『科学談話室』の話題より
台風が左回りである理由
2002/05/18 話題提供
2002/09/07 最終更新
話題一覧
この話題は 台風の雲  からの続きです 


[danwa:0750] 台風が左回りである理由
Date: Sat, 18 May 2002 16:16:45 From:浜口
 談話室のみなさん,こんにちは.

 台風の周囲の空気が左回り(反時計回り)に回転している理由は,Bi.Bi.さん がおっしゃっているように,「もともと左回りに回っているからだ」というこ とです.

 これってそんなに難しいことでしょうか.

『うちゅう』5月号のMEMBERSのページに

>「地球が回ってるんだから,風も渦を巻くでしょ」以上のことを言おうとす
>ると難しく,深入りした説明は一般読者向けではないと断念しました。

  というコメントがありますが、別に難しくないと私は思うんです.

・台風発生の前には,もともと空気は地面に対して静止している.すなわち,地球自転にあわせて(北半球では)左回りに回転している.
・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.
・吸い込まれるにつれて回転速度が増していく.つまり,空気は地面に対して  左回りに回転することになる.

 わかりにくい方は次のイメージを持ってみてください.

・円形の盥(たらい)に水が入っている.
・底の中央に排水口がある.
・排水口の栓を抜くと水は吸い込まれていく.
・さて,栓を抜く前に,水が全体としてゆっくり左回りに回転していたとする.
(盥じたいが水を入れたまま,水と一緒にゆっくり左回りに回転していると思  ってもよい)
・すると,栓を抜いたとき,水は左回りの回転を増しながら吸い込まれていく.

   ここで「なぜ排水口の周囲の水は左回りなのか?」と問われれば「もともと 左回りに回転していたからだ」ということになりますよね.

   台風の場合も同様です.
 空気はもともと地面と一緒に左回りに回転していますから,低気圧に吸い込 まれるにつれて,左回りの回転が激しくなります.
 つまり,台風の周囲の空気は地面に対して左回りに回転することになります.

                                  浜口


[danwa:0754]Re: 台風が左回りである理由
Sun, 19 May 2002 20:18:48 From: 石坂
浜口さん、談話室のみなさん、こんばんは。

 台風の話題が復活、ですか・・・嵐の予感。

さて、

[danwa:0750]浜口さん:
>  台風の周囲の空気が左回り(反時計回り)に回転している理由は,Bi.Bi.さん
> がおっしゃっているように,「もともと左回りに回っているからだ」というこ
> とです.

 全くもって、異論はありません。おっしゃる通りだと思います。

 ただ、一つ確認させてください。

> ・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.
> ・吸い込まれるにつれて回転速度が増していく.つまり,空気は地面に対して
>  左回りに回転することになる.

 ここは「台風(低気圧)の空気が(北半球で)左回りになるには、
空気が吸い込まれることが必要条件である」ということですか?

「なぜ台風は左回転なのか?」という問いに答えるのに、「もともと
空気が地球自転に合わせて(北半球では)左回りに回転しているから」
だけでは足りない、と?

石坂


[danwa:0756]Re: 台風が左回りである理由
Tue, 21 May 2002 21:27:13 From:長谷川

浜口さん、談話室のみなさん、こんばんは。長谷川です。

浜口さん [danwa:0750]
> ・台風発生の前には,もともと空気は地面に対して静止している.すなわち,
>  地球自転にあわせて(北半球では)左回りに回転している.
> ・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.
> ・吸い込まれるにつれて回転速度が増していく.つまり,空気は地面に対して
>  左回りに回転することになる.

この「3番目」が結構重要なんじゃないでしょうか?


Bi.Bi.さんのメールを読んでいても、何か納得できないところがあったのは、
この3番目について書かれていなかったからではないかと思うのです。

私の場合、この科学談話室以外でもBi.Bi.さんと顔を合わせて議論ができてし
まうという特権(?)を持っていますので、この台風の話題についても、確か科
学談話室では話題が「高気圧の地衡風」に移ってしまってからもう一度話を聞
いて議論して、ようやくこの「3番目」に気付きました。

そのとき書き込みをしておけば、浜口さんに先を越されなかったのになぁ…。


この考えに行き着くと、

浜口さん [danwa:0614] Re: 台風の雲
> (Bi.Bi.さんの「自明」は,「地面が左巻きに回転しているからその上にくっ
> ついているものも一緒に左巻きに回転している」ということにすぎないのでは)
長谷川 [danwa:0615] Re: 台風の雲
> と、私も思います。

なんて思うこともなかったでしょう。


それに、この考えを高気圧にあてはめると、

・高気圧発生の前には、もともと空気は地面に対して静止している。すなわち、
地球自転にあわせて(北半球では)左回りに回転している。
・高気圧が発生すると、空気は高気圧から遠くへ押し出されていく。
・押し出されるにつれて回転速度が遅くなっていく。つまり、空気は地面より
地面より遅く左回りするので、地面に対しては右回りに回転することになる。

となって、高気圧が右回りなのも説明できてしまいます。


ということで、「空気がもともと左回りだったから」だけでは私は納得できな
かったのですが、「もともと左回りだった空気が、吸い込まれて回転速度を増
したから」ということで、ようやく目から鱗が落ちました。


[danwa:0759]Re: 台風が左回りである理由
Wed, 22 May 2002 20:30:13 From: 浜口

 石坂さん,みなさん,こんばんは.
 
([danwa:0754]石坂さん)
> ここは「台風(低気圧)の空気が(北半球で)左回りになるには、
>空気が吸い込まれることが必要条件である」ということですか?
 
 そうです.
 
>「なぜ台風は左回転なのか?」という問いに答えるのに、「もともと
>空気が地球自転に合わせて(北半球では)左回りに回転しているから」
>だけでは足りない、と?
 
「なぜ(右回転ではなく)左回転なのか?」という問いならば,「もともと空気
が地球自転に合わせて(北半球では)左回りに回転しているから」だけで足り
るでしょう.
 
 で?
                                浜口


[danwa:0763] Re: 台風が左回りである理由
Date:Sat, 25 May 2002 10:02:26 From: 浜口
 みなさん,こんにちは.浜口です.
 
 適切なフォローありがとうございます.>長谷川さん
 
([danwa:0756]長谷川さん)
>この「3番目」が結構重要なんじゃないでしょうか?
 
 はい,すごーく重要だと思います.
(このことに気づかないと,Bi.Bi.説が納得できない)
 
([danwa:0756]長谷川さん)
>そのとき書き込みをしておけば、浜口さんに先を越されなかったのになぁ…。
 
 ん? ずっと前にこのこと(「3番目」)を書いた記憶があるぞ…….
 と思って調べてみると,談話室にはアップしなかったようです.個人的にメ ールに書いただけでした.談話室に書くべきだった.
 科学館でBi.Bi.さんと直接このことを議論したことはありました.
 

([danwa:0756]長谷川さん)
>浜口さん [danwa:0614] Re: 台風の雲
>> (Bi.Bi.さんの「自明」は,「地面が左巻きに回転しているからその上にくっ
>> ついているものも一緒に左巻きに回転している」ということにすぎないのでは)
>長谷川 [danwa:0615] Re: 台風の雲
>> と、私も思います。
>
>なんて思うこともなかったでしょう。
 
 いやはや,まったくです.
 私もなかなかこのことに気づかず,Bi.Bi.説が理解できていませんでした.
(このことに気づいたときに「それまではBi.Bi.説が理解できていなかった」 ことをようやく自覚した)A^_^;;;;
 
**********
 
 さて,
 
 「3番目」よりもむしろ「1番目」を,Bi.Bi.さんは強調しておられたのだ,と いうことが,いま振り返るとよく見えてきます.
 
「1番目」
・台風発生の前には,もともと空気は地面に対して静止している.すなわち,
 地球自転にあわせて(北半球では)左回りに回転している.
「2番目」
・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.
「3番目」
・吸い込まれるにつれて回転速度が増していく.つまり,空気は地面に対して
 左回りに回転することになる.
 
 
 地面に対して静止している空気を考えます.
 空気は北極点Nを中心に回転しているのであって,低気圧発生予定地点Pを 中心に回転しているのではありません.
 それを「Pを中心に回転している,といってもよいのだ」ということを, Bi.Bi.さんは詳しく述べておられたのだと思います.
 
 北極点をN,
 低気圧発生予定地点をP,
 Pの北側の空気をA,
 Pの南側の空気をBとすると,
 
   N
 
 
 
   A→
    
   P→→
    
   B→→→
 
 このようにA,P,BはNを中心に回転しています.
 この状況をPを基準に考えると,
 
 
  ←A
 
   P

   B→
 
 のようになり,A,BはPの回りを左回りに回転していることになります.
 Bi.Bi.さんはここを強調しておられたのだ,と思われます.
 
 Bi.Bi.さんの意図はたぶん,
「「1番目」のことは自明ではないので,そこのところを詳しく説明しよう」 ということだったのでしょう.「1番目」さえわかればあとは簡単だと.
 
 いずれにせよ,Bi.Bi.さんの発案による説明(もともと左回りに回転してい るからだ)は,大変ユニークなものです.
 
 教科書の説明はコリオリ力を用いる説明ばかりで,Bi.Bi.説にあたる 説明を書いた教科書は見当たりません(私は知らない).
 だから,最初Bi.Bi.説が理解できなかったことは,やむをえないことです.
 しかし,きちんと理解できた以上,正当に評価すべきです.
 
                                 浜口


[danwa:0768] Re: 台風が左回りである理由
Date:Sun, 26 May 2002 20:22:54 From: 石坂
談話室のみなさま、お疲れ様です。

[danwa:0759]浜口さん:
>> ここは「台風(低気圧)の空気が(北半球で)左回りになるには、
>>空気が吸い込まれることが必要条件である」ということですか?
> 
> そうです.
> 
>「なぜ(右回転ではなく)左回転なのか?」という問いならば,「もともと空気
>が地球自転に合わせて(北半球では)左回りに回転しているから」だけで足り
>るでしょう.

「台風が左回りである理由」として「空気が吸い込まれること」は 必要なんですか? 必要じゃないんですか?

 2つの問題がごっちゃになっているのではないですか?

1)なぜ台風の空気は回転するのか?
2)なぜその回転は(北半球で)左回りなのか?

 何度も言うようですが、私は静止系で説明するのが嫌だと言っている わけではありません。1)と2)をごっちゃにして、2)に答えるのに は不必要な「吸い込み」を「すごーく重要」として一緒に扱うのはいか がなものか、と言っているのです。

 高気圧の場合、「なぜ右回りか」に答えるのに「空気の吹き出し」は 必要ありませんでした。
 答え:「高気圧左回りは向心力が無いので回転にならない」

 このことは、たとえば[danwa:0672]浜口さんにまとめられています。
>(向心力)= (気圧傾度力) - 2ω×v'   ……<4>
> 
> - 2ω×v'はコリオリ力だから
> 
> (向心力)= (気圧傾度力) + (コリオリ力)  ……<4'>
> 
>さて,内向き(円運動の中心に向かう向き)を正として,符号を整理すると,
>(もちろん北半球で)
> 
>         (気圧傾度力) (コリオリ力)
> 低気圧・左回り    正      負
> 低気圧・右回り    正      正
> 高気圧・左回り    負      負
> 高気圧・右回り    負      正
> 
> したがって,「高気圧・左回り」は絶対にありえないが,他のタイプは(条件
>次第では)可能である,といえそうですね.

