に円運動の運動方程式(法線成分)は, m・(v^2/r) = F で,Fは物体の受けているすべての力の合力(の法線成分)です. このFを向心力と呼びます. 石坂さんの例では,Fの中身が気圧傾度力,慣性力,重力,垂直抗力です. そのうち,重力と慣性力以外(つまり気圧傾度力と酢直抗力)をa"と書いて おられる,ということですよね. さて,正しくは,(2)式でいえば,a'あるいは右辺全体が向心力です. a"の中に向心力が含まれている,というわけではありません. というわけで,(3)式は間違っています. ただ,その後の「a'=0」という間違いと,間違いどうしがうまく相殺して それらしい結果: > (向心力)= 2ω×v' -(気圧傾度力) になっているようです.A^_^; それでもまだ符合が間違ってて,正しくは, (向心力)= −2ω×v' +(気圧傾度力) ですね. ********** おっと,(4)式を導く論理も変ですよ. ([danwa:0670]石坂さん) > (1')と(3)を見比べてみると、(3)式右辺の > > N + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') > >の部分は0であることがわかります(高気圧の空気の運動には寄与しない)。 (1')のNと(3)のNは等しいとは限りません. ********** しかし,おかげさまでだいぶ話が見えてきました. 浜口 |
[danwa:0672] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Tue, 19 Feb 2002 14:57:21 | From: 浜口 |
浜口です.さきほどの続きです. 石坂さんの式: >a'=(向心力)+(気圧傾度力)+N + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') - 2ω×v' > ・・・(3) を修正した式: (向心力)= (気圧傾度力)+N + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') - 2ω×v' ……<3> をもとに,高気圧あるいは低気圧の周囲の円運動が可能かどうかを考えてみま す. <3>の右辺で,N,g,および遠心力 -ω×(ω×r0)-ω×(ω×r') を無 視すれば, (向心力)= (気圧傾度力) - 2ω×v' ……<4> - 2ω×v'はコリオリ力だから (向心力)= (気圧傾度力) + (コリオリ力) ……<4'> さて,内向き(円運動の中心に向かう向き)を正として,符号を整理すると, (もちろん北半球で) (気圧傾度力) (コリオリ力) 低気圧・左回り 正 負 低気圧・右回り 正 正 高気圧・左回り 負 負 高気圧・右回り 負 正 したがって,「高気圧・左回り」は絶対にありえないが,他のタイプは(条件 次第では)可能である,といえそうですね. 浜口 |
[danwa:0673] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Tue, 19 Feb 2002 16:23:51 | From: 石坂 |
浜口さん、こんにちは。 [danwa:0671]浜口さん: >> a' = a" + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') - 2ω×v' ・・・(2) > > 動いているわけですから“釣り合いの式”という言い方は気になります. > むしろ,“(回転系での)運動方程式”というほうがしっくりきます(私は). もちろん(2)は運動方程式です。このあと a'=0 としたものが釣り合い の式です。文章がややこしかったですね、すみません。 > さて,正しくは,(2)式でいえば,a'あるいは右辺全体が向心力です. > a"の中に向心力が含まれている,というわけではありません. 私も「向心力」というのをここでこういう形で使うのには抵抗が ありましたが、[danwa:0628]以下、v^2/r の項を「向心力」と 言っていたようなので使いました。一般の教科書では「遠心力」と 言い習わしているようです(これも一体どの系から見ているのか、 ちょっと変な気になるところですが・・・)。 > それでもまだ符合が間違ってて,正しくは, > >(向心力)= −2ω×v' +(気圧傾度力) 前述のように、文字通りの向心力とは違う使い方をしてしまいまし たので、符号が違ってきているのでしょう。(3)式では、高気圧の 場合気圧傾度力と向心力は向きが反対(異符号)だから、と思って (向心力)= 2ω×v' -(気圧傾度力) のように符号の帳尻合わせをしました。浜口さんの式で結構です。 ところで、 >(1')のNと(3)のNは等しいとは限りません. どうして等しくなくなるのですか? 石坂 ※おまけ:これも言葉の問題ですが、一連の議論の件名が「高気圧の 地衡風」となっていますが、「向心力」を議論するのであれば、「高 気圧の傾度風」とすべきでしょうね。「地衡風」は等圧線がまっすぐ な場合(コリオリの力と気圧傾度力が釣り合っている場合)に吹く風 のことです。 |
[danwa:0675] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Tue, 19 Feb 2002 22:53:33 | From: Bi.Bi. |
石坂さん、浜口さん、談話室のみなさんこんばんは。 Bi.Bi.です。 確認させて下さい。 [danwa:0669] 石坂さん > それは、地球の引力(g)と地球自転に伴う遠心力(ω×ω×r0+ > ω×ω×r')と「垂直抗力(後述)」([danwa:0666]ではa"としていた > のをNと書くことにしましょう)とが > > N = -g' = - g + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') > > のように釣り合っているからです。 > このような垂直抗力を仮定するということは、 ジオイドに拘束された質点モデルを扱っている、 でいいですか? > 地球の半径は約6400kmで、今話題にしている大気(対流層) > の厚みは高々10kmですから、地球に比べると空気の厚みは無視 > できますよね。空気(気塊)は質点のように地面に乗っかっている、 > と言ってもいいでしょう。 > この場合、重力g'に対抗する力はイメージ通りの「垂直抗力」です。 重力に対して遠心力は高々0.3%です。 もし、ジオイドに拘束されたモデルの正当性をおっしゃっているのでしたら この議論は少々乱暴では? 遠心力の寄与を議論しているのですから。 さらに、このモデルに対して疑問なのですが、 海面上はいいですけど、地上はかなり凸凹ですよね。 地上の平均海抜は1km弱だそうです。 気になるんですけど・・・ でも、まず理想的なモデルについて吟味する、 というのが常道でしょうから、 とりあえず、これらのことはしばらくおいておく、 ということなんでしょうね。 [danwa:0670] 石坂さん > ※[danwa:0640]以下の議論では「[danwa:0634][danwa:0639]Bi.Bi. > さんのようにω×(ω×r0) の項は無視してω×(ω×r') の項だけ > 単独に取り出して考慮する、ということはできない」ということを > 示そうとしていました。 > 私の試みを誤解されているようですので、 繰り返しになるでしょうけどコメントさせていただきます。 私が設定したモデル([danwa:0634][danwa:0639])は、 球面に対する接平面に拘束されたモデルです。 このモデルですと、ω×(ω×r0) の項もω×(ω×r') も消えません。 たとえω×(ω×r0)の項を無視しても円運動にはならないのです。 そしてジオイドの接平面に拘束されたモデルでは ω×(ω×r0) は消えても ω×(ω×r')の項は消えない([danwa:0643])、それで円運動にならないと言っているのです。 つまり、接平面に拘束されたモデルでは円運動は得られないことを示したつもりなんですけど。 「ω×(ω×r0) の項は無視してω×(ω×r') の項だけ単独に取り出して考慮する」ではありません。 Bi.Bi. |
[danwa:0676] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 20 Feb 2002 00:01:12 | From: 浜口 |
石坂さん,こんばんは. 浜口です. ([danwa:0673]石坂さん) > 私も「向心力」というのをここでこういう形で使うのには抵抗が >ありましたが、[danwa:0628]以下、v^2/r の項を「向心力」と >言っていたようなので使いました。一般の教科書では「遠心力」と >言い習わしているようです 「向心力」と「遠心力」の言葉の使い分けは,座標系によります. 静止系では「向心力」といい,物体と一緒に回る系では「遠心力」と呼びま す さて,なぜか地学の本では,地衡風の説明に「遠心力」が出てきますね. (「コリオリ力と遠心力がつりあう」なんて書いてあるので,めちゃ違和感を 覚えます) >(これも一体どの系から見ているのか、 >ちょっと変な気になるところですが・・・)。 地学の本では2つの回転系が出てくることにお気づきでしょうか. まず「地面の系」で考えます.(地球自転による)コリオリ力が現れます. 次に,気塊と一緒に円運動する「気塊の系」に移ります.気塊の系では気塊 は静止しているので新たなコリオリ力は現れず,(円運動による)遠心力が現れ ます. 地学の本では,最終的な式は「気塊の系」で書かれています. (だから,運動方程式でなく“釣り合いの式”なわけです) 地学の本のあの書き方はほんと何とかしてほしいものですねえ.A^_^; 浜口 |
[danwa:0677] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 20 Feb 2002 00:14:33 | From: 浜口 |
こんばんは. ([danwa:0673]石坂さん) >>(1')のNと(3)のNは等しいとは限りません. > > どうして等しくなくなるのですか? (1')と(3)は異なる方程式だからです(状況設定が異なる). 方程式が異なれば解が異なるのは当然でしょう. 浜口 |
[danwa:0678] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 20 Feb 2002 13:06:11 | From: 浜口 |
浜口です,こんにちは。 ([danwa:0672]浜口) >さて,内向き(円運動の中心に向かう向き)を正として,符号を整理すると, >(もちろん北半球で) > > (気圧傾度力) (コリオリ力) > 低気圧・左回り 正 負 > 低気圧・右回り 正 正 > 高気圧・左回り 負 負 > 高気圧・右回り 負 正 > > したがって,「高気圧・左回り」は絶対にありえないが,他のタイプは(条件 >次第では)可能である,といえそうですね. 「高気圧・右回り」は可能なのでしょうか。 静止系でみると,コリオリ力はなくて,しかも気圧傾度力は外向きなので, どう考えても向心力が確保できません。 したがって,静止系でみると高気圧の周囲の円運動は不可能です。 静止系で不可能なら地面系でも不可能なはずですよね。 石坂さんとBi.Bi.さんの結論では,高気圧の周囲の地衡風(傾度風)は可能で ある,ということのようですが,腑に落ちません。 今一度説明していただけないでしょうか。 浜口 |