 ここで使った<4>式は静止系の場合にも同じ形で書けること を[danwa:0711][danwa:0714]で見ました。
 つまり静止系でも回転系でも同じ結論が出てきます。
「高気圧がなぜ右回りか?」は静止系でも回転系でも「吹き出し」 を使わずに説明ができていますよね。

 それなのに、台風(低気圧)の場合は静止系では「吸い込み」 を使わずに説明して、回転系(地面系)では「吸い込み」を使っ て説明する、というのが納得がいかないのです。
 回転系、静止系双方で「吸い込み」を使わずに回転方向を説明 すべきではないですか?

石坂


[danwa:0773] Re: 台風が左回りである理由
Date: Mon, 27 May 2002 21:52:02 From:浜口
 談話室のみなさん,石坂さん,こんばんは.

  ([danwa:0768]石坂さん)
> 2つの問題をごっちゃになっているのではないですか?
>1)なぜ台風の空気は回転するのか?
>2)なぜその回転は(北半球で)左回りなのか?

   区別していますよ.
 その区別を意識して,私は
 
([danwa:0759]浜口)
>「なぜ(右回転ではなく)左回転なのか?」という問いならば,「もともと空気
>が地球自転に合わせて(北半球では)左回りに回転しているから」だけで足り
>るでしょう.
 
と書いたんです.
 わかってもらえなかったか…….(;_;)

  2)を理解するためには,前提として1)を理解していることが必要である.

  1)をすでに理解している人にとっては,「もともと空気が地球自転に合わせ て(北半球では)左回りに回転しているから」だけで,足りる.

  ということです.

    この点について,認識に不一致はないと思います.
 
**********
 
([danwa:0768]石坂さん)
>「高気圧がなぜ右回りか?」は静止系でも回転系でも「吹き出し」
>を使わずに説明ができていますよね。
 
「運動方程式」と「初期条件」を区別しましょう.
 
 高気圧の場合は「運動方程式」レベルで決着がつきます.
 
 低気圧の場合は「運動方程式」レベルでは決着がつかず(左回りも右回りも 解としては可能),「初期条件」に原因が求められるのです.

  ([danwa:0768]石坂さん)
> それなのに、台風(低気圧)の場合は静止系では「吸い込み」
>を使わずに説明して、回転系(地面系)では「吸い込み」を使っ
>て説明する、というのが納得がいかないのです。

   え? 
 静止系で「吸い込み」を使わない,とは?
 使う,でしょ?

                                  浜口


[danwa:0774] Re: 台風が左回りである理由
Date: Tue, 28 May 2002 18:29:51 From:石坂
浜口さん、談話室のみなさま、お疲れ様です。

[danwa:0773] 浜口さん:
> 低気圧の場合は「運動方程式」レベルでは決着がつかず(左回りも右回りも
>解としては可能),「初期条件」に原因が求められるのです.

 まさしく、おっしゃる通りだと思います。

 ここで出てくる「初期条件」は「空気は地球自転に合わせて (北半球では)左回りに回転している」ですよね。

 この「初期条件」によって、低気圧は左回りになる、と。

 ところで私は「空気の吸い込み」は「初期条件」ではなく、 「運動方程式」に含むべきもの、と理解しているのですが、 間違っているでしょうか?

石坂


[danwa:0775] Re: 台風が左回りである理由
Date: Tue, 28 May 2002 23:42:55 From:Ando S.
Ando S.です。ちょっと一言いわせてください。といっても、運動方程式を 立てて解析できる能力はありませんので、私なりに感性的に言わせていただ きます。

まず、下の図を想定してください。Nは北極点、Pは北半球のある地点、AとB は気塊とします。矢印は、地球の自転にともなう接線方向の運動ベクトルと しておきましょう。

N

A→

P→→

B→→→

いま、気塊AがPに向かって動き出したとします。動き出す原因は、2つ考え られます。北極点Nに高気圧があって押し出される場合と、地点Pに低気圧 (あるいは台風)があって引き込まれる場合です(引き出されると言ったほ うがより正確かも)。

前者の押し出される場合では、気塊AはPからどんどん離れていきます。すな わち、高気圧による右回りの流れになります。(回転する円板の中心から円 周に向かって塗料を塗ったボールをころがしたとき、円板に描かれるボール の軌跡に相当)

後者の引き込まれる(引き出される)場合も、やはり、Pから離れて行こうと します。しかし、前者とちがって、地点Pから引き込む(吸い込む)力が作 用して、Pから離れつつPに近づくという運動になります。ここで、Pに近づ くにつれて気塊Aの速度が増すと、離れて行くより近づく方が勝ります。そ のため、左回りの運動になり、渦になります。速度が増さなければ、気塊A はPから離れていき渦になりません。

気塊BがPに向かって動き出すときの運動も、Bの南側に高気圧がある場合とP に低気圧がある場合の2つがあり、結論は、気塊Aと同じになることはおわか りいただけるでしょう。

私のこのような説明が完璧なものであるとは、私自身思っていません。完璧 なものに仕上げるには、私の知識は貧困すぎます。たとえば、Pに低気圧が あって気塊A、Bが吸い込まれるとき、その速度が増すということも、おそら く角運動量保存則で説明されるのだろうと思いますが、よくわかっていませ ん。ただ、運動方程式なしに理解しようとすると、このようになります。

私は、BiBiさんが言われた「もともと左回りしているから」という表現は、 まちがいではないと思いますが、好きではありません。かえって混乱を呼ん でいるようにも思えます。

一方、石坂さんが何にこだわっているのかということもよくわかりません。 問題点を指摘されたとき、それに対する石坂さんの明確な考えが対置されて いない(小出しになっている?)ように、これまでの議論を通じて思いま す。問題点を指摘される限り、当然対置する考えがあると思うのですが。も ちろん、問題だけを感じて対置する考えがまとまらないということもありう ると思いますが、そのあたりがよく見えてこないのです。

いずれにしても、私の場合は運動方程式がありませんし、出せません。ま た、空気と地面の摩擦もよくわかりません。ただ、いったん動き出した気塊 と地面の摩擦は、転がるボールのように小さくなるだろうと想像しているだ けです。迷惑な口挟みになったとしたら、ご容赦下さい。


[danwa:0777] Re: 台風が左回りである理由
Date: Wed, 29 May 2002 15:41:11 From:浜口
 石坂さん,こんにちは.

  ([danwa:0774])
> ところで私は「空気の吸い込み」は「初期条件」ではなく
、 >「運動方程式」に含むべきもの、と理解しているのですが、
>間違っているでしょうか?

   間違っていないと思いますよ.
(いったい何をおっしゃりたいのでしょうか?)

    ([danwa:0768]石坂さん)
> それなのに、台風(低気圧)の場合は静止系では「吸い込み」
>を使わずに説明して、回転系(地面系)では「吸い込み」を使っ
>て説明する、というのが納得がいかないのです。

   再度おたずねします.
 静止系で「吸い込み」を使わない,とはどういうことでしょう.
 使う,でしょ?

                               浜口


[danwa:0778]  Re: 台風が左回りである理由
Date: Wed, 29 May 2002 19:40:58 From:石坂
談話室のみなさま、こんばんは。

[danwa:0777]浜口さん:
>> ところで私は「空気の吸い込み」は「初期条件」ではなく、
>>「運動方程式」に含むべきもの、と理解しているのですが、
>>間違っているでしょうか?
> 
> 間違っていないと思いますよ.

 ということは・・・、

[danwa:0773] 浜口さん:
> 低気圧の場合は「運動方程式」レベルでは決着がつかず(左回りも右回りも
>解としては可能),「初期条件」に原因が求められるのです.

は、次のように書き換えることが可能です:

  『低気圧が左回りである理由を考える場合「空気の吸い込み」を考慮 しても決着がつかず(左回りも右回りも解としては可能)、「初期条件」 に原因が求められる。』

   これって、低気圧の回転方向を説明するとき「吸い込み」を使わない、 ということではないですか?

 ここは浜口さんが[danwa:0759]でお書きになった:
>「なぜ(右回転ではなく)左回転なのか?」という問いならば,「もともと空気
>が地球自転に合わせて(北半球では)左回りに回転しているから」だけで足り
>るでしょう.

を言い換えているだけのつもりなんですけど・・・。

石坂


[danwa:0779] Re:台風が左回りである理由
Date: Wed, 29 May 2002 21:34:39 From:石坂
Ando.Sさん、お疲れ様です。

 この話題、Bi.Bi.さん、浜口さん、長谷川さん、そして私の4人しか 読んでいないと思っていました (^^;)。

[danwa:0775]Ando S.さん:
> 一方、石坂さんが何にこだわっているのかということもよくわかりません。
> 問題点を指摘されたとき、それに対する石坂さんの明確な考えが対置されて
> いない(小出しになっている?)ように、これまでの議論を通じて思いま
> す。問題点を指摘される限り、当然対置する考えがあると思うのですが。も
> ちろん、問題だけを感じて対置する考えがまとまらないということもありう
> ると思いますが、そのあたりがよく見えてこないのです。

 すみません。私がこだわっている部分がAndo.Sさんはじめ、談話室の みなさんにとってはごく当たり前のこと、考えるまでも無い常識だとさ れている事柄だからだと思います。

 それは「低気圧(台風)は空気を吸い込み、高気圧は吹き出す」とい う点です。そして「低気圧(台風)が左回りで、高気圧が右回りである 理由を考える時も吸い込みや吹き出しが前提である」という点です。

 これに問題を感じている私は、「当然」と思っている方々からしたら、 単なるイチャモンふっかけの困った野郎でしょうね。

 でも、すみません、「運動方程式」を引き合いに出して説明させて いただくと、

 気圧傾度力(中心力)によって吸い込まれる空気に、コリオリの力 (静止系の場合には地球が回転楕円体であることから生じる力)が働 いて向きを変える、

ということを表現する運動方程式(たとえば[danwa:0654]Bi.Bi.さん:
>静止系
>時間発展方程式:ma=中心力・・・(1)
>初期条件: 左巻きの角運動量を持った空気 
>
>回転系
>時間発展方程式:ma’=中心力+コリオリ力+遠心力・・・(2)
>初期条件:静止した(あるいは等方的に中心に向かう)空気 

を回転楕円体を考慮して修正した式)を解いても、台風の回転運動 を再現しないのです。台風にならない。

 これは「吸い込み」を前提とした考え方、「吸い込まれる空気が コリオリの力(なり何なり)で向きを変えて、その結果、渦になる」 という説明が正しくないのではないのか?と感じています。

 一連の議論でその部分を理解できれば、と思っています。

石坂


[danwa:0780] Re:台風が左回りである理由
Date: Wed, 29 May 2002 22:11:30 From:浜口
 石坂さん,こんばんは.

([danwa:0778]石坂さん)
> これって、低気圧の回転方向を説明するとき「吸い込み」を使わない、
>ということではないですか?

   なんでそんな持ってまわった誘導をなさるのかわかりませんが,“説明する” となれば,「吸い込み」は使うでしょう.
(結局のところ,いったい何をおっしゃりたいのでしょうか?)

「吸い込まれると回転が増す」ということを前提とすれば,「右か左か」の決 定要因としては「吸い込み」は論理的には必要ない,ということでしょ.
 その点は石坂さんのおっしゃるとおりですし,私もそのように申し上げてい ます.

  ([danwa:0768]石坂さん)
>1)なぜ台風の空気は回転するのか?
>2)なぜその回転は(北半球で)左回りなのか?


([danwa:0773]浜口)
>2)を理解するためには,前提として1)を理解していることが必要である.
>1)をすでに理解している人にとっては,「もともと空気が地球自転に合わせ
>て(北半球では)左回りに回転しているから」だけで,足りる.