[danwa:0681] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 20 Feb 2002 18:00:48 | From: 石坂 |
こんばんは。 [danwa:0675]Bi.Bi.さん: > ジオイドに拘束された質点モデルを扱っている、 すみません。「ジオイド」って何ですか? 私が仮定しているのは、空気(質点)が地面を突き抜けて下に 行くこともなければ、地面から離れてしまうこともない、どこか に動いていく(コロコロと転がっていく)こともない、というも のです。 そんなに特別なことを仮定しているわけではないと思います。 石坂 |
[danwa:0682] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 20 Feb 2002 18:35:43 | From: 石坂 |
浜口さん、こんにちは。 [danwa:0677]浜口さん: > 方程式が異なれば解が異なるのは当然でしょう. すみません。私はたぶん「当然」な部分が分かっていないと思います。 くわしく説明していただけないでしょうか? 私の疑問は以下のようなものです。 <3>式の有効重力:+ g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') の項は「状 況設定が異な」っても(1')式と同じ値をとりますよね。 この有効重力の方向を鉛直方向(−)とするような座標を仮にとった時、 <3>式でもこの項の水平成分は0です。そして鉛直成分とキャンセルす るようなNも定義できます。 このようなNを取ったとき、なぜ(1')式と違う値になりうるのか、 ということです。 気圧傾度力の鉛直成分(これは確かNに含まれていたはず)やコリオリ の力の鉛直成分(あるのだろうか?)をキャンセルするようなN’を改め て<3>式に付け加えないといけない、ということでしょうか? (向心力)=(気圧傾度力)+N'+ N + g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') -2ω×v' ……<3'> 石坂 |
[danwa:0683] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 20 Feb 2002 18:59:27 | From: 石坂 |
談話室のみなさま、こんばんは。 いよいよ佳境ですね・・・ [danwa:0678]浜口さん: > 静止系でみると,コリオリ力はなくて,しかも気圧傾度力は外向きなので, > どう考えても向心力が確保できません。 私の理解が正しければ、<3>式に出てくる慣性力(遠心力やコリオリの力) の項を消去したものが、静止系での運動方程式ということになります。 つまり、 (向心力)=(気圧傾度力)+N + g 静止系では、N + g の項を消去することができません! 地球の引力は地球中心に向かっているので、静止系(宇宙)からある地点 (高気圧の中心:r0)を見ると、そのまわりの地点(r')の重力はr0に向か う成分(内向き成分)を持っているように見えます。 このN+gの水平成分の差分(※)が気圧傾度力よりも大きければ高気圧 でも向心力が確保できるのではないでしょうか? ※注意:N+gそのものは空気が地球と一緒に回転するための向心力。 石坂 |
[danwa:0686] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 20 Feb 2002 20:59:49 | From: Bi.Bi. |
石坂さん、談話室のみなさん、こんばんは。 [danwa:0681] 石坂さん > すみません。「ジオイド」って何ですか? 垂直抗力が−g’となる面です。 すなわち、ジオイド上の任意の点の重力の方向はジオイドと垂直となります。 もし、地球が海水で覆われていたら海面がジオイドといっていいでしょう。 で、石坂さんは垂直抗力を−g’とされているのですから、 ジオイドに拘束された運動を仮定されているのでは? > 私が仮定しているのは、空気(質点)が地面を突き抜けて下に > 行くこともなければ、地面から離れてしまうこともない、どこか > に動いていく(コロコロと転がっていく)こともない、というも > のです。 > そんなに特別なことを仮定しているわけではないと思います。 もし、実際の地球面を仮定されているのでしたら、 凸凹の地球での垂直抗力は−g’とはかなり違いますよね。 海面はいいですけど、陸地は凸凹ですよ。 [danwa:0640] 石坂さん > 地上でフリコの錘をつるすと、地球の中心(g)方向は向かずにg’の > 方向を向くことになります。g’の大きさは北極と赤道では違っています。 > 地球も球ではなく、赤道付近がふくらんだ回転楕円体をしていますよね。 ジオイドはこの回転楕円体で近似できるそうです(±数十メートルの誤差)。 Bi.Bi. |
[danwa:0687] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Wed, 20 Feb 2002 20:59:50 | From: Bi.Bi. |
浜口さん、こんばんは。 [danwa:0678] 浜口さん > 静止系でみると,コリオリ力はなくて,しかも気圧傾度力は外向きなので, > どう考えても向心力が確保できません。 ですよね。 > 静止系で不可能なら地面系でも不可能なはずですよね。 でも、回転系で可能だから、静止系でも可能のはずです。 一度、回転系での軌跡を静止系に変換してみて下さい。 わたしも、斥力で拘束するなんて至難の業ということで、 しばらく理解できませんでした。 気圧傾度力0の極限でプロットすると、等速円運動する高気圧の周りで ゆっくり振動する軌跡になります。 今のモデルで、この運動を可能にしているのは 空気が地球にへばりついて回転できるための向心力(引力+垂直抗力)です。 気圧傾度力で吹っ飛ばされないのは、 この向心力が高気圧に引きつけているから と言っていいのではないでしょうか。 Bi.Bi. |
[danwa:0688] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Thu, 21 Feb 2002 10:10:59 | From: 長谷川 |
談話室のみなさん、こんにちは。長谷川です。 Bi.Bi.さん [danwa:0675] > 私の試みを誤解されているようですので、 > 繰り返しになるでしょうけどコメントさせていただきます。 > > 私が設定したモデル([danwa:0634][danwa:0639])は、 > 球面に対する接平面に拘束されたモデルです。 > このモデルですと、ω×(ω×r0) の項もω×(ω×r') も消えません。 > たとえω×(ω×r0)の項を無視しても円運動にはならないのです。 > > そしてジオイドの接平面に拘束されたモデルでは ω×(ω×r0) は消えても > ω×(ω×r')の項は消えない([danwa:0643])、それで円運動にならないと言っているのです。 えっ?接平面上で議論しているんですか? 地球が球ではなく回転楕円体のような形をしているなんていう細かいところま で追求しているのに、地面は平面近似でいいのでしょうか? 高気圧の中心近くだけを議論しているから…というのでしたら、r'→0で、 ω×(ω×r')→0ですから、平面近似で省略されるものがあるとすれば、それ がω×(ω×r')より高次で0になることを示さなければなりません。 それに、今は高気圧の地衡風(正確には傾度風ですか)を議論しているので、r’ としては100〜1000kmくらいを想定しないといけないのではないでしょうか。 とすると、高次かどうかだけではだめで、実際にこのくらいのr'で何か寄与 があるのかどうか、定量的な議論が必要ですね。 |
[danwa:0689] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Thu, 21 Feb 2002 12:28:10 | From: 長谷川 |
談話室のみなさん、こんにちは。長谷川です。 浜口さん [danwa:0677] > ([danwa:0673]石坂さん) > >>(1')のNと(3)のNは等しいとは限りません. > > > > どうして等しくなくなるのですか? > > (1')と(3)は異なる方程式だからです(状況設定が異なる). > 方程式が異なれば解が異なるのは当然でしょう. 例えば、机の上や床の上に置いてあるボールでは重力と垂直抗力が釣り合って いるけど、机の上から落ちている(途中の)ボールや、床にあたった(瞬間の)ボ ールを考えれば釣り合っていないでしょう、というようなことですよね。 今の場合でいえば、気塊が上下方向に運動しない状態だけを考えれば、気塊が 静止している場合に考えた重力と垂直抗力の釣り合い式を使っていいですね。 でも、地球表面の曲がりを考慮すると、気塊を地球表面に束縛するのに、重力 と垂直抗力の差が必要になってきますね。となると、だいぶ面倒になりそう…。 |
[danwa:0690] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Thu, 21 Feb 2002 14:06:35 | From: 浜口 |
石坂さん,長谷川さん,こんにちは. 浜口です. ([danwa:0682]石坂さん) >[danwa:0677]浜口さん: >> 方程式が異なれば解が異なるのは当然でしょう. > > すみません。私はたぶん「当然」な部分が分かっていないと思います。 >くわしく説明していただけないでしょうか? ([danwa:0689]長谷川さん) >例えば、机の上や床の上に置いてあるボールでは重力と垂直抗力が釣り合って >いるけど、机の上から落ちている(途中の)ボールや、床にあたった(瞬間の)ボ >ールを考えれば釣り合っていないでしょう、というようなことですよね。 そうです,そうです. ごく一般的なことです. (どう説明したらいいのか思案していたので,フォロー助かりました. 力学の常識やん,とでも言おうかと思っていた) 垂直抗力や静止摩擦力などの束縛力(拘束力)は,運動方程式(釣り合い含む)を うまく満たすように“結果的に”決まるものです. (その点,重力や電気力と異なります.重力や電気力は,運動方程式とは独立な 法則にもとづき,電荷や距離で決まります) 石坂さんに例題をひとつ…… 【例題】水平な地面の上に質量M,傾角θの斜面台が置かれている.斜面台は 動かないように地面に固定されているものとする. (1) 斜面に摩擦があり,斜面に質量mの小物体が置かれて静止しているとき, 斜面台が地面から受けている垂直抗力はいくらか? [答](m+M)g (2) 斜面に摩擦がなく,斜面に質量mの小物体が滑っているとき,斜面台が地 面から受けている垂直抗力はいくらか? [答]考えてみそ m /| ●/ | / | / | / M | /θ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 浜口 |
[danwa:0691] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Thu, 21 Feb 2002 14:29:14 | From: 浜口 |
Bi.Bi.さん,石坂さん,こんにちは.
浜口です. ([danwa:0687]Bi.Bi.さん) >> 静止系で不可能なら地面系でも不可能なはずですよね。 > >でも、回転系で可能だから、静止系でも可能のはずです。 ほんとに「回転系で可能」なんですか? 石坂さんによると, ([danwa:0683]石坂さん) > 地球の引力は地球中心に向かっているので、静止系(宇宙)からある地点 >(高気圧の中心:r0)を見ると、そのまわりの地点(r')の重力はr0に向か >う成分(内向き成分)を持っているように見えます。 > このN+gの水平成分の差分(※)が気圧傾度力よりも大きければ高気圧 >でも向心力が確保できるのではないでしょうか? とのことです. おっしゃっていることは理解できます. (Bi.Bi.さんも同様の主張をしておられると理解しました) しかしそれは,大気の運動が,球面(地球表面)に束縛されているのではなく て,球面の接平面に束縛されていると仮定していることになりませんか? 長谷川さんもおっしゃってますけど.([danwa:0688]) 浜口 |
[danwa:0692] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Thu, 21 Feb 2002 20:47:42 | From: 石坂 |
浜口さん、こんばんは。
鉛直方向に運動があるとき(上昇気流とか下降気流とかがある場合)は もちろん垂直抗力の値が違ってくるのは理解できます。 でも私には<3>式が鉛直方向の運動を扱っている式には見えません。 もう一度私の疑問をくりかえします。 [danwa:0682]石坂: > <3>式の有効重力:+ g - ω×(ω×r0) - ω×(ω×r') の項は「状 > 況設定が異な」っても(1')式と同じ値をとりますよね。 > > この有効重力の方向を鉛直方向(−)とするような座標を仮にとった時、 > <3>式でもこの項の水平成分は0です。そして鉛直成分とキャンセルす > るようなNも定義できます。 > このようなNを取ったとき、なぜ(1')式と違う値になりうるのか、 > ということです。 <3>式は空気が鉛直方向に動いていない(空気が地面を突き抜けること も、地面からから離れることもない)状況を扱っているように思えます。 私の(3)式[danwa:0670]は、そのような状況を扱っていたつもりです。 [danwa:0690]浜口さん: > (2) 斜面に摩擦がなく,斜面に質量mの小物体が滑っているとき,斜面台が地 > 面から受けている垂直抗力はいくらか? [答え](mcosθ・cosθ+M)g (ありがとう長谷川さん ;_;) θ=0のときは、(m+M)g ですよね。 鉛直方向に動かないときは、小物体が動いていようが、動いていまいが、 垂直抗力は変わらないです。 石坂 |
[danwa:0693] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Thu, 21 Feb 2002 21:24:03 | From: 石坂 |
こんばんは。石坂です。 [danwa:0686]Bi.Bi.さん: >> すみません。「ジオイド」って何ですか? > > 垂直抗力が−g’となる面です。 > すなわち、ジオイド上の任意の点の重力の方向はジオイドと垂直となります。 > もし、地球が海水で覆われていたら海面がジオイドといっていいでしょう。 ジオイドは大陸による重力の効果を考慮した平均海水面のことです (例えば富士山のところでは地球回転楕円体に対して3mほどジオイ ドは持ち上がっています)。 ジオイドは実際の地球の重力場を観測することで得られますが、当然 ながら、かなり複雑な形をしています。 私はそんな高次の扱いはしていません。 あと、 > 私が仮定しているのは、空気(質点)が地面を突き抜けて下に > 行くこともなければ、地面から離れてしまうこともない、どこか > に動いていく(コロコロと転がっていく)こともない、というも > のです。 という仮定と、Bi.Bi.さんのコメント: > もし、実際の地球面を仮定されているのでしたら、 > 凸凹の地球での垂直抗力は−g’とはかなり違いますよね。 > 海面はいいですけど、陸地は凸凹ですよ。 の関係がよくわかりません。 高気圧の地衡風(傾度風)を考えるとき、地形が本質的な役割 を果たすということでしょうか? 石坂 |
[danwa:0694] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 00:00:36 | From: 浜口 |
石坂さん,長谷川さん,こんばんは 浜口です。 【例題】の解答: (1) 斜面台が地面から受けている垂直抗力(上向き)の大きさをNとおくと, 斜面台は静止しているので,鉛直方向の力のつりあいの式は, N−Mg−mg=0 ……(ア) これより, N=(M+m)g ……答 (2) 斜面台が地面から受けている垂直抗力(上向き)の大きさをNとおくと, 斜面台は静止しているので,鉛直方向の力のつりあいの式は, N−Mg−mgcosθcosθ=0 ……(イ) これより, N=(M+mcosθcosθ)g ……答 というわけで,石坂さんの答は合っています。(^_^)(^_^)(^_^) さて,石坂さんが[danwa:0670]で述べられた, > (1')と(3)を見比べてみると、 という議論は,上の(ア)式と(イ)式を見比べてNを消去したことに相当します。 だから,その議論は間違っていると申し上げました。 ********** ([danwa:0692]石坂さん) > でも私には<3>式が鉛直方向の運動を扱っている式には見えません。 え? じゃどうしてNやgが出ているの? (3)や<3>の文字はすべてベクトルでしょ。一般的な3次元の運動を記述 していると誰でも思いますよ。 浜口 |
[danwa:0695] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 01:10:08 | From: Bi.Bi. |
石坂さん、みなさん、こんばんは。
Bi.Bi.です。 [danwa:0693] 石坂さん > 私はそんな高次の扱いはしていません。 > > あと、 > > 私が仮定しているのは、空気(質点)が地面を突き抜けて下に > > 行くこともなければ、地面から離れてしまうこともない、どこか > > に動いていく(コロコロと転がっていく)こともない、というも > > のです。 垂直抗力は地面にたいして垂直の方向ですよね。 地面は一般に凸凹です。 それは次のものとは一般に異なります。 [danwa:0669] 石坂さん > ω×ω×r')と「垂直抗力(後述)」([danwa:0666]ではa"としていた > のをNと書くことにしましょう)とが > > N = -g' = - g + ω×(ω×r0) + ω×(ω×r') 石坂さんはどんな地面を仮定されているのでしょうか? [danwa:0669] 石坂さん > 私のイメージでは垂直抗力は、地面にモノが載っている時に直接 > 地面から受ける力、です。 その方向は? [danwa:0693] 石坂さん > 高気圧の地衡風(傾度風)を考えるとき、地形が本質的な役割 > を果たすということでしょうか? 結論を急がず、まずはモデルを明確にしましょう。 Bi.Bi. |
[danwa:0696] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 01:10:10 | From: Bi.Bi. |
長谷川さん、談話室のみなさん、こんばんは。
Bi.Bi.です。 [danwa:0688] 長谷川さん > Bi.Bi.さん [danwa:0675] > > 私の試みを誤解されているようですので、 > > 繰り返しになるでしょうけどコメントさせていただきます。 > > > > 私が設定したモデル([danwa:0634][danwa:0639])は、 > > 球面に対する接平面に拘束されたモデルです。 > > このモデルですと、ω×(ω×r0) の項もω×(ω×r') も消えません。 > > たとえω×(ω×r0)の項を無視しても円運動にはならないのです。 > > > > そしてジオイドの接平面に拘束されたモデルでは ω×(ω×r0) は消えても > > ω×(ω×r')の項は消えない([danwa:0643])、それで円運動にならないと言っているのです。 > > えっ?接平面上で議論しているんですか? 違いますよ。これは次の発言に対するコメントです。 [danwa:0670] 石坂さん > ※[danwa:0640]以下の議論では「[danwa:0634][danwa:0639]Bi.Bi. > さんのようにω×(ω×r0) の項は無視してω×(ω×r') の項だけ > 単独に取り出して考慮する、ということはできない」ということを > 示そうとしていました。 今は接平面で議論しているのではないでしょう。 確かに上記は[danwa:0634][danwa:0639]のころの議論で、 接平面をモデルとしていました。 その結果、円運動は得られないというのが帰結です。 で、このモデルの妥当性はなにも議論していません。 ただ、これらの結果は次のことを示唆しています。 高気圧で束縛するというのはとてもデリケートなことである。 これが当時の私の解釈でした。 ところで、モデル設定を明確にして議論しないと話がまとまりませんねー。 今はジオイドに拘束された質点モデルと思っていたのですが 石坂さんはそうでもないようです。 まずは、どんなモデルで議論しているのかを明確しなくてはならないようですね。 Bi.Bi. |