   ただ,1)を述べずに2)だけを述べても,説明にはならないだろうと思い
ますよ.
(じっさい,Bi.Bi.さんの説明はわかりにくかった)

                               浜口


[danwa:0781] Re: 台風が左回りである理由
Wed, 29 May 2002 23:15:52 From: 浜口
 石坂さん,こんばんは.
 
([danwa:0779]石坂さん)
> それは「低気圧(台風)は空気を吸い込み、高気圧は吹き出す」とい
>う点です。そして「低気圧(台風)が左回りで、高気圧が右回りである
>理由を考える時も吸い込みや吹き出しが前提である」という点です。

>を回転楕円体を考慮して修正した式)を解いても、台風の回転運動
>を再現しないのです。台風にならない。

> これは「吸い込み」を前提とした考え方、「吸い込まれる空気が
>コリオリの力(なり何なり)で向きを変えて、その結果、渦になる」
>という説明が正しくないのではないのか?と感じています。
 
 なるほど,そういう疑問をお持ちだったのですか.
 
 その疑問についての議論は継続するとして,今までのところ,
 
【1】「吸い込み」「吹き出し」説のどこが正しくないのかという具体的な指摘.
【2】「吸い込み」「吹き出し」説にとってかわる説.
 
のいずれについても石坂さんは述べておられません.
 
 指摘も反論もできないのに,自分1人が疑問を感じるからという理由で,他
人の論説を間違っていると評しておられたんですね.
 よくわかりました.
 
                                浜口


[danwa:0783] Re: 台風が左回りである理由
Wed, 29 May 2002 23:45:50 From: Ando.S
Ando S.です。こんばんは。

[danwa:0779]石坂さん
>  この話題、Bi.Bi.さん、浜口さん、長谷川さん、そして私の4人しか
> 読んでいないと思っていました (^^;)。

ずっと、真剣に読んでおります。安心してください。投稿されていない方
も、きっとそうだと思いますよ。でも、地衡風のあたりは、方程式も出てき
てちょっと割り込めないです。

[danwa:0779]石坂さん
> これは「吸い込み」を前提とした考え方、「吸い込まれる空気が
> コリオリの力(なり何なり)で向きを変えて、その結果、渦になる」と
> いう説明が正しくないのではないのか?と感じています。

これが石坂さんの問題意識ですね。
それに対置すべき石坂さんの考えは? 言いかえれば、石坂さんが正しいと思
われる結論(渦が形成される理由)は、何なのでしょうか? ここが明確にさ
れていないというところに、何か議論として不自然さがあるように私は感じ
ています。

しかし、それはそれとして、その問題意識の前提としてあるのが、次のご意
見ですよね。

[danwa:0779]石坂さん
>  「低気圧(台風)は空気を吸い込み、高気圧は吹き出す」とい
> う点です。そして「低気圧(台風)が左回りで、高気圧が右回りである
> 理由を考える時も吸い込みや吹き出しが前提である」という点です。

石坂さんから見ればこれらは「誤れる常識」のようですが、正しくないとし
たら、何が正しいのでしょう。ずっと以前の投稿でも同じようなことを言わ
れていたと思います(Danwa:0595)。

このように問題点は指摘されるのですが、それに対する石坂さんのまとまっ
た主張や考えの展開がないように思えて(ヒントらしきものは垣間見え
た)、私はフラストレーションがたまってくるのを感じてしまうのです。


[danwa:0787] Re: 台風が左回りである理由
Fri, 31 May 2002 19:38:49 From: 石坂
談話室のみなさま、お疲れ様です。

[danwa:0783]Ando.Sさん:
> ずっと、真剣に読んでおります。安心してください。投稿されていない方
> も、きっとそうだと思いますよ。でも、地衡風のあたりは、方程式も出てき

 ありがとうございます。これからもよろしくお付き合いください。

 さて、

>> これは「吸い込み」を前提とした考え方、「吸い込まれる空気が
>> コリオリの力(なり何なり)で向きを変えて、その結果、渦になる」と
>> いう説明が正しくないのではないのか?と感じています。
>
>これが石坂さんの問題意識ですね。
>
> それに対置すべき石坂さんの考えは? 言いかえれば、石坂さんが正しいと思
> われる結論(渦が形成される理由)は、何なのでしょうか? ここが明確にさ
> れていないというところに、何か議論として不自然さがあるように私は感じ

 ずっと書いていたつもり([danwa:0598][danwa:0606]など)ですが、
そうは受け取られていないのですね・・・。

 ということで、私の考えをまとめておきます。

 台風や高気圧の空気の回転について考える時、一つの気塊に注目して
その運動を追わなくても、空気の速度は場所ごとに決まってしまう、と
いうものです。
 次のようにして、全体としての回転の様子は決まります。 

1)中心からある距離のところの風の速度は

  [向心力]=[気圧傾度力]+[転向力]

で決まります(※ここで、静止系と回転系両方で式を書くのが面倒だっ
たので、本当は正しくない用語の使い方ですが、回転系でのコリオリの
力、静止系では[danwa:0711][danwa:0714]で求めた、地球が回転楕円体
であることに起因する力、のことをまとめて「転向力」と記述しました)。

 地面との摩擦を考えなくてはいけない地表付近では、[摩擦]を右辺に
加えればよいですが、回転を考えるときには本質ではないし(地面の無
い木星などでも渦は存在します)、地上1000m以上では[摩擦]は無
視できることが台風の観測から分かっています。

 また、[摩擦]を入れたときは円運動ではないので、[向心力]というの
はおかしいですが、今知りたいのは速度の分布なので、渦を円の連なり
として考えることにします(※全く関係ないですが、同心円の連なりを
ぐるぐる回すと渦に見える有名な錯覚がありますね)。

2)「初期条件」ではなく

 台風の場合は一番外側、高気圧の場合はその中心(いずれも気圧傾度
力が0になるところ)で、

  ・ 静止系:地球の自転と一緒に回る。
  ・ 回転系:空気が地面に対して静止している。

という「境界条件」を置きます。

 以上の1)、2)で、気圧の傾きが与えられると、「吸い込み」や
「吹き出し」を考えることなく、台風の場合は左回りで、内側に行く
ほど速度が速いということ、高気圧の場合は右回りになること、など
台風や高気圧の、内側から外側まで、空気の流れのパターン(すなわ
ち回転の様子)が求まってしまいます。

 気圧の傾きが時間とともに変化すれば、風の強さも変わります。
 台風の場合、気圧の傾きが大きくなれば、風が強くなって、台風は
発達していくことになりますね。

 全体としての回転の様子を調べるのに、場所ごとの速度を求めて考
えるのは、太陽系の惑星の公転速度を考える時、わざわざその惑星を
太陽系の果てから落として調べる必要がないのと同じです。
 
 太陽の質量と、太陽からの距離で惑星の公転速度が決まるように、
気圧の傾きと、中心からの距離で空気の速度=回転の様子は決まって
いるのです。

石坂


[danwa:0788] Re: 台風が左回りである理由
Sat, 1 Jun 2002 15:48:48 From: Ando.S
石坂さん、こんにちは。Ando S.です。
[danwa:0787]読ませていただきました。ただ、私の知識と能力の問題で、正
直、難しいです。しかし、私なりに理解した範囲で付言させてください。か
み合わないところがあれば、それは私の理解力の問題としてお許し下さい。

[danwa:0787]石坂さん:
>  ずっと書いていたつもり([danwa:0598][danwa:0606]など)ですが、
> そうは受け取られていないのですね・・・。

これは覚えています。しかし、私の印象としては、石坂さんの考えの一部が
「垣間見えた」ということです。そして、このとき、私は、次のように感想
を述べています。
[danwa:0610]Ando S.:
> 最初はおそらく熱帯の海面の付近の空気の温度があがり、上昇気流が生
> じ、それを補うように周囲から空気が流れ込む。そのとき、コリオリ力の
> ために北半球では反時計まわりの空気の流れが生じる。それが台風の渦
> の始まり。その渦の向きをコリオリ力ではなく、静止系で説明する。・・
> ・・・ということと、石坂さんの議論には、ずれがあるように私には思え
> るのです。
>
> 石坂さんの議論は、台風も含めた低気圧や高気圧が何故安定的に長期に存
> 在できるか、あるいはそのような安定状態のとき風はどのように吹くか、
> ということにかかわりがあるように思えますが、違っているでしょうか?

この溝(あるいは、すれ違い)が、まだうめられていないというのが、率直
な感想です。そう思ってしまうのは、つぎの文のためです。

[danwa:0787]石坂さん:
>  台風や高気圧の空気の回転について考える時、一つの気塊に注目して
> その運動を追わなくても、空気の速度は場所ごとに決まってしまう、と
> いうものです。
>  次のようにして、全体としての回転の様子は決まります。

同じく、[danwa:0787]石坂さん:
>  地面との摩擦を考えなくてはいけない地表付近では、[摩擦]を右辺に
> 加えればよいですが、回転を考えるときには本質ではないし(地面の無
> い木星などでも渦は存在します)、地上1000m以上では[摩擦]は無
> 視できることが台風の観測から分かっています。

これって、地衡風のことではないのですか?なぜなら、「回転」と言われて
いるからです。

しかし、私がイメージしているのは、あくまで我々の生活に直接関係のあ
る、地上付近の空気の流れです。だから、私には、溝やすれ違いがあるとい
う印象が強くなってしまうのです。
たとえば、日本の冬の典型的な気圧配置は、西高東低です。このとき、北西
の風が吹きます。この風は、等圧線を直角にではなく、斜めに横切ります。
ましてや、等圧線と平行に吹いたりしません。そして、これは、高気圧の吹
き出しとコリオリ力で説明されているのが一般的だと思います(少なくとも
私はそう理解してきました)。石坂さんが言われているのは、これを吹き出
しとコリオリ力で説明することがまちがいであるということでしょうか?

高気圧による空気の流れは吹き出しで右回り、低気圧によるそれは吸い込み
で左回り、というとき「・・・回り」と言っているからといって、それは円
や楕円を描いてグルグル回るような運動のことを言っているのではないで
す。前述の北西の風も、「右にカーブする風」であってグルグル回る運動で
はないです(そしてそれを「右回り」と言ってきた)。でも石坂さんの「回
転」はグルグル回る運動でしょう?

視点変えて言えば、地上付近の風がグルグル運動にならないのは、地表との
摩擦があるからで、摩擦がなければグルグル運動になるのだから、本質は、
吹き出し(あるいは吸い込み)やコリオリ力にあるのではないということを
主張されたいのでしょうか?

ひょっとしたら、私やその他の方が言ってきた話と、石坂さんの考えの間を
橋渡しする説明が欠落しているのが問題ではないでしょうか。だとしたら、
そこは石坂さんにその説明をお願いしたいです。

それから、次の例えは、何のことかよくわかりません。
[danwa:0787]石坂さん:
>  全体としての回転の様子を調べるのに、場所ごとの速度を求めて考
> えるのは、太陽系の惑星の公転速度を考える時、わざわざその惑星を
> 太陽系の果てから落として調べる必要がないのと同じです。

最後に、わたしは、私の言っていることが正しく、石坂さんの言っているこ
とがまちがいと主張しているのではありません。私と石坂さんの間に意識の
ずれがあるように思えるということ、そしてそれが私の中でうまく埋められ
ていないという現状を説明させていただいたということです。


[danwa:0789] Re: 台風が左回りである理由
Sat, 1 Jun 2002 17:07:38 From: 浜口

 石坂さん、こんにちは.
 浜口です.
 