[danwa:0697] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 01:10:11 | From: Bi.Bi. |
浜口さん、こんばんは。 [danwa:0691] 浜口さん > しかしそれは,大気の運動が,球面(地球表面)に束縛されているのではなく > て,球面の接平面に束縛されていると仮定していることになりませんか? そんなことはないでしょ。 回転系で地面に拘束されているとして解いたのと違うんですか? ただし、 [danwa:0672] 浜口さん > (向心力)= (気圧傾度力) - 2ω×v' ……<4> これをそのまま解くのでなく、地面に射影した成分の解を求めるんですよね。 そうでないと、地面に拘束されません。 まだ、議論が終わってませんが、私は地面をジオイドと想定し、 解はジオイドの接平面でなく切断面の境界と考えています。 Bi.Bi. |
[danwa:0698] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 09:08:48 | From: Bi.Bi. |
浜口さん、みなさん、おはようございます。 Bi.Bi.です。 >ただし、 >[danwa:0672] 浜口さん >> (向心力)= (気圧傾度力) - 2ω×v' ……<4> > >これをそのまま解くのでなく、地面に射影した成分の解を求めるんですよね。 >そうでないと、地面に拘束されません。 > >まだ、議論が終わってませんが、私は地面をジオイドと想定し、 >解はジオイドの接平面でなく切断面の境界と考えています。 うん? 地面に射影した成分を接断面方向と接断面に垂直な方向に分解すると、 前者は円運動、後者は中心から離れる運動になりますね。 これが正しければ、ジオイド拘束モデルでも円運動は得られないということですね? Bi.Bi. |
[danwa:0699] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 09:51:52 | From: 浜口 |
こんにちは,浜口です。
([danwa:0696]Bi.Bi.さん) >まずは、どんなモデルで議論しているのかを明確しなくてはならないようですね。 賛成! ([danwa:0696]Bi.Bi.さん) >今はジオイドに拘束された質点モデルと思っていたのですが >石坂さんはそうでもないようです。 では,ジオイド面に拘束された運動ということにしましょう。 といっても,ジオイド面の具体的な形を知りませんし,私は,球面で近似し て十分だと思うので,球面をイメージしています。 何にせよジオイド面は「いたるところ鉛直方向と垂直な面」と特徴づけてかま わないですよね。 (注)鉛直方向:糸で錘(おもり)をつるしたときの方向。 有効重力(地球重力と地球自転遠心力の合力)の方向。 石坂さんはどうなんでしょうね。 ([danwa:0683]石坂さん) > 地球の引力は地球中心に向かっているので、静止系(宇宙)からある地点 >(高気圧の中心:r0)を見ると、そのまわりの地点(r')の重力はr0に向か >う成分(内向き成分)を持っているように見えます。 > このN+gの水平成分の差分(※)が気圧傾度力よりも大きければ高気圧 >でも向心力が確保できるのではないでしょうか? という発言をみると,どうもちがうような気がするんですが。 浜口 |
[danwa:0701] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 21:28:56 | From: Bi.Bi. |
浜口さん、談話室のみなさん、こんばんは。 Bi.Bi.です。 [danwa:0699] 浜口さん > といっても,ジオイド面の具体的な形を知りませんし,私は,球面で近似し > て十分だと思うので,球面をイメージしています。 これはちょっと微妙かも知れませんね。 遠心力の寄与が問題なので、 私は、質点の引力+遠心力の等ポテンシャル面で行きたいです。 取り扱いが複雑になってしんどいかなー? Bi.Bi. |
[danwa:0702] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 21:28:57 | From: Bi.Bi. |
談話室のみなさん、こんばんは。 Bi.Bi.です。 [danwa:0697] Bi.Bi. > [danwa:0672] 浜口さん > > (向心力)= (気圧傾度力) - 2ω×v' ……<4> > > これをそのまま解くのでなく、地面に射影した成分の解を求めるんですよね。 > そうでないと、地面に拘束されません。 これ、間違ってました。 平面に拘束された問題ならこれでいいんですが、 曲面なので、だめですね。 曲面に沿って運動するためには法線方向の力が向心力として必要でした。 [danwa:0698] Bi.Bi. > うん? > 地面に射影した成分を接断面方向と接断面に垂直な方向に分解すると、 > 前者は円運動、後者は中心から離れる運動になりますね。 > > これが正しければ、ジオイド拘束モデルでも円運動は得られないということですね? ということで、これは再考します。失礼しました。 静止系ではどうも束縛できそうにないですね。 でも、回転系だったら束縛できそう、 物理現象は座標系によらないのに、どうなってんでしょうね? Bi.Bi. |
[danwa:0703] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Fri, 22 Feb 2002 22:06:27 | From: 浜口 |
Bi.Bi.さん,こんばんは。 ([danwa:0701]Bi.Bi.さん) >私は、質点の引力+遠心力の等ポテンシャル面で行きたいです。 あ,私も同じです。 ([danwa:0699]浜口) > では,ジオイド面に拘束された運動ということにしましょう。 > > 何にせよジオイド面は「いたるところ鉛直方向と垂直な面」と特徴づけてかま >わないですよね。 ということです。 浜口 |
[danwa:0704] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sat, 23 Feb 2002 12:22:14 | From: 長谷川 |
談話室のみなさん、こんばんは。長谷川です。 浜口さん [danwa:0703] > ([danwa:0701]Bi.Bi.さん) > >私は、質点の引力+遠心力の等ポテンシャル面で行きたいです。 > > あ,私も同じです。 > > ([danwa:0699]浜口) > > では,ジオイド面に拘束された運動ということにしましょう。 > > > > 何にせよジオイド面は「いたるところ鉛直方向と垂直な面」と特徴づけてかま > >わないですよね。 > > ということです。 たぶん用語の問題だと思うのですが、 石坂さん [danwa:0693] > ジオイドは大陸による重力の効果を考慮した平均海水面のことです > (例えば富士山のところでは地球回転楕円体に対して3mほどジオイ > ドは持ち上がっています)。 > ジオイドは実際の地球の重力場を観測することで得られますが、当然 > ながら、かなり複雑な形をしています。 ということですので、ジオイドというのは複雑ですね。 もっと均質な地球が遠心力で赤道方向に膨らんだだけの「回転楕円体」が、 適当なモデルですね。 もちろん、「いたるところ鉛直方向と垂直な面」というのはOKです。 |
[danwa:0705] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sat, 23 Feb 2002 16:31:27 | From: 石坂 |
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。 [danwa:0694]浜口さん: >> でも私には<3>式が鉛直方向の運動を扱っている式には見えません。 > > え? じゃどうしてNやgが出ているの? > >(3)や<3>の文字はすべてベクトルでしょ。一般的な3次元の運動を記述 >していると誰でも思いますよ。 そうですね。私の説明が足りなかったようです。 私は[danwa:0669]で: > 空気は地面をすり抜けて下に行くこともなければ、地球の自転に > 伴う遠心力によって地面から引き離されてしまう事もありません。 と書き、また、 > できますよね。空気(気塊)は質点のように地面に乗っかっている、 とも書きました。その後に続く[danwa:0670]でも空気の運動(加速度) は水平成分のみである状況を考えていました。 それでいながらNやgを出したのは、この項がなければ、遠心力の項 ω×(ω×(r0+r'))を消去できなかったからです。 最終的に得たい式:(向心力)= −2ω×v' +(気圧傾度力) を 知っていればこその「ごまかし」をしていたのかもしれません。 というわけで、議論のスタート地点として、地球のモデルを [danwa:0704]長谷川さん: > もっと均質な地球が遠心力で赤道方向に膨らんだだけの「回転楕円体」が、 > 適当なモデルですね。 > >もちろん、「いたるところ鉛直方向と垂直な面」というのはOKです。 ととること、了解です。 石坂 |