([danwa:0787]石坂さん)
> 以上の1)、2)で、気圧の傾きが与えられると、「吸い込み」や
>「吹き出し」を考えることなく、台風の場合は左回りで、内側に行く
>ほど速度が速いということ、高気圧の場合は右回りになること、など
>台風や高気圧の、内側から外側まで、空気の流れのパターン(すなわ
>ち回転の様子)が求まってしまいます。

“「吸い込み」や「吹き出し」を考えることなく”とおっしゃいますが,それ
は,半径方向の移動速度を0とする,すなわち,各部分が(中心からの距離に応
じた速度で)等速円運動をしている,と仮定したということでしょ.
 
 それは,半径方向の移動が収束して,定常状態(等圧線に平行な運動)に落ち
着いてしまった後の話です.
 そういう終状態の等速円運動は.求めようと思えば,当然求まるでしょう.
 
 じゃなくて〜.
 
 いま問題になっているのは,まだ空気が(地面に対して)いっさい回転してい
ない状態から,定常状態に落ち着くまでの間の,“途中”の話です.
 回転運動が生まれていく過程の話です.
 
 違いはおわかりでしょう.
(まさか意図的に論点をずらしておられる,ってことはないですよね)
 
 Ando S.さんも

> 石坂さんの議論は、台風も含めた低気圧や高気圧が何故安定的に長期に存
> 在できるか、あるいはそのような安定状態のとき風はどのように吹くか、
> ということにかかわりがあるように思えますが、違っているでしょうか?
 
とおっしゃってますよ.
 
**********
 
 どうも,石坂さんの主張の起源は,次のところにあるみたいですね.
 
([danwa:0595])
> ですから、大学の地球物理学(気象)の授業ではこう習いました。
>
>「台風の渦の方向を説明するのに、吹き込む風にコリオリの力が働いて
>右の方にずれていくので、左巻きになる、というのは間違いである。」
>
> これを聞いた時には私は「目からウロコ」というか、ショックを受けた記憶
>があります。
 
 このとき,授業でその先生はどのような説明をされたのでしょうか?
 もったいぶらずに,その説明の中身を教えて下さい.
 お願いします.
 
                               浜口


[danwa:0790] Re: 台風が左回りである理由
Sat, 1 Jun 2002 17:38:08 From: 石坂
Ando S.さん、談話室のみなさま、こんにちは。

 Ando S.さん[danwa:0788]にお応えする前に、「吹き込み」説の問題点を
指摘しておきたいと思います。
 長文になります、すみません。

 [danwa:0775]でAndo.Sさんが用いられた、転がるボールの例えが分かりや
すいかと思いますので、「真中に穴のあいた漏斗の中でボールを転がす」と
いうモデルを採用します。
 ボールは漏斗の斜面に沿って、穴に向かう力を受けつつ、運動します。
 ちなみに、科学館には「ケプラー・モーション」という展示があり、お客
さんには大人気です。

 また、Bi.Bi.さん[danwa:0654]、Ando.Sさん[danwa:0775]ともに角運動量
保存を考えていらっしゃるようなので、摩擦は無視します(摩擦があるとき
は角運動量は保存しませんので・・・)。

【1】といいつつ、摩擦が強い場合をまず考えておきましょう。

 漏斗の表面がゴツゴツ・ザラザラでボールとの摩擦がたっぷりあるとき、
ボールはどのように動くか・・・

 といえば、たとえ最初、角運動量を持っていたとしても、すぐに、回転を
やめて、まっすぐ穴に向かって落ちるようになります。
 パチンコでどんなに勢いよく玉をはじいても、ピンに当たっているうちに
下に落ちてしまうのに似ているかもしれません。
 摩擦があると初期条件(角運動量を持っていた、ということ)を忘れてし
まうのです(角運動量は保存しない)。
 台風の場合にも、地面との摩擦は、回転を阻害する効果として働きます。

 なぜ地表近くの風が台風に向かって吹き込むのか、といえば、地面との摩
擦があるから、です。
 摩擦は回転を阻害する効果なのですから、風が吹き込むから台風が回転す
る、というのはおかしい、と思います。
 
【2】では、角運動量が保存する場合(摩擦が無い場合)を考えましょう。

 これはピカピカに磨かれた漏斗の上でボールを滑らす、という状況です。

 この漏斗をものすごく巨大にして(直径1000kmくらい)、北極に置いて
みましょう。

 初期条件は静止系:地球と一緒にボールは左に回っている、回転系:ボー
ルは止まっている。

 まず静止系で見ます。

 これは実際に「ケプラーモーション」を見ていただければ話が早いので
すが、ボールは楕円軌道を描いてグルグル回りつづけます。円軌道にはな
りませんし、穴に落ちることもありません。

 穴に引かれてボールは落ちようとしますが、角運動量を持っているため
に、穴に近づくにつれて回転しようとするスピードが上がって、穴から離
れてしまうのです。

 つぎに回転系で見ます。

 静止系でみたとき、ボールは楕円を描いて穴に近づいたり遠ざかったり
していたのですから、回転系で見てもボールは穴に近づいたり遠ざかった
りしているはずです。
 しかし、その軌道はかなり複雑なものになります。
 結論から言うと、トゲのいっぱいある☆型というか、歯の先端が尖った
歯車というか、そんな軌道になります。
 
 これはどういうことか、というと、ちょっと長くなりますが、順を追っ
て見ていくと・・・

1)ボールは最初止まっている
2)手を離すとボールは穴の方に引っ張られる
3)穴に向かって進むボールにコリオリの力が働いて、ボールの運動は右
  の方へと変わっていく
4)穴に近づくにつれてボールはスピードアップする
5)穴からある距離のところで、本当なら

  [向心力]=[気圧傾度力]+[コリオリの力]

  が成り立つような速度になって円運動になれるのに、それまでに働い
  ていたコリオリの力が弱いので(速度が小さかったから)、ボールの
  運動方向は円周方向になっておらず、さらに内側に落ち込んでしまう
6)ボールは穴に近づいて、さらにスピードアップし、さらに強いコリオ
  リの力が働くようになる
7)ある距離のところでやっとボールの運動方向が円周方向になるが、そ
  のスピードは円運動に必要なものより大きいので、ボールは外に向かっ
  てしまう
8)穴から離れていくボールにも容赦なくコリオリの力は働き、ボールは
  さらに外側に向かうことになる
9)穴から離れるとスピードが落ちて、コリオリの力も弱くなり、最初手
  を離した場所と同じ距離のところでボールは止まる
10)再びボールは穴の方に落ちていく(以下3にもどる)

 言うまでもなく、この状況は台風の回転の様子とは似ても似つかないも
のです。

 地面との摩擦が「適度に」働けばいい、とおっしゃるかもしれませんが、
さて、そんなにうまくいきますかどうか・・・科学館の展示「ケプラー・
モーション」は摩擦が働いていますが、転がった最初はやっぱり楕円を描
いています(つまり【1】と【2】の中間の結果になる)。

 また、地面との摩擦がない1000m上空(上空といっても台風にとっ
ては下層にあたりますが)での風の円運動はどのように説明するのでしょ
うか?

石坂


[danwa:0791] Re: 台風が左回りである理由
Date:Sat, 1 Jun 2002 19:35:23 From: Ando S.
Ando S.です。
石坂さん、回答、ありがとうございます。

ケプラー・モーションは、展示場で見たことがあります。

この場合、放出されるボールは、最初にボールを置いてある位置と中心の穴 を結ぶ線上を穴に向かって転がり出します。しかし、地球の自転のために、 穴を左に見る方向、すなわち、右にそれます。もしも、転がる面が平らであ れば、それつづけ、中心の穴からは永遠に遠ざかっていきますが、実際には 漏斗ようになっているため、さらに運動方向が曲げられ、穴の方向にカーブ します。

私の考えでは、これは、低気圧による吸い込みそのものですよ。

この点を石坂さんの説明にそって考えてみます。

[danwa:0790]石坂さん:
> 1)ボールは最初止まっている
> 2)手を離すとボールは穴の方に引っ張られる
> 3)穴に向かって進むボールにコリオリの力が働いて、ボールの運動は右
>   の方へと変わっていく
> 4)穴に近づくにつれてボールはスピードアップする

ここまでは、基本的に、同意できます。しかし、3)と4)の間で、微妙かつ 重要な点を確認したいと思います。

低気圧を想定された説明ですから疑問にならないのかもしれませんが、低気 圧ではない場合、すなわち、ボールが最初に動き出す動機が別のものだった らどうでしょう。つまり、中心にはボールを引きつける力がなく、別の何ら かの力で中心に向かって押し出されたらということです。この場合、中心に はボールを引きつける力ないですから、ボールは平らな面を転がることが想 定されることになります。そして、この場合、ボールが中心に向かうことは ありません。

言いかえれば、ボールが中心に向かって動き出す場合、中心に引力があると きと、中心に引力がなく何らかの外力で押し出されたときでは、その後の ボールの運動に決定的な相違が生じるでしょう。だから、低気圧の風の向き を考えるとき、低気圧による吸い込みというのは、間違っていないと思うの ですが、どうでしょう?

そして、浜口さんが指摘されているように、

[danwa:0789]浜口さん:
>  いま問題になっているのは,まだ空気が(地面に対して)いっさい回転し てい
> ない状態から,定常状態に落ち着くまでの間の,“途中”の話です.
> 回転運動が生まれていく過程の話です.

というのが、テーマですから、わたしの議論は、ここまでです。

ちなみに、[danwa:0775]の私の説明は、同じことを、中心から外側に向かう 運動として説明を試みています。要は、ある点から別の点に向かって動くに しても、向かう点に引力があるなしで運動の様子は決定的に違うというこ と、そして、だとしたら、その引力を重要な要因として説明するのは間違っ ていないのではないでしょうか。


[danwa:0792] Re: 台風が左回りである理由
Date: Sat, 1 Jun 2002 23:59:46 From: 浜口
 石坂さん,こんばんは.

([danwa:0790]石坂さん)
> Ando S.さん[danwa:0788]にお応えする前に、「吹き込み」説の問題点を
>指摘しておきたいと思います。
 
 この問題点というのが,次のことなのですか.
 
> 言うまでもなく、この状況は台風の回転の様子とは似ても似つかないも
>のです。
 

 また,次の「どのように説明するのでしょうか?」はどういう意味でしょう. 「うまく説明できないだろう.だから,これも問題点なのだ」とおっしゃりた いのですか.
 
> また、地面との摩擦がない1000m上空(上空といっても台風にとっ
>ては下層にあたりますが)での風の円運動はどのように説明するのでしょ
>うか?

                              浜口


[danwa:0794] Re: 台風が左回りである理由
Date:Mon, 10 Jun 2002 22:08:41 From: Bi.Bi.
石坂さん、談話室のみなさんこんばんは。

議論は立ち消えでしょうか?
言い出しっぺのBi.Bi.です。

石坂さんの考え[danwa:0787] に、他のみなさんは納得されないようですね。
私も納得できない一人でして、みなさんのと繰り返しになるかも知れませんが、 私もお聞きしたいと思います。

[danwa:0787]
>  台風や高気圧の空気の回転について考える時、一つの気塊に注目して
> その運動を追わなくても、空気の速度は場所ごとに決まってしまう、と
> いうものです。

一つの気塊に注目してその運動を追う、というのは間違いという意味でしょうか?
それとも、石坂さんは、よりエレガントな別解を示そうとされているのでしょうか?


>  次のようにして、全体としての回転の様子は決まります。 
>
> 1)中心からある距離のところの風の速度は
>
>   [向心力]=[気圧傾度力]+[転向力]
>
> で決まります(※ここで、静止系と回転系両方で式を書くのが面倒だっ

等速円運動と仮定すれば、これで速度が決まりますが、 なんで、等速円運動と仮定できるのでしょうか?

どうやって、地面にへばりついていた気塊が等速円運動になるのでしょうか?
その説明がないと、納得できないのですが。
摩擦がない場合は、決して円運動にはなりませんよね。


>
> 2)「初期条件」ではなく
>
>  台風の場合は一番外側、高気圧の場合はその中心(いずれも気圧傾度
> 力が0になるところ)で、
>
>   ・ 静止系:地球の自転と一緒に回る。
>   ・ 回転系:空気が地面に対して静止している。
>
> という「境界条件」を置きます。
>

これが石坂さんのエッセンスだと思うのですが、 一つの定常解を示されただけでしょう。

なぜ、地球にへばりついていたものが、この定常解に落ち着くのでしょうか?
このことについての説明がないので、 私も他のみなさんも納得できないのだと思います。

>  全体としての回転の様子を調べるのに、場所ごとの速度を求めて考
> えるのは、太陽系の惑星の公転速度を考える時、わざわざその惑星を
> 太陽系の果てから落として調べる必要がないのと同じです。
>  
>  太陽の質量と、太陽からの距離で惑星の公転速度が決まるように、

これは惑星の運動を等速円運動としたときの公式で、 ニュートンの運動方程式から演繹されるものですね。

> 気圧の傾きと、中心からの距離で空気の速度=回転の様子は決まって
> いるのです。

と言われても、円運動に落ち着くことの説明がないので、 納得できません。

私は、ニュートンの運動方程式から説明していたつもりです。
つまり、力が速度の変化を与える、というもの。
円運動に固執していません。
たぶん、他のみなさんも私と同じだと思います。

Bi.Bi.


[danwa:0795] Re: 台風が左回りである理由
Date:Tue, 11 Jun 2002 10:16:46 From: 浜口
 Bi.Bi.さん,こんにちは.
 
([danwa:0794]Bi.Bi.さん)
>議論は立ち消えでしょうか?
 
 私は,[danwa:0792]に対する石坂さんのお答えを待っているところです.
 

 それと,
([danwa:0789]浜口)
> このとき,授業でその先生はどのような説明をされたのでしょうか?
> もったいぶらずに,その説明の中身を教えて下さい.
> お願いします.
 
についても.
                             浜口


[danwa:0796] Re: 台風が左回りである理由
Date:Mon, 17 Jun 2002 23:16:47 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんばんは。

[danwa:0790] で問題点ありと指摘されたBi.Bi.です。

指摘があったまま、議論が立ち消え状態となっています。
黙っていたら、指摘されたことを認めたことになりますので、 コメントさせていただきます。

私は本質的には、なんら問題ないと思っています。

[danwa:0790] 石坂さん
>  また、Bi.Bi.さん[danwa:0654]、Ando.Sさん[danwa:0775]ともに角運動量
> 保存を考えていらっしゃるようなので、摩擦は無視します(摩擦があるとき
> は角運動量は保存しませんので・・・)。

[danwa:0654]では
「角運動量を保存して摩擦で落ち込んできた空気なのです。」
と書きましたが訂正させて下さい。
「角運動量を適度に保存して摩擦で落ち込んできた空気なのです。」

>  なぜ地表近くの風が台風に向かって吹き込むのか、といえば、地面との摩
> 擦があるから、です。
>  摩擦は回転を阻害する効果なのですから、風が吹き込むから台風が回転す
> る、というのはおかしい、と思います。
>  

いきなり角運動量が0になれば、おっしゃるとおりですが、 じっさいはそんなことはありえません。
中心からの距離が半減したときに、角運動量も半減したとしたらどうでしょう? 角速度は倍増します。
なにもおかしいとは思いませんが。

>
>  地面との摩擦が「適度に」働けばいい、とおっしゃるかもしれませんが、
> さて、そんなにうまくいきますかどうか・・・科学館の展示「ケプラー・
> モーション」は摩擦が働いていますが、転がった最初はやっぱり楕円を描
> いています(つまり【1】と【2】の中間の結果になる)。

でも、摩擦があるので、最後にはちゃんと穴に落ち込みます。
しかも、回転方向は最初与えた方向で、 反転することもないし、角速度も増します。

これで十分イメージできると思うし、本質の描像を与えてくれると思うのですが。


>  また、地面との摩擦がない1000m上空(上空といっても台風にとっ
> ては下層にあたりますが)での風の円運動はどのように説明するのでしょ
> うか?
>

今問題としていることと関係あるのですか?
なんで、そんなことを問題にされるのか理解できません。

(もっとも、「なんで円になるのか?」はおもしろい問題だと思います。
非常に対称性がよくて美しい、なにか、おもしろいことが潜んでいるのでしょうね。
ただし、「摩擦がない」は近似ですし、中心方向にも速度成分を持っているそうです。)

私にとっては次のような問答と同じように思います。

子どもA:「なぜ、木の葉は落ちるの?」
親:「地球には重力があるから。」
子どもAの兄:「重力ならまっすぐ落ちるだけやんか。ひらひらと舞うのんはなんで?」

そもそも、問題としていたことは
「回転系ではコリオリ力で左巻きが説明されるが、 コリオリ力のない静止系では、左巻きをどのように説明したらいいのでしょうか?」
だったのです。

「回転系ではコリオリ力で左巻きが説明される」が議論の前提だったのですが、 この前提が問題なのでしょうか?

このことに関しては、[danwa:0602] に力学のテキスト三冊を引用して説明しました。
そして、[danwa:0607][danwa:0608][danwa:0609]とちょっとだけ議論がありましたが、 今回のように立ち消えでしたね。
それの再燃ですか?


私もお聞きしたいのですが
> ては下層にあたりますが)での風の円運動はどのように説明するのでしょ
> うか?
この円運動の角運動量の起源は何とお考えでしょうか?

私は もともと地面にへばりついて地球とともに回転していたときの角運動量の名残 と考えています。

Bi.Bi.


[danwa:0798] Re: 台風が左回りである理由
Date:Tue, 18 Jun 2002 19:56:32 From: 浜口
 石坂さん,みなさん,こんにちは.

([danwa:0790]石坂さん)
> Ando S.さん[danwa:0788]にお応えする前に、「吹き込み」説の問題点を
>指摘しておきたいと思います。
> 
> これはピカピカに磨かれた漏斗の上でボールを滑らす、という状況です。
> 
> 言うまでもなく、この状況は台風の回転の様子とは似ても似つかないも
>のです。
 
 そんなモデル(自由な質点1個)をもってくれば,似ても似つかないのはあた りまえですっ!!
 
 石坂さんのおっしゃる(石坂さんが批判の対象としておられる)“「吹き込み」 説”というのは,そんな珍妙なモデルのことだったんですか!?
 
 石坂さんが「運動方程式を解いても台風の回転運動を再現しない」とおっし ゃっていたので不思議に思っていたのですが,そんなモデルでは,再現しない のは当然でしょう.
 
**********
 
 それと,

([danwa:0595])
> ですから、大学の地球物理学(気象)の授業ではこう習いました。
>
>「台風の渦の方向を説明するのに、吹き込む風にコリオリの力が働いて
>右の方にずれていくので、左巻きになる、というのは間違いである。」
>
> これを聞いた時には私は「目からウロコ」というか、ショックを受けた記憶
>があります。
 
 このとき,授業でその先生はどのような説明をされたのでしょうか?
 もったいぶらずに,その説明の中身を教えて下さい.
 そのほうが話が早いでしょ.
 
                                浜口


[danwa:0799] Re: 台風が左回りである理由
Date:Tue, 18 Jun 2002 22:05:17 From: 石坂
談話室のみなさま、こんばんは。

 毎度お騒がせして申し訳ありません。石坂です。

 今回も長文になります。

[danwa:0796]Bi.Bi.さん:
> [danwa:0654]では
> 「角運動量を保存して摩擦で落ち込んできた空気なのです。」
> と書きましたが訂正させて下さい。
> 「角運動量を適度に保存して摩擦で落ち込んできた空気なのです。」

 中心から500kmのところの気塊の角運動量と、100kmのところの気塊 の角運動量とでは、計算すると後者の方が9割も小さいです。
 これを「適度に保存して」などと表現するのですか?

>>  また、地面との摩擦がない1000m上空(上空といっても台風にとっ
>> ては下層にあたりますが)での風の円運動はどのように説明するのでしょ
>> うか?
>
> 今問題としていることと関係あるのですか?

 大有りです。

>>  地面との摩擦が「適度に」働けばいい、とおっしゃるかもしれませんが、
>> さて、そんなにうまくいきますかどうか・・・科学館の展示「ケプラー・
>> モーション」は摩擦が働いていますが、転がった最初はやっぱり楕円を描
>> いています(つまり【1】と【2】の中間の結果になる)。
>
> でも、摩擦があるので、最後にはちゃんと穴に落ち込みます。

 Bi.Bi.説を採用すると、気塊は最初は落ちれずに穴に近づいたり、 遠ざかったりするでしょ。それは実際の台風の気塊の運動と違う じゃないですか、と言っているのです。
 地面との摩擦がないところでは、回転運動に「落ち着かない」と いうことになるじゃないですか、と言っているのです。

[danwa:0798]浜口さんも:
> そんなモデル(自由な質点1個)をもってくれば,似ても似つかないのはあた
> りまえですっ!!
とおっしゃっています。

 気塊の角運動量は保存しません。

 そしてそれは「地面との摩擦があるから」でもありません。

 どうして角運動量を失うのか、といえば、空気(水もそうです が・・・)には「粘性」という性質があるからです。
 これは隣り合う塊どうしで速度を平均化しようとする性質です。
 この性質によって、台風の場合、角運動量は外へ外へと運ばれ ていくことになります。
 
 また、粘性により、台風の空気は速やかに回転運動に落ち着き、 傾度風近似が成り立つ状況になります。
 粘性があるために、「吸い込まれる」気塊と外に向かう気塊 (もしくは回転していたり、止まっていたりする気塊)とが同 時に存在することはできないからです(つまり半径方向の速度 成分を失ってしまう)。

「回転運動」をする気塊は角運動量を失いつつ徐々に中心に向 かって落ちていきますが、これは「吸い込まれる」のとは意味 が違います。角運動量を失うことによって、「落ちて」いくの です。また、この時の「落ちていく」速度は回転方向の速度に くらべてけた違いに小さなものです(実際の台風の観測値もそ うなっています)。

 そして逆説的ですが、角運動量の小さい中心付近ほど、回転 角速度は大きくなります。

 これが空気や水が回転運動(渦)になる理由です。

 なぜ回転するか ⇒ 角運動量をもっているから
 なぜ回転運動に落ち着くか ⇒ 粘性があるから
 なぜ台風は左回りか ⇒ 地球(大気)が左回りだから

 また、台風として生まれるまでの時間と、台風として存在し ている時間、どちらが長いか、といえば後者の方がはるかに長 いでしょう。
 台風として存在している状況で左回りを説明できるなら、 それで十分でしょう(「吸い込み」を前提として気塊の運動を 考えるのも結構ですが、粘性は非線形効果なので、気塊の運動 を計算して解くのは不可能に近いです)。

>> 1)中心からある距離のところの風の速度は
>>
>>   [向心力]=[気圧傾度力]+[転向力]
>>
>> で決まります(※ここで、静止系と回転系両方で式を書くのが面倒だっ
>
> 等速円運動と仮定すれば、これで速度が決まりますが、
> なんで、等速円運動と仮定できるのでしょうか?