[danwa:0706] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sun, 24 Feb 2002 01:05:02 | From: 浜口 |
石坂さん,Bi.Bi.さん,こんばんは。 浜口です。 ([danwa:0705]石坂さん) > というわけで、議論のスタート地点として、地球のモデルを > >[danwa:0704]長谷川さん: >> もっと均質な地球が遠心力で赤道方向に膨らんだだけの「回転楕円体」が、 >> 適当なモデルですね。 >> >>もちろん、「いたるところ鉛直方向と垂直な面」というのはOKです。 > >ととること、了解です。 これでスタート地点が一致できましたね。 残された問題は,高気圧の地衡風(傾度風)が可能か,ということです。 ([danwa:0683]石坂さん) > 地球の引力は地球中心に向かっているので、静止系(宇宙)からある地点 >(高気圧の中心:r0)を見ると、そのまわりの地点(r')の重力はr0に向か >う成分(内向き成分)を持っているように見えます。 > このN+gの水平成分の差分(※)が気圧傾度力よりも大きければ高気圧 >でも向心力が確保できるのではないでしょうか? という石坂さんの議論で,“水平成分”とはどういう意味でしょう。 ジオイド面に平行な成分のことですか? 浜口 |
[danwa:0707] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sun, 24 Feb 2002 15:45:06 | From: 長谷川 |
談話室のみなさん、こんにちは。長谷川です。 浜口さん [danwa:0706] > 残された問題は,高気圧の地衡風(傾度風)が可能か,ということです。 つまり、高気圧のまわりを回っているのに、その拘束力はどこからくるのか? ということですよね。 こんなのをちょっと考えてみたのですが、いかがでしょうか? 今考えている回転楕円体モデルでは、いたるところで重力(地球の引力+地球 の自転による遠心力)が、地面に対して垂直です。 ですから、地球回転系で地球の引力だけを考えると、地面に平行な成分は北極 の方(赤道とは反対の方向)を向いています。また地球の自転による遠心力の地 面と平行な成分は、赤道の方向を向いています。で、この2つはちょうど打ち 消しあっています。 次に、地球表面に沿って地球より速い角速度で自転している系を考えてみます。 すると、遠心力が大きいため、このような系では重力(引力+遠心力)は赤道の 方へ傾いていて、地面に平行な成分は赤道方向に向いています。 反対に、地球の自転より遅い角速度で自転している系を考えると、重力(引力 +遠心力)は北極の方へ傾いていて、地面に平行な成分は北極方向に向いてい ます。 で、高気圧のまわりを時計回りにまわる気塊を考えると、高気圧より北側では 東へ移動、高気圧より南側では西へ移動していますから、気塊は上に書いた2 つの系の間を乗り換えながら高気圧のまわりを回っている。 という感じなんですが…。 この考えでは、地球が球でなく回転楕円体であることが効いています。 気塊の動きを慣性系から見ると、高緯度地域を地球の自転より速く進む気塊が、 地球の自転より先行しながら(回転楕円体である)地面の傾斜を振り切って低緯 度地域へ移動する。 しかし低緯度地域では地球の自転の(角速度は同じだけど)速さが速いため、気 塊は地球自転より遅くなり、地面の傾斜に負けて高緯度地域へ移動する…。 でもまだ計算は全然していませんので、こんなので気塊を拘束できるのかどう かわかりませんが…。 |
[danwa:0708] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Sun, 24 Feb 2002 21:27:33 | From: Bi.Bi. |
談話室のみなさん、こんばんは。 Bi.Bi.です。 長谷川さんは [danwa:0707]で、 > つまり、高気圧のまわりを回っているのに、その拘束力はどこからくるのか? ということで、高気圧で拘束するのが可能との説を試みておられますが、 私はこれには否定的になってきました。 [danwa:0702] Bi.Bi. > [danwa:0697] Bi.Bi. > > [danwa:0672] 浜口さん > > > (向心力)= (気圧傾度力) - 2ω×v' ……<4> > > > > これをそのまま解くのでなく、地面に射影した成分の解を求めるんですよね。 > > そうでないと、地面に拘束されません。 > > これ、間違ってました。 > 平面に拘束された問題ならこれでいいんですが、 > 曲面なので、だめですね。 > 曲面に沿って運動するためには法線方向の力が向心力として必要でした。 曲面に沿って自由に動くために、 垂直抗力が調整されます。これをN’とあらわしましょう。 そうすると<4>は一般に正しくなくて、正確な式は (向心力)= (気圧傾度力) - 2ω×v' + N’ ……<4>’ 今問題としているのはこれが等速度円運動を与えるかということです。 <4>で考えていたから、円運動可能と思ってしまうんですね。 ここで、<4>’が等速円運動を与えると仮定してみます。 すると、左辺のベクトルの方向はこの円運動が作る平面内になければなりません。 一方、左辺の- 2ω×v' はv'が南か北を向いているときはこの平面内にありますが、 それ以外はこの平面に垂直な成分を持ちます(平面成分は同じ値)。 N’がこの垂直成分をキャンセルしてくれたら、めでたしめでたしなのですが、 N’は曲面に垂直な方向で平面に垂直な方向ではありません。 つまり、N’はこの垂直成分をキャンセルしてくれないのです。 よって、等速円運動の向心力を得るのは不可能です。 ということで、 [danwa:0691] 浜口さん > >> 静止系で不可能なら地面系でも不可能なはずですよね。 > > > >でも、回転系で可能だから、静止系でも可能のはずです。 > > ほんとに「回転系で可能」なんですか? 「回転系で可能」はウソのようですね。 Bi.Bi. |
[danwa:0709] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Thu, 28 Feb 2002 13:19:44 | From: 石坂 |
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。 [danwa:0706] 浜口さん: >([danwa:0683]石坂さん) >> 地球の引力は地球中心に向かっているので、静止系(宇宙)からある地点 >>(高気圧の中心:r0)を見ると、そのまわりの地点(r')の重力はr0に向か >>う成分(内向き成分)を持っているように見えます。 >> このN+gの水平成分の差分(※)が気圧傾度力よりも大きければ高気圧 >>でも向心力が確保できるのではないでしょうか? > > という石坂さんの議論で,“水平成分”とはどういう意味でしょう。 > ジオイド面に平行な成分のことですか? について、静止系での話に入る前に、とりあえず回転系での話を自分なりにつ めてしまいたいので、[danwa:0683]については一旦保留させてください。 また、[danwa:0704]長谷川さんが書いているように、単なる言葉の問題なん でしょうが、私が採用しているのはジオイドではありません。地球だ円体(回 転楕円体)です。 運動方程式の水平成分(鉛直方向に垂直な方向の成分)を求めるのに、法線 ベクトル等を使うのですが、地球楕円体の方が簡単な関数で与えることができ て楽なので・・・。 ジオイドも地球だ円体も、いたるところ g'=g - ω×(ω×r) に垂直な面 (等ポテンシャル面)ですが、ジオイドが g に関して、実際の地球内部の密度 分布や地形による影響などを考慮して、地球中心からの距離が同じでも、場所 によって大きさを変えているのに対して、地球楕円体では、g を単なる中心か らの距離の関数としているところが違います。ジオイドは観測値であり、地球 だ円体はその近似(モデル)です。 石坂 |
[danwa:0710] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date:Thu, 28 Feb 2002 23:25:50 | From: 浜口 |
石坂さん,こんばんは。 ([danwa:0709]) >について、静止系での話に入る前に、とりあえず回転系での話を自分なりにつ >めてしまいたいので、[danwa:0683]については一旦保留させてください。 保留とは? ご自分でご自分の主張の是非がわからない,ということでしょうか。 それなら「わからないので取り下げます」といっていただくほうがありがた いです。 [danwa:0683]に対する反論を書かなくてすむので。 浜口 |
[danwa:0711]Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Sun, 3 Mar 2002 18:13:53 | From:石坂 |