 実際の台風の風の本質が回転運動だからです。
 ただし、上の式は気塊の動きを追いかける式ではありません。 気塊がぐるっと同じ半径のところを回って帰ってくる、という 意味での「等速円運動」を扱っているわけではありません。
 気塊の気塊としての寿命はそれほど長くありません(上昇す る成分も持っていますし・・・)。
 この式はあくまで、ある半径のところでの速度の接線成分は どのようなものか、を表わすものです。
 台風が左回りかどうか、速度はどれくらいかを判断するには、 この式で十分です。
 
 さて、地面との摩擦があれば(地面から高度1000m以下 の層がこの状況にあります)、さらに角運動量を失い、気塊は 半径方向への無視できない速度成分を持つことになります。

 つまり、地面との摩擦があるから、風は等圧線を横切ること になるのです([danwa:0595])。

 したがって、[danwa:0788]Ando.Sさん:
> たとえば、日本の冬の典型的な気圧配置は、西高東低です。このとき、北西
> の風が吹きます。この風は、等圧線を直角にではなく、斜めに横切ります。
> ましてや、等圧線と平行に吹いたりしません。そして、これは、高気圧の吹
> き出しとコリオリ力で説明されているのが一般的だと思います(少なくとも

 これは事実誤認です。

 もし吹き出す風にコリオリの力が働くから等圧線を横切るなら、等圧線 ごとに、横切る角度は異なるはずです(高気圧から離れるにしたがって、 等圧線に平行に近くなる?)。
 実際の季節風(北風)は、どの等圧線でも横切る角度は同じです。
 それは本来なら等圧線に平行に吹くはずの風が、地面との摩擦のために 風向が変わっただけだからです。
 
 地面との摩擦、すなわち「吹き出し」や「吸い込み」は副次的なもので あり、本質ではありません。

> そもそも、問題としていたことは
> 「回転系ではコリオリ力で左巻きが説明されるが、
> コリオリ力のない静止系では、左巻きをどのように説明したらいいのでしょうか ?」
> だったのです。

 その通りです。[danwa:0768]ですでに述べています。

> 「回転系ではコリオリ力で左巻きが説明される」が議論の前提だったのですが、
> この前提が問題なのでしょうか?

 「回転系ではコリオリ力で左巻きが説明される」は「吸い込まれる空気に コリオリの力が働くから左回りになる」ということではない、と言っている のです。
 これは[danwa:0595][danwa:0787]などで述べています。

 また、 

> 私もお聞きしたいのですが
>> ては下層にあたりますが)での風の円運動はどのように説明するのでしょ
>> うか?
> この円運動の角運動量の起源は何とお考えでしょうか?
>
> 私は もともと地面にへばりついて地球とともに回転していたときの角運動量の名 残
> と考えています。

これについては[danwa:0754][danwa:0774]などですでに答えています。

 長文になりついでに・・・

 台風や高気圧で出てくる気圧傾度力は、あくまでその場での気圧の傾き によって生じる力、等圧線の込み具合によって決まる力です。
 台風の中心がどんなに低気圧であろうが、そこから100km離れた所 で、もし気圧傾度がなければ、働く力は0です。気塊は吸い込まれません。
 同じように、高気圧がどんなに気圧が高かろうが、気圧傾度が0なら、 気塊が押し出されることはありません。
 気圧傾度力は重力などと違って空間を飛び越えて働く力ではないのです (もっとも重力も一般相対論ではもはや遠隔力ではありませんが・・・)。

 そして台風は最初から直径1000kmにもおよぶ巨大な気圧傾度を もって生まれるわけではありません。
 最初はごく弱く、小さな低気圧(上昇気流の塊)として生まれ、ある 驚異的なメカニズムによって、より強く、より大きく発達していきます。

だから、台風は[danwa:0600]浜口さんの:
>> それにもし気塊が高気圧から低気圧に流れてしまったら、気圧勾配が消え
>>てしまうんじゃないでしょうか。
> 
> 消えると思いますよ.
>(台風は,時間がたてば,消えてしまいますよね)

などという単純なものではありません。

 台風の発達で重要な役割を果たすのは「水蒸気」です。

 台風は赤道付近の暖かい海上で発生します。
 地表付近の空気には水蒸気がたっぷりと含まれています。
 
 普通の空気は温められて上昇しても、ある程度高くなると、冷やされて 上昇を止めます。
 しかし台風の空気には水蒸気がたっぷりと含まれているので、状況が異 なります。

 上昇して冷やされると、水蒸気が水滴に変わります(これが雲です)。 その時、潜熱を放出するため空気の温度が下がりません。空気はさらに 上空へと昇っていき、ついには成層圏にぶつかって、外へと吹き出すこと になります。
 「気圧」というのは要は「その場所の上空にどれだけ空気があるか」を 表わす量ですから、外に向かって空気が出てしまえば、気圧が下がること になります。
 気圧傾度が大きくなれば、風の速度(回転成分)が大きくなります。
 風速が大きくなれば地面付近では摩擦が効くようになり、空気は中心に 向かって落ちていくことになります。
 その空気には水蒸気がたっぷりと含まれていますから、さらに台風の中 心付近では気圧が下がることになります。
 そしてさらに気圧傾度が増し、風の速度(回転)は大きくなり・・・

 台風が陸に上がったり、高緯度側に来て弱くなり、ついには消えてしま うのは、台風の「燃料」とでもいうべき水蒸気の供給が止まってしまうか らです。

 台風は回転によって低気圧が保たれるだけではなく、この「水蒸気エン ジン」が働くことにより、より強く、より巨大になれるのです。

石坂


[danwa:0800] Re: 台風が左回りである理由
Date:Wed, 19 Jun 2002 00:17:59 From: 浜口
 石坂さん,こんばんは.
 
([danwa:0799]石坂さん)
>[danwa:0798]浜口さんも:
>> そんなモデル(自由な質点1個)をもってくれば,似ても似つかないのはあた
>> りまえですっ!!
>とおっしゃっています。
 
 あのー.
 
 そんなモデルを自ら採用して,それを批判の対象にする,という自作自演を しておられるのは石坂さんなんですけど.A^_^;
 
([danwa:0790]石坂さん)
> [danwa:0775]でAndo.Sさんが用いられた、転がるボールの例えが分かりや
>すいかと思いますので、「真中に穴のあいた漏斗の中でボールを転がす」と
>いうモデルを採用します。
> ボールは漏斗の斜面に沿って、穴に向かう力を受けつつ、運動します。
> ちなみに、科学館には「ケプラー・モーション」という展示があり、お客
>さんには大人気です。
 
とお書きになったことを忘れておられるのでは? 
 
 
 1個のボールでなく,大量の水を注ぐとか,数百個(あるいは数千個)のパチ ンコ球を注ぐとかすれば,わりとよいモデルになるかもしれません.
 台風の回転に似たものになるんじゃないかな.
 
**********
 
 ところで,どうも,石坂さんの論点がつかめないのですが,「Bi.Bi.説」す なわち:

「1番目」
・台風発生の前には,もともと空気は地面に対して静止している.すなわち,
 地球自転にあわせて(北半球では)左回りに回転している.
「2番目」
・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.
「3番目」
・吸い込まれるにつれて回転速度が増していく.つまり,空気は地面に対して
 左回りに回転することになる.
 
の,「2番目」「3番目」を石坂さんは批判しておられるのですよね.
 吸い込まれるのではない,と.
 吸い込まれないとすれば,どのようなメカニズムで,角速度が増すとおっし ゃるのでしょうか?
 
                               浜口


[danwa:0801] Re: 台風が左回りである理由
Date: Wed, 19 Jun 2002 10:30:11 From:浜口
 石坂さん,こんにちは.

   論点が見えてきました.
   ([danwa:0799]石坂さん)
>角運動量の小さい中心付近ほど、回転
>角速度は大きくなります。

   そのとおりです.
 で,その理由は?
(さりげなく書いておられますが,ここがポイントですよね)

   吸い込みなしで説明してみてください.
(吸い込みも使わず,角運動量保存も使わず,いったいどうやって説明するん だろう……)
                                浜口



[danwa:0802] Re: 台風が左回りである理由
Date: Wed, 19 Jun 2002 18:33:33 From:石坂
浜口さん、談話室のみなさま、こんばんは。

[danwa:0800]浜口さん:
>([danwa:0799]石坂さん)
>>[danwa:0798]浜口さんも:
>>> そんなモデル(自由な質点1個)をもってくれば,似ても似つかないのはあた
>>> りまえですっ!!
>>とおっしゃっています。
> 
> あのー.
> 
> そんなモデルを自ら採用して,それを批判の対象にする,という自作自演を
>しておられるのは石坂さんなんですけど.A^_^;

 Bi.Bi.さんが浜口さんにどういう説明の仕方をしているかは知り ませんが、私がBi.Bi.さんから直接聞いた説明は、「そんなモデル」 に基づいたものでした。
 うちゅう1月号の記事についての説明を受けたときも、「台風が 左回りである理由」についての説明を受けたときも、です。
 運動方程式まで書いていただきましたが、まさに角運動量を保存 した自由な質点(気塊)1個の運動を扱ったものだったのです。

 「そんなモデル」では、 

>「2番目」
>・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.

という状況にならないでしょ、台風の説明にならないでしょ、とい うのが私の論点の一つです。

石坂



[danwa:0803] Re: 台風が左回りである理由
Date: Wed, 19 Jun 2002 19:57:26 From:浜口
 石坂さん,みなさん,こんばんは.

  ([danwa:0802]石坂さん) 
> Bi.Bi.さんが浜口さんにどういう説明の仕方をしているかは知り
>ませんが、

   談話室や『うちゅう』に書かれた以外の説明はとくに聞いていません.

 Bi.Bi.説の要諦は

・台風発生の前には,もともと空気は地面に対して静止している.すなわち,
 地球自転にあわせて(北半球では)左回りに回転している.
・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.
・吸い込まれるにつれて回転速度が増していく.つまり,空気は地面に対して
 左回りに回転することになる.

  であると私は理解しています.
(そしてそれは正しいと考えています)

  >私がBi.Bi.さんから直接聞いた説明は、「そんなモデル」
>に基づいたものでした。
   何のための説明だったのか(説明の目的)がわかりませんので,コメントのし ようがないのですが,Bi.Bi.さんの[danwa:0796]を見る限り,Bi.Bi.さんのお っしゃっていることはまともです.
(1個の質点モデルを考えているにしても,そのモデルの適用限界内で,本質 的に正しい議論をしておられます)

  **********
 
 さて,

  ([danwa:0799]石坂さん)
>角運動量の小さい中心付近ほど、回転
>角速度は大きくなります。
   吸い込みも使わず,角運動量保存も使わず,これを石坂さんがどうやって 説明されるのか,とても興味があります.

                                   浜口



[danwa:0804] Re: 台風が左回りである理由
Date: Thu, 20 Jun 2002 20:51:40 From:石坂
浜口さん、談話室のみなさん、こんばんは。

 たぶん、何を「まとも」と思い、何を「珍妙」と思うか、という ところが違うので議論がかみ合わないのでしょうね。

[danwa:0803]浜口さん:
>> 私がBi.Bi.さんから直接聞いた説明は、「そんなモデル」
>> に基づいたものでした。
> 
> 何のための説明だったのか(説明の目的)がわかりませんので,コメントのし
> ようがないのですが,Bi.Bi.さんの[danwa:0796]を見る限り,Bi.Bi.さんのお
> っしゃっていることはまともです.
> (1個の質点モデルを考えているにしても,そのモデルの適用限界内で,本質
> 的に正しい議論をしておられます)

   私は「まとも」でないモデル(今の場合は「1個の質点モデル」) から出てきた結論は、それがどんなに現実の状況と似ているもので あっても、「珍妙」なものと感じます(似た状況を再現できなけれ ばなおさらです)。

    結論がそうなるようにモデルに不自然に手を加えてるんだから 当たり前じゃないの、と。説明になってないじゃないの、と。
 どうやら、そう感じているのは私だけみたいですが・・・。

 さて、

  >([danwa:0799]石坂さん)
>>角運動量の小さい中心付近ほど、回転
>>角速度は大きくなります。
> 
> 吸い込みも使わず,角運動量保存も使わず,これを石坂さんがどうやって
> 説明されるのか,とても興味があります.

[danwa:0768]石坂:
> 1)なぜ台風の空気は回転するのか?
> 2)なぜその回転は(北半球で)左回りなのか?

の1についてですね。
 これについては[danwa:0799]でも書いていますが、改めて書いてみま しょう。

 この問いについては、気圧傾度力にこだわらず、重力のような引力の もとで、角運動量を持った物体がどのように振舞うかを考えることにし ます。それでも結論の一般性は保てるでしょう(ブラックホールの回り の渦=降着円盤や原始太陽系星雲も同じ状況です)。

 まず、角運動量(とエネルギー)を保存したままでは、物体は落ちて これません。物体を1個の質点と思っても多数の質点の集合と思っても 同じです。
 1個の質点に注目すれば、楕円軌道を描いて中心に近づいたり遠ざかっ たりするだけです(まさにケプラー運動です)。
 ところが、空気や水は単なる質点の集合ではありません。質点同士の 間で相互作用が働きます。「粘性」です。
 ここからは粘性の働く質点のことを「流体要素」と呼ぶことにします。 水や空気は隙間無く空間を埋め尽くす流体要素の集合です。

 質点の場合は隣り合うものが内に向かおうが外に向かおうがお構いな しに同時に存在できますが、流体要素の場合は速度の違うもの同士はぶ つかり合って半径方向の速度成分を失い、円軌道を描くことになります (この時に運動量とエネルギーを失い、波や熱が発生します)。
 円軌道の半径は、その流体要素が持っている角運動量(とエネルギー) に応じて配置され、小さいものほど内側、大きいものほど外側、となり ます(角運動量が大きい、ということは流体要素にとってはそれだけ遠 心力が強いのですから)。・・・【1】

 円軌道では[遠心力]=[引力]になっていますので、ここから角速度を 求めると、角速度は内側の軌道の方が大きい、ということが分かります。【2】

 これで回転(渦)の原型ができました。

 さて、こうして配置された流体要素はこのまま完全な円軌道を描き続 ける、というわけにはいきません。
 隣り合う円軌道での速度(角速度)が異なるからです。

 粘性によって、隣り合う流体要素は速度を平均化しようとしますから、 外側の方は速度を大きく、内側は速度を小さくしようとするでしょう。 これは外側の流体要素の角運動量が増え、内側の流体要素が角運動量を 失うことを意味します。

 角運動量が増えれば、【1】から、その流体要素は外側へ、角運動量 を失えば、その流体要素は内側へ移動することになります。
 外側の軌道に移ると【2】から、速度が小さくなり、内側の軌道に移 れば、速度は大きくなることが分かります。

 結局、速度を平均化しようとして、2つの流体要素間の速度差がさら に大きくなってしまいます。

 実際にはあらゆる半径のところで、角運動量の交換が行われますので、 この「渦」の一番外側のごくわずかな流体要素が、内側から運ばれてき た角運動量をほとんど受け取って逃げていき、渦を形成する残りの大半 の流体要素は角運動量をごくわずかずつ失って、徐々に徐々に内側に落 ちていくことになります。

 角運動量をもった空気や水は引力の存在する状況では内側ほど速く、 外側ほど遅い、というほぼ同心円状の渦をつくることになるのです。

石坂



[danwa:0805]  Re: 台風が左回りである理由
Date: Thu, 20 Jun 2002 23:09:22 From:浜口
 石坂さん,こんばんは.

  ([danwa:0804]石坂さん)
> 私は「まとも」でないモデル(今の場合は「1個の質点モデル」)
>から出てきた結論は、それがどんなに現実の状況と似ているもので
>あっても、「珍妙」なものと感じます(似た状況を再現できなけれ
>ばなおさらです)。
> 結論がそうなるようにモデルに不自然に手を加えてるんだから
>当たり前じゃないの、と。説明になってないじゃないの、と。

   非常におもしろいと感じます.
 考え方の違いが浮き彫りになってきました.

   私の理解では,Bi.Bi.説とは,

・台風発生の前には,もともと空気は地面に対して静止している.すなわち,
 地球自転にあわせて(北半球では)左回りに回転している.
・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.
・吸い込まれるにつれて回転速度が増していく.つまり,空気は地面に対して
 左回りに回転することになる.

ということです.
 
 Bi.Bi.さんが説明に「1個の質点モデル」を用いられたとしたら,それは, たまたまBi.Bi.説の一部を説明するために用いられただけのことです.
(たとえば,中心に近づくと角速度が増す,ということの説明)
 そんなこと(単に一部分を説明するためのものにすぎないこと)は前後の脈絡 から明らかです.

  「Bi.Bi.説」=「1個の質点モデル」 ではありません.

   Bi.Bi.説を「1個の質点モデル」のことであると勝手に規定し,それを批判 する,というのが石坂さんのしておられることだったんですね.
 非常におもしろいと感じます.
 
「1個の質点モデル」が不完全なものであることに私も異論はありません.  わざわざ言うまでもなくそんなこと(不完全であること)は明らかですから.

  **********

([danwa:0804]石坂さん)
> 円軌道では[遠心力]=[引力]になっていますので、ここから角速度を
>求めると、角速度は内側の軌道の方が大きい、ということが分かります。【2】
 
 分かりません.
「ここから角速度を求めると」のところを具体的にお願いします.

                                  浜口



[danwa:0806]   Re: 台風が左回りである理由
Date:Fri, 21 Jun 2002 21:36:07 From:Bi.Bi.
石坂さん、浜口さん、談話室のみなさん、こんばんは。

Bi.Bi.です。

[danwa:0804] 石坂さん

>  たぶん、何を「まとも」と思い、何を「珍妙」と思うか、という
> ところが違うので議論がかみ合わないのでしょうね。

私の場合は、そうではありませんでした。
私は、今回でやっと石坂さんのイメージが理解できたつもりです。
(同意したわけでない。)
さっぱりなにを主張されているのかが、分からなかったわけです。

>  
>  私は「まとも」でないモデル(今の場合は「1個の質点モデル」)
> から出てきた結論は、それがどんなに現実の状況と似ているもので
> あっても、「珍妙」なものと感じます(似た状況を再現できなけれ
> ばなおさらです)。

私は未だに、摩擦なしの☆型軌跡から十分理解できると考えています。
これが本質を語っていると。

>  結論がそうなるようにモデルに不自然に手を加えてるんだから
> 当たり前じゃないの、と。説明になってないじゃないの、と。

石坂さんが不自然と思われるのは理解できます。
流体力学という高等な道具だけで考察されるんですから。

でも、一質点から得られた知見だけからも、 「左回り」は考察できると思うんですけどね。

流体力学も基礎は質点の力学ですから、 本質は同じはずだと思ってます。

とりあえす、このことはしばらくおいておいて、 石坂説を理解したいと思います。

さて、石坂説で理解できないところがありますので、 それを解決させて下さい。

質問1
>  質点の場合は隣り合うものが内に向かおうが外に向かおうがお構いな
> しに同時に存在できますが、流体要素の場合は速度の違うもの同士はぶ
> つかり合って半径方向の速度成分を失い、円軌道を描くことになります

これが分からない。
例えば、初期条件として流体が一様に静止しているとして、 石坂さんが与えた力の下での運動を考えて下さい。

流体は中心に向かって流れ出し、中心付近が高圧、外側は低圧になり、 今度は逆向きの流れができ、半径方向に振動する流れができると思います。 摩擦があれば、しばらくして中心力に応じた密度の濃淡ができて落ち着くとのでしょうけど。

石坂さんのおっしゃる解で、初期条件の角運動量を0に近づけていくとどうなるんでしょう? 半径方向に運動はない解となりますね。 上記のことと矛盾すると思います。

質問2
>  角運動量をもった空気や水は引力の存在する状況では内側ほど速く、
> 外側ほど遅い、というほぼ同心円状の渦をつくることになるのです。

この場合は粘性で、エネルギーを失っています。
ということは定常状態ではなく、まだまだ変化しますよね。

引力に応じた気圧勾配ができて、 内側も外側も同じ角速度で回転する(剛体回転)というのに落ち着く、 のでは?

あるいは、どこかから常にエネルギーの供給があれば話は別ですが。

まだ、他にも分からないことがあるのですが、 とりあえず、以上のこと、よろしくお願いします。

Bi.Bi.



[danwa:0809] Re: 台風が左回りである理由
Date: Tue, 25 Jun 2002 18:42:09 From: 長谷川
談話室のみなさん、こんばんは。長谷川です。

Bi.Bi.さん [danwa:0806]
> 例えば、初期条件として流体が一様に静止しているとして、
> 石坂さんが与えた力の下での運動を考えて下さい。
>
> 流体は中心に向かって流れ出し、中心付近が高圧、外側は低圧になり、
> 今度は逆向きの流れができ、半径方向に振動する流れができると思います。
> 摩擦があれば、しばらくして中心力に応じた密度の濃淡ができて落ち着くと
> のでしょうけど。

いきなり低気圧出現ですか?

初期条件として流体が一様に静止しているところで、いきなりではなく上昇気 流が発生したら、まわりから流体が流れ込んで、低圧部が消えておしまいじゃ ないでしょうか。

現に赤道直下では台風は発生しません。[danwa:0625] で、台風が北緯1度30分 で発生したというニュースをお知らせしましたが、これはニュースになるほど まれな現象です。

赤道から少し離れると、低圧部のまわりで空気の回転ができて、中心にはなか なか空気が流れ込まない。中心で上昇気流が続けば、中心気圧がどんどん下が って…というのが台風じゃないでしょうか。

もともとの空気が静止しているとは限らないので、まれに赤道直下で台風が発 生することもあるんでしょうね。

> 石坂さんのおっしゃる解で、初期条件の角運動量を0に近づけていくとどう
> なるんでしょう?
> 半径方向に運動はない解となりますね。
> 上記のことと矛盾すると思います。

石坂さんが書いているのは、低圧部のまわりの空気の角速度の大きい場合に、 半径方向の運動は回転運動に比べれば十分小さい、というだけのことでしょう。

空気が回転していないという極限を持ってきて、矛盾するというのは無茶です よ。



[danwa:00810] Re: 台風が左回りである理由
Date: Tue, 25 Jun 2002 20:15:18 From:石坂
談話室のみなさま、こんばんは。

 ちょっと本質からずれてしまうかもしれませんが、いくつか論点を 整理しておきたいと思います。

1)Bi.Bi.説は「1個の質点モデル」かどうか

 浜口さんは[danwa:0805]で
>「Bi.Bi.説」=「1個の質点モデル」 ではありません.

と書き、「Bi.Bi.説」=「1個の質点モデル」と思っていた私を
> Bi.Bi.説を「1個の質点モデル」のことであると勝手に規定し,それを批判
> する,というのが石坂さんのしておられることだったんですね.
 