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。 高気圧の傾度風の向心力について検討しなおしましたが、やはり、 回転系でも、静止系でも向心力が存在し、「高気圧・右回り」(北半球)が 可能だという結果が出ました。 回転系では、 気圧傾度力 + コリオリの力 が向心力となります。 静止系では 気圧傾度力 +{N+gから気塊が地球と一緒に(ただし地面に対してv' で運動していることを考慮して)回転するための向心力を差し引いたもの} が、向心力になります。 気塊にかかる加速度の水平成分が向心力となるわけではありませんが、水 平成分を求めておくと、向心力の計算が楽になります。 まず、回転系での運動方程式を見ます。 回転系(地球系)で見た、地球上のrにおける運動方程式は[danwa:0670] の(3)式を書き直して、 a'= ap+N + g' - 2ω×v' ・・・(1) ここで、apは気圧傾度による加速度、Nは垂直抗力の項、g'は有効重力 加速度:g' = g - ω×(ω×r) 、です。 高気圧の中心の座標r0と気塊の座標r との関係はr= r0 + r' です。 向心力は a'の r'方向の成分となりますが、まず水平成分を求めてから、 向心力を計算することにします。 r における水平方向の単位ベクトル(地球だ円体の接線ベクトル)をl とすると(方向はr'の水平面上での方向にあわせると)、a'の水平成分 a'// は a'・l で求められます。 (1)の辺々とlとの内積をとると、 a'// = a'・l = ap・l - 2(ω×v')・l ・・・(2) (1)式でN+g'=0なんてことをすることはできませんが、Nや g’はlと垂直なのですから、内積を取ると一緒に消えます。 (2)式の右辺は気圧傾度力とコリオリの力の水平成分の和になっています。 l と r' とのなす角度をθとすると、求める向心力は (向心力)= a'// ÷ cosθ ・・・(3) となります(ここで cosθ = (r'・l)÷|r'| )。 実際の式は長くなるので書きませんが、(3)式は基本的に (向心力)=(気圧傾度力の項)+(コリオリの力の項) の形になっています。 高気圧の場合、気圧傾度力と風速v'の大きさに対して制限はありますが、 回転系で見たとき、北半球で「高気圧・右回り」が可能となります。 さて、続いて静止系で見ることにしましょう。 静止系(宇宙から見たとき)での気塊の運動方程式は[danwa:0683]で述べた ように、(1)式から慣性項を消去したような a = ap+N + g ・・・(4) です。この時、加速度 a の中には地球と一緒に回転するための向心力が含まれ ています。 地球と一緒に、と書きましたが、気塊は地面にたいしてv'で動いているので、 回転角速度は地球の自転角速度ωとは違います。これをω'とおきます。 ここでは簡単のため、高気圧中心の真北(南)で緯度線に沿って東(西)方向 に対地速度 v'で動いている気塊の運動方程式を考えます(この時 ω' // ω)。 a から気塊がω'で回転するための向心力を引いたものを a" とすると、 a" = ap+N + g - ω'×(ω'×r) ・・・(5) v'の大きさは地球の自転速度 ω×r の大きさよりずっと小さい、として (5)式の右辺第4項を展開すると、 a" = ap+N + g - ω×(ω×r) - 2ω×v' ・・・(6) となります。 (6)式は(1)式と全く同じ形をしています。 したがって(6)式についても、まず加速度 a"の水平成分を求め、つい でr'方向の加速度(向心力)に換算する、ということをすると、 (向心力)=(気圧傾度力の項) +(重力+垂直抗力−地球とともに{ただし速度v'+ ω×rで} 回転するための力、の項) となります。 右辺第2項(重力+垂直抗力−地球とともに{ただし速度v'+ ω×rで} 回転するための力、の項)の大きさは回転系でのコリオリの項の大きさと同じ ですから、回転系で「高気圧・右回り」が可能なら、静止系でも「高気圧・ 右回り」が可能ということになりませんか? 石坂 |
[danwa:0712] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Mon, 4 Mar 2002 22:18:39 | From:長谷川 |
談話室のみなさん、こんばんは。長谷川です。 Bi.Bi.さん [danwa:0708] > 今問題としているのはこれが等速度円運動を与えるかということです。 > ・・・・・・ > よって、等速円運動の向心力を得るのは不可能です。 等速円運動に限る必然性はないのでは? 高気圧のまわりに束縛されて回転することが可能か?ですから、地球上のある 点からの距離が一定の範囲であれば、多少遠ざかったり近づいたり、また、地 面に対する速さも速くなったり遅くなったりしてもいいのではないでしょうか。 > 一方、左辺の- 2ω×v' はv'が南か北を向いているときはこの平面内にありますが、 > それ以外はこの平面に垂直な成分を持ちます(平面成分は同じ値)。 > N’がこの垂直成分をキャンセルしてくれたら、めでたしめでたしなのですが、 > N’は曲面に垂直な方向で平面に垂直な方向ではありません。 > つまり、N’はこの垂直成分をキャンセルしてくれないのです。 これは向心力が一定にならないというだけで、力が外向きになるとかいうこと ではないですよね。絶えず内向きなら、この円から多少はずれるにしても、束 縛される可能性はあるように思います。 私が[danwa:0707]で書いたことのエッセンスは、地球が球ではなく回転楕円体 だと考えれば束縛可能ではないかということです。 一番簡単な例を挙げてみます。 地球と一緒に回転しているものを考えます。これは慣性系から見ると円運動し ています。その向心力は、地球が球ではないため、地球の引力(慣性系から見 ているので、遠心力はなし)の方向と地面が垂直でないことで得ています。 次に、慣性系から見て、地球の角速度と同じ角速度で反対向きに地表を動いて いるものを考えます(摩擦は無視します)。これも上と同じだけの向心力があり ますので、この北極を中心とした地球とは反対向きの円運動は可能です。 これを地面系から見ると、西向きに24時間で地球を2周しているように見え ます。 さらに、これに北極を中心とする斥力が働くとしても、斥力の大きさによって は、上で書いた角速度より遅い角速度でなら回転することか可能になります。 問題は、北極ではなく中緯度の場所の周りを回るような状況が可能かどうかと いうのが問題になるでしょうが、とりあえず北極中心というのはいかがでしょ うか? |
[danwa:0714] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Mon, 4 Mar 2002 23:04:38 | From:浜口 |
みなさん,こんばんは. 浜口です. 地学の教科書にはいったいどんなことが書いてあるんだろう,と不思議だっ たので, 『一般気象学 第2版』(小倉義光 東京大学出版会 ¥2800) という本を買って,読んでみました. 高気圧の地衡風(傾度風)の謎,解けたように思います.(゜-゜)v 謎というのは, ([danwa:0678]浜口) >「高気圧・右回り」は可能なのでしょうか。 > 静止系でみると,コリオリ力はなくて,しかも気圧傾度力は外向きなので, >どう考えても向心力が確保できません。 > したがって,静止系でみると高気圧の周囲の円運動は不可能です。 > > 静止系で不可能なら地面系でも不可能なはずですよね。 にもかかわらず,地学の本では「高気圧の周囲の円運動は地面系で可能」と されている,というものでした. 石坂さんからすでに結論が出されていますが([danwa:0711]),私も,私なり の言い方で述べてみます. ********** 本質を見やすくするため,北極点に高気圧の中心があるとします. 〔1〕不可能であるという議論 高気圧の周りの,気塊の円運動を記述する運動方程式(ma=F)の,法線方 向内向きの成分は, 静止系で: v^2/r = −P ……<1> vは速度で右回りを正としておきます. Pは気圧傾度力の大きさです(P>0), 明らかに<1>式をみたすvは存在しません. つまり,静止系では円運動は不可能です. (斥力だけでは円運動はできないというあたりまえのことですね) この方程式を,地面系(回転系)に翻訳すると,回転系の慣性力である「コリ オリ力と遠心力」が現れて,次のようになります. 地面系で: V^2/r = −P + 2ωV − rω^2 ……<2> Vは地面系での速度で,右回りを正としておきます. ωは地球自転の角速度の大きさです. <2>をみたすVは存在するかというと,Vについての2次方程式 V^2 − 2ωrV + (Pr+ω^2 r^2) = 0 を解いてみるとわかりますが, V = ωr ± Sqrt{(ωr)^2 − (Pr+ω^2 r^2)} = ωr ± Sqrt{−Pr} やはり,Vは存在しません. つまり,地面系でも円運動は不可能です. いずれにせよ不可能ということになります. 〔2〕可能であるという議論 では,地学の本では,なぜ可能となっているのでしょうか? 地学の本では上の議論といったいどこが異なっているかを見てみると,方程 式<2>が異なっていることがわかります. 地学の本では<2>のかわりに次の方程式が書かれています. 地面系で: V^2/r = −P + 2ωV ……<2'> <2>と比べて,遠心力の項(−rω^2)がないんです! これだと,Vに対する2次方程式は V^2 − 2ωrV + Pr = 0 となり,解は, V = ωr ± Sqrt{(ωr)^2 − Pr} となります.したがって, (ωr)^2 − Pr ≧ 0 ……<条件A> という条件をみたす範囲でVは存在します. つまり,地面系で,円運動は可能です. この状況を静止系に翻訳してみます.<2'>より,静止系での方程式は, 静止系で: v^2/r = −P + rω^2 ……<1'> となるべきことがわかります. これなら,<条件A>のもとで解は存在し,vは v = ±Sqrt{(ωr)^2 − Pr} となります. つまり,静止系でも円運動は可能です. いずれにせよ可能ということになります. 〔3〕結論 <2'>式は,これまで談話室のやりとりに何度も何度も出てきたのに,私 はその式の異常さに今まで気がつかなかったのでした! (本来あるべき遠心力の項がない,という異常さです. 〔1〕と〔2〕を比較してみて,ようやく気づくことができました) なぜ方程式<2'>に遠心力の項がないのか? その理由こそが謎の要(かなめ)です. と盛り上げたところで,ちょっと休憩しましょう.(-。-)y-゜゜゜ ちなみに,上記の本では,<2'>式は142ページに出てきますが,遠心力の 項がないことの理由はどこにも書かれてないんです. 浜口 |
[danwa:0715] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Mon, 4 Mar 2002 23:12:46 | From:浜口 |
みなさん,こんばんは. 浜口です. 続きです. ([danwa:0714]浜口) > なぜ方程式<2'>に遠心力の項がないのか? > その理由こそが謎の要(かなめ)です. その理由はズバリ! 「ジオイド面上の運動を考えているから」 です. 地面系で,ジオイド面上では「万有引力と遠心力の合力は面に垂直」です. 遠心力の項(ジオイド面に平行な遠心力の成分)は,万有引力を道連れに,消 えてしまいます. (ジオイド面に沿う運動を考えているからこそ,方程式<2'>には遠心力も 万有引力も出てこない,ということですね) 次に,静止系ではどうでしょうか. 遠心力がないので,万有引力の,ジオイド面に平行な成分が効いてきます. しかもその成分は,高気圧の中心(北極)に向いています. それが向心力となります. 以上で解決したと思います. 要点は「ジオイド面上の運動を考えているから」でした.(^_^) 地学の本に対して注文が許されるなら,方程式<2'>の説明として, 「ジオイド面上の運動を考えているから,遠心力の項はないのだ」 と明記してほしいものです.ほんまにもう! 浜口 |
[danwa:0716] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Tue, 5 Mar 2002 11:44:12 | From:Bi.Bi. |
談話室のみなさん、こんにちは。 いろんな解答がでてきましたねぇー。 まだみなさんの論理をきっちり追わずになんなんですけど、 私の発言にいただいたコメントにお応えしたいと思います。 [danwa:0712] 長谷川さん >Bi.Bi.さん [danwa:0708] >> 今問題としているのはこれが等速度円運動を与えるかということです。 >> ・・・・・・ >> よって、等速円運動の向心力を得るのは不可能です。 >等速円運動に限る必然性はないのでは? 地学の教科書をすべてではないですが、もう一度みたのですが、 どこにも空気を円運動として拘束するとは書いていないんですね。 で、何を与えているかというと 等圧線の曲率と気圧傾度力を与えたら、 傾度風の風速が得られるという公式(近似式) なんですよ。 つまり、グローバルな運動を議論しているのでなく、 局所的に考察している、そのために道具(公式)を与えている のだ、と思います。 私たちは「円運動として拘束すると書いてある」 と思い込んでしまったのではないでしょうか? >高気圧のまわりに束縛されて回転することが可能か?ですから、地球上のある >点からの距離が一定の範囲であれば、多少遠ざかったり近づいたり、また、地 >面に対する速さも速くなったり遅くなったりしてもいいのではないでしょうか。 > >> 一方、左辺の- 2ω×v' はv'が南か北を向いているときはこの平面内にありますが、 >> それ以外はこの平面に垂直な成分を持ちます(平面成分は同じ値)。 >> N’がこの垂直成分をキャンセルしてくれたら、めでたしめでたしなのですが、 >> N’は曲面に垂直な方向で平面に垂直な方向ではありません。 >> つまり、N’はこの垂直成分をキャンセルしてくれないのです。 >これは向心力が一定にならないというだけで、力が外向きになるとかいうこと >ではないですよね。絶えず内向きなら、この円から多少はずれるにしても、束 >縛される可能性はあるように思います。 ここでは述べませんでしたが、常に南向きの成分があります。 (わたしの計算が正しければですが) これは静止系で考えた場合とつじつまがあいます。 つまり、北半球をとおる大円は必ず、南半球もとおる。 (地球楕円体はほとんど球なので、球として考察しています) Bi.Bi. |
[danwa:0717] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Tue, 5 Mar 2002 19:33:33 | From:長谷川 |
談話室のみなさん、こんばんは。長谷川です。 どうやら、石坂さんと浜口さんと私が相次いで投稿した[danwa:0711]〜 [danwa:0715]は、表現はかなり違っていますが同じ結論に達したのではないか と思うのですが、いかがでしょう。 ところで、 Bi.Bi.さん [danwa:0708] > すると、左辺のベクトルの方向はこの円運動が作る平面内になければなりません。 > 一方、左辺の- 2ω×v' はv'が南か北を向いているときはこの平面内にありますが、 > それ以外はこの平面に垂直な成分を持ちます(平面成分は同じ値)。 Bi.Bi.さんがここで考えている「平面」は、等速円運動と仮定したときの円運 動がつくる平面、つまり地球をこの円運動の軌道で切り取った切断面ですよね。 とすると、v' が南か北を向いているときの -2ω×v' は、その場所での接 平面内にあるのであって、「この平面」内にはない、つまり「この平面」に垂 直な成分も持っていると思います。 Bi.Bi.さん [danwa:0716] > ここでは述べませんでしたが、常に南向きの成分があります。 > (わたしの計算が正しければですが) これは、つまり上記で考えた円軌道では、軌道の北端では中心向きの力が強く て、南端では中心向きの力が弱い(Bi.Bi.さんは、中心とは反対向きになる可 能性もあるのでは?と思っておられるかもしれませんが…)ということですね。 切断面を考えたのでちょっとわかりにくくなっていますが、これは軌道の各点 でのコリオリ力の地面に平行な成分で考えると、緯度によってコリオリ力の大 きさが違うことを意味しているのではないでしょうか。 そこでまず、各点でのコリオリ力を地面に水平な成分と垂直な成分で考えます。 そして、『「コリオリ力の地面に垂直な成分」と「重力(引力+遠心力)」と 「垂直抗力」の和』と『コリオリ力の地面に平行な成分』のベクトル和が、円 軌道の切断面内にあるように「垂直抗力」が決まると考える。この方がスッキ リしませんか?(これは、円軌道のどの場所でも構いません) こう考えると、切断面で中心に向かう力は、各点でのコリオリ力の地面に平行 な成分÷cos(切断面と地面のなす角) となります。 円軌道上での地面と切断面のなす角はほとんど一定(回転楕円体なので少し変 化しますが…)ですので、各点でのコリオリ力の地面に平行な成分は、緯度に よって変化するので、その分、切断面で中心に向かう力は変化する…というこ とになります。 いかがでしょうか? |
[danwa:0718] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Tue, 5 Mar 2002 23:51:20 | From:Bi.Bi. |
長谷川さん、こんばんは。 Bi.Bi.です。 [danwa:0717] 長谷川さん > Bi.Bi.さん [danwa:0708] > > すると、左辺のベクトルの方向はこの円運動が作る平面内になければなりません。 > > 一方、左辺の- 2ω×v' はv'が南か北を向いているときはこの平面内にありますが、 > > それ以外はこの平面に垂直な成分を持ちます(平面成分は同じ値)。 > Bi.Bi.さんがここで考えている「平面」は、等速円運動と仮定したときの円運 > 動がつくる平面、つまり地球をこの円運動の軌道で切り取った切断面ですよね。 > > とすると、v' が南か北を向いているときの -2ω×v' は、その場所での接 > 平面内にあるのであって、「この平面」内にはない、つまり「この平面」に垂 > 直な成分も持っていると思います。 これ、本当? g’×v' なら接平面内と思いますが。 ωを切断面に垂直な方向とv'方向に分解すると -2ω×v' =−2ω(垂直)×v' −2ω(v')×v' 右辺第1項は切断面内、第2項は0になると思うんですけど、 どこか間違ってます? ここがひっかかって、このあとの議論はまだ読んでません。 このことが効いてきませんでしょうか? Bi.Bi. |
[danwa:0719] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Wed, 6 Mar 2002 00:45:19 | From:長谷川 |
Bi.Bi.さん、談話室のみなさん、こんばんは。長谷川です。 Bi.Bi.さん [danwa:0718] > > とすると、v' が南か北を向いているときの -2ω×v' は、その場所での接 > > 平面内にあるのであって、「この平面」内にはない、つまり「この平面」に垂 > > 直な成分も持っていると思います。 > > これ、本当? > g’×v' なら接平面内と思いますが。 3次元を考えるのは難しいですね。それを文章で書いて伝わるかどうか?なの ですが…。 Bi.Bi.さんが [danwa:0708] で > 一方、左辺の- 2ω×v' はv'が南か北を向いているときはこの平面内にありますが、 と書いているv'が南か北を向く地点と、 [danwa:0718] > ωを切断面に垂直な方向とv'方向に分解すると ということができる地点が、同一地点ではないと思いますがいかがでしょう。 後者は、切断面上で、円周の最北地点から90度離れた地点ですね。この地点 では、v'ベクトルとωベクトルと切断面に垂直なベクトルの3つのベクトル の方向が同一面内にありますから、確かに > ωを切断面に垂直な方向とv'方向に分解すると > -2ω×v' =−2ω(垂直)×v' −2ω(v')×v' > 右辺第1項は切断面内、第2項は0 になります。 ところが、前者のv'が南または北というのは、その地点での南または北であ って、「接平面に垂直なベクトルの方向」と「ωベクトルの方向」を含む面内 にはありません。 よって、この場合はωを切断面に垂直な方向とv'方向に分解することはでき ません。 |
[danwa:0720] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Wed, 6 Mar 2002 18:31:38 | From:浜口 |
みなさん,こんにちは. 浜口です. ([danwa:0717]長谷川さん) >どうやら、石坂さんと浜口さんと私が相次いで投稿した[danwa:0711]〜 >[danwa:0715]は、表現はかなり違っていますが同じ結論に達したのではないか >と思うのですが、いかがでしょう。 そのようですね.(^_^) 特に長谷川さんのおっしゃっていることと,私の言っていることとは全く同 じだと思います. (石坂さんのも計算や結論は同じなんですが,その意味というか解釈について は何もおっしゃっていないので,真意はわかりません) しかし,地学の本には(といっても1冊しか見てませんけど),このこと(回 転系での方程式に遠心力が入らない理由)は明記されていないようですねえ. 地学関係者はこういう疑問を持たないのかな. 浜口 |
[danwa:0721] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Wed, 6 Mar 2002 20:47:09 | From:Bi.Bi. |
長谷川さん、こんばんは。 [danwa:0719]長谷川さん きました: >ところが、前者のv'が南または北というのは、その地点での南または北であ >って、「接平面に垂直なベクトルの方向」と「ωベクトルの方向」を含む面内 >にはありません。 おっしゃっていること、理解できました。 わたしのいう南北が厳密でないということですね。 では南北を次のように訂正させて下さい。 接断面を張る単位ベクトルをi,jとしましょう。 ただし、この接断面内で、jが東向き、iはそれに垂直な単位ベクトル、 とします。 私が南北と言ったのをiに平行と訂正して下さい。 私の議論は円軌道を仮定すると、円運動の向心力以外に、 赤道方向への力が生じる。 すなわち、円軌道を第0近似として、この赤道方向の力を摂動として加えると、 赤道方向へずれるという補正が得られるのではないかな、 と思った次第です。定量的な計算はしていません。 [danwa:0717] (長谷川さん)の後半部分はまだ検討していません。 もうちょっと待って下さい。 Bi.Bi. |
[danwa:0722] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Wed, 6 Mar 2002 21:55:14 | From:長谷川 |
Bi.Bi.さん、談話室のみなさん、こんばんは。長谷川です。
Bi.Bi.さん [danwa:0721] > おっしゃっていること、理解できました。 > わたしのいう南北が厳密でないということですね。 伝わったようで、安心しました。 > 私の議論は円軌道を仮定すると、円運動の向心力以外に、 > 赤道方向への力が生じる。 > すなわち、円軌道を第0近似として、この赤道方向の力を摂動として加えると、 > 赤道方向へずれるという補正が得られるのではないかな、 > と思った次第です。定量的な計算はしていません。 つまり、円軌道を仮定した場合に、軌道の北側では中心に向かう力が強く、南 側では弱くなるということですね。私はそのことを否定しているわけではあり ません。 ただ、Bi.Bi.さんはコリオリ力を、円軌道の切断面に平行な成分と垂直な成分 に分けて考えようとしているために、定量的なことがわかりにくくなっている のだと思います。 > [danwa:0717] (長谷川さん)の後半部分はまだ検討していません。 > もうちょっと待って下さい。 [danwa:0717] の後半では、円軌道の各点でのコリオリ力を、一旦地面に平行 な成分と垂直な成分に分けて考えることによって、Bi.Bi.さんの話を書き直し ているだけです。 でもこの方が、なぜ > 円運動の向心力以外に、赤道方向への力が生じる。 (という表現は適切ではないと思っていますが)のかがわかりやすいと思います。 |
[danwa:0726] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Mon, 11 Mar 2002 20:59:57 | From:Bi.Bi. |
談話室のみなさん、こんばんは。
Bi.Bi.です。 私も拘束面で高気圧が空気を拘束できるという結論に達しました。 これは長谷川さん[danwa:0707]をちょっと厳密に取り扱ったものです。 静止系で考察します。 1.拘束面を2つの変数でパラメトライズする。 例えば極座標表示(r、θ、φ)で θをrの関数で書く。 2.外力は万有引力の拘束面成分を考える こうすることで、北極原点の2次元中心力(引力)問題と同等になります。 まず、高気圧による気圧傾度力0の極限で考えます。 当然ですが、定常解は地球の角速度で北極中心に円運動しているものが得られます。 これは地球回転系で見れば、地面にへばりついている解です。 これを、高気圧で、ちょっとだけ擾乱すれば、半径方向に振動する解となります。 うまく擾乱できれば高気圧の周りに回転する解が得られるでしょう。 ここで、「うまく」というのは 高気圧がここでパラメトライズされた2次元面で等方的ならOKであって、 そうでないときは困難かも知れません。 でも、必ずきっちり一周して元にもどる必要がなく、 局所的に円軌道で近似する立場ならこれで十分とおもいます。 私の疑問は円軌道から赤道方向へずれてしまう、ということでしたが、 ずれても赤道を越えなかったらよい、ということで問題は解決しました。 以上で私もみなさんと同じ結論に達したようです。 Bi.Bi. |
[danwa:0727] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Mon, 11 Mar 2002 23:34:01 | From:Bi.Bi. |
Bi.Bi.です。
申し訳ないです、手続きがひとつ抜けてました。 [danwa:0726] Bi.Bi. > > 1.拘束面を2つの変数でパラメトライズする。 > 例えば極座標表示(r、θ、φ)で θをrの関数で書く。 そして、sを次式で定義し ds=(1+r^2(dθ/dr)^2)^(1/2)dr 拘束面を(s、φ)でパラメトライズする。 sの増分が長さを表すようにするため、このように定義します。 > 2.外力は万有引力の拘束面成分を考える > > こうすることで、北極原点の2次元中心力(引力)問題と同等になります。 これで、たぶん間違いないと思います。 いかがでしょうか? Bi.Bi. |
[danwa:0728] Re: 高気圧の地衡風 | |
Date: Wed, 13 Mar 2002 17:34:47 | From:Bi.Bi. |
談話室のみなさん、こんにちは。
Bi.Bi.です。 [danwa:0726] Bi.Bi. >これは地球回転系で見れば、地面にへばりついている解です。 > >これを、高気圧で、ちょっとだけ擾乱すれば、半径方向に振動する解と なります。 >うまく擾乱できれば高気圧の周りに回転する解が得られるでしょう。 > これと似たことが理化学辞典に載っていますので紹介します。 地衡流 水平方向の圧力勾配とコリオリ力が釣り合っている流れ。その流れを地 衡流という。剛体回転を行っている流体がわずかに乱されると地衡流が 発生する。この性質を地衡流調節という。固体地球に相対的な流れは地 衡流になりやすい。(後略) つまり、地衡流のエッセンスは剛体回転ということなんでしょうね。 Bi.Bi. |
・・・さて、この先 話はどうなるのか?お楽しみに!・・・ | |
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