と非難していらっしゃいます。

 しかしながら、[danwa:0806]でBi.Bi.さん本人は:
> 私は未だに、摩擦なしの☆型軌跡から十分理解できると考えています。
> これが本質を語っていると。

と、「1個の質点モデル」を使っていることを認めていらっしゃいます。
 浜口さん、よろしいでしょうか。

2)Bi.Bi.説で「吸い込み」は必須かどうか

[danwa:0609]でBi.Bi.さんは
> 初期条件として、目を中心とした等方的な運動を仮定しています
> これがとても重要な仮定で、左巻きの起源です。
> これがなけりゃ右巻きも可能と考えています。

とお書きになっています。つまり中心に向かって気塊が吸い込まれる ことが左回りを説明するために必須である、ということでしたよね。

 一方、[danwa:0806]で書かれている:
> 私は未だに、摩擦なしの☆型軌跡から十分理解できると考えています。
> これが本質を語っていると。
からは必ずしも「吸い込み」は本質ではない、と読めるのですが、どの ようにお考えなのか、もう一度まとめていただけると助かります。

3)角運動量を保存した「吸い込み」はありうるか

 浜口さんにお聞きします。

>・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.

 角運動量を保存したままで、一方的に吸い込まれていくことは ないかと思いますが、どうして可能なのかお教えください。

**********

 [danwa:0805]浜口さん:
> ([danwa:0804]石坂さん)
>> 円軌道では[遠心力]=[引力]になっていますので、ここから角速度を
>>求めると、角速度は内側の軌道の方が大きい、ということが分かります。【2】
> 
> 分かりません.
>「ここから角速度を求めると」のところを具体的にお願いします.

 あ、すみません。[引力]の形(半径依存性)を仮定しなければいけませ んでしたね。
 重力の場合には半径の二乗に反比例する力(外に行くほど引力は弱くなる)、 同心円状の等圧線がある場合の気圧傾度力では、半径依存性は等圧線の間隔 によります。
 台風の場合、外に行くほど等圧線間隔が狭くなる、ということはありませ んので、気圧傾度力はとりあえず半径によらず一定(つまり等圧線が等間隔) として計算するのが簡単でしょう。
 実際には、中心の方が等圧線の間隔は狭くなっていますが、この場合にも 【2】の結論は変わりません。

 このような等圧線の配置になる原因は、地表付近の水蒸気量にあります。 [danwa:0799]で書いたように水蒸気量が多ければそれだけ気圧は下がること になります。地表付近では摩擦によって水蒸気を含んだ空気が中心に向かっ て流れ込んできますので、中心ほど気圧が下がりやすくなるのです。

******

「角運動量が保存するから中心にいくほど角速度が大きいのだ」という説明 は簡単だし、手っ取り早いし、1質点モデルの場合なら真実ですが、「角運 動量が保存していなくても(しないからこそ)、中心に近いほど角速度が大 きくなる」というところが、空気や水といった粘性流体の渦のおもしろいと ころだと私は思っています。

石坂



[danwa:0811] Re: 台風が左回りである理由
Wed, 26 Jun 2002 00:19:38 From: Bi.Bi.
石坂さん、こんばんは
Bi.Bi.です。

円環モデルで私もちょっと考えたのですが、
石坂さんの帰結とは異なる結論となりました。

[danwa:0804] 石坂さん
>
>  角運動量が増えれば、【1】から、その流体要素は外側へ、角運動量
> を失えば、その流体要素は内側へ移動することになります。
>  外側の軌道に移ると【2】から、速度が小さくなり、内側の軌道に移
> れば、速度は大きくなることが分かります。
>
>  結局、速度を平均化しようとして、2つの流体要素間の速度差がさら
> に大きくなってしまいます。
>

そんなことはあり得ないと思います。

粘性は相対速度を打ち消す方向に働きます。
ですから、内側も外側も同じ角速度に落ち着きます。
内側と外側との間に圧力がなければ、与えた中心力と角速度で決まる半径の所で
回転運動することになるでしょう。
しかし、お互い近づけば近づくほど圧力が大きくなるので、
適当に離れたところで、同じ角速度で回転するでしょう。
その時の向心力は圧力勾配と中心力の和。

つまり、粘性で流体は剛体回転をするでしょう。

このとき、もし、中心付近で吸い込みがあれば、
吸い込み部分の周囲が外から押されて中心へ向かいます。
中心へ向かった円環は角運動量保存が効いて、角速度を増します。
これがおそらく、中心付近が角速度が大きいことの起源だと思います。

渦を形成するのは、中心への移動が必要で、これを可能にするのは吸い込みだと思います。


[danwa:0810] 石坂さん
> 1)Bi.Bi.説は「1個の質点モデル」かどうか

これが理解できれば、もう充分でしょう。
地面との摩擦があろうが、周りの大気との摩擦があろうが、
どちらも台風の目とともに回転しているので、
それ以上回転が遅くなることはありません。

つまり、どんなに遅い角速度でも、
台風の目とともに剛体回転することは保障されているのです。

だから、ちょっとでも、角運動量を保存して中心へ入り込めば、
台風の目の自転以上の角速度は得られるのです。

台風が左巻きか右巻きかという単純な問題には、
これで、十分でしょう。

ただし、示したいことは、渦を描くことではありませんよ。
左巻きになることです。

> 2)Bi.Bi.説で「吸い込み」は必須かどうか
>
> [danwa:0609]でBi.Bi.さんは
> > 初期条件として、目を中心とした等方的な運動を仮定しています
> > これがとても重要な仮定で、左巻きの起源です。
> > これがなけりゃ右巻きも可能と考えています。
>
> とお書きになっています。つまり中心に向かって気塊が吸い込まれる
> ことが左回りを説明するために必須である、ということでしたよね。

厳密に言えば、吸い込みがなくてもいいです。
中心方向へ運動していたらいいのです。

渦を示すのでなく、左巻きを示すのにはこれで十分です。

吸い込みがなければ、中心方向への運動は
しばらくして、中心から外側への運動に変わってしまうので、
中心方向への運動を吸い込みと同義に使うのが、普通かも知れませんが。

>  一方、[danwa:0806]で書かれている:
> > 私は未だに、摩擦なしの☆型軌跡から十分理解できると考えています。
> > これが本質を語っていると。
> からは必ずしも「吸い込み」は本質ではない、と読めるのですが、どの
> ようにお考えなのか、もう一度まとめていただけると助かります。

上記のように、本質ではないです。
ただし、円環モデルで述べたように、吸い込みと粘性があれば、
左巻きだけでなく、渦が得られます。
これはつい最近気付いたことですけど。

議論がいつの間にか 左巻きの起源から、渦の起源になって、とまどっています。

Bi.Bi.


[danwa:0812] Re: 台風が左回りである理由
Wed, 26 Jun 2002 00:19:40 From: Bi.Bi.
[danwa:0809] 長谷川さん
> BI.Bi.さん [danwa:0806]
> > 例えば、初期条件として流体が一様に静止しているとして、
> > 石坂さんが与えた力の下での運動を考えて下さい。
> >
> > 流体は中心に向かって流れ出し、中心付近が高圧、外側は低圧になり、
> > 今度は逆向きの流れができ、半径方向に振動する流れができると思います。
> > 摩擦があれば、しばらくして中心力に応じた密度の濃淡ができて落ち着くと
> > のでしょうけど。
>
> いきなり低気圧出現ですか?
>
> 初期条件として流体が一様に静止しているところで、いきなりではなく上昇気
> 流が発生したら、まわりから流体が流れ込んで、低圧部が消えておしまいじゃ
> ないでしょうか。
>

なにをおっしゃってるんですか?
[danwa:0804] 石坂さん
> この問いについては、気圧傾度力にこだわらず、重力のような引力の
>もとで、角運動量を持った物体がどのように振舞うかを考えることにし
>ます。それでも結論の一般性は保てるでしょう(ブラックホールの回り

と、石坂さんがモデルを設定されてるんです。

>
>
> > 石坂さんのおっしゃる解で、初期条件の角運動量を0に近づけていくとどう
> > なるんでしょう?
> > 半径方向に運動はない解となりますね。
> > 上記のことと矛盾すると思います。
>
> 石坂さんが書いているのは、低圧部のまわりの空気の角速度の大きい場合に、
> 半径方向の運動は回転運動に比べれば十分小さい、というだけのことでしょう。
>

そんなことどこにも書いてらっしゃいません。
一般論として、半径方向の速度がなくなる、とおっしゃってると読みましたが。
どこに長谷川さんのおっしゃる部分があるのですか?

> 空気が回転していないという極限を持ってきて、矛盾するというのは無茶です
> よ。

こういうのが無茶です。
モデルを仮定して議論しているのですよ。
モデルを仮定していると思って、そのモデルで考えていたら、
今度は現実の世界をもってきての批判ですか?

Bi.Bi.


[danwa:0813] Re: 台風が左回りである理由
Wed, 26 Jun 2002 01:25:24 From: Bi.Bi.
お風呂上がりに、もう一言
Bi.Bi.です。

>
> 1)Bi.Bi.説は「1個の質点モデル」かどうか
>
>  浜口さんは[danwa:0805]で
> >「Bi.Bi.説」=「1個の質点モデル」 ではありません.
>
> と書き、「Bi.Bi.説」=「1個の質点モデル」と思っていた私を
>
> > Bi.Bi.説を「1個の質点モデル」のことであると勝手に規定し,それを批判
> > する,というのが石坂さんのしておられることだったんですね.
>  
> と非難していらっしゃいます。
>
>  しかしながら、[danwa:0806]でBi.Bi.さん本人は:
> > 私は未だに、摩擦なしの☆型軌跡から十分理解できると考えています。
> > これが本質を語っていると。
>
> と、「1個の質点モデル」を使っていることを認めていらっしゃいます。

一質点で十分です。
これと一質点モデルだけを考察していたかというのとは違います。
多粒子系も考察していました。

> [danwa:0609]でBi.Bi.さんは
> > 初期条件として、目を中心とした等方的な運動を仮定しています
> > これがとても重要な仮定で、左巻きの起源です。
> > これがなけりゃ右巻きも可能と考えています。
>
> とお書きになっています。つまり中心に向かって気塊が吸い込まれる
> ことが左回りを説明するために必須である、ということでしたよね。
>

等方的というのは、多粒子が等方的に中心方向へ運動しているのを
想定してたのですが。

   ↓

→  目 ←

   ↑

そのように受け取ってもらえなかったでしょうか?
自由な一質点は☆型の妙な軌跡をとったりしますが、左回転です。
また、摩擦などで、運動が邪魔されたとしても、右巻きにはなりません。
左巻きです。多粒子になったとして、お互い相互作用していたとしても、
右巻きにはならんでしょう。左巻きです。

ただし、質量の異なる多粒子の相互作用となると、ちょっと難しいですけど。

「自由な一質点が左巻き」を説明すれば、こういうのは自明だと思ってました。

Bi.Bi.


[danwa:0814] Re: 台風が左回りである理由
Wed, 26 Jun 2002 19:20:27 From: 浜口
石坂さん,みなさん,こんにちは.
 
 言い忘れていたので,まずひとつ.
 
([danwa:0799]石坂さん)
> 中心から500kmのところの気塊の角運動量と、100kmのところの気塊
>の角運動量とでは、計算すると後者の方が9割も小さいです。
> これを「適度に保存して」などと表現するのですか?
 
 表現すると思います.,
「中心に近づくと角速度が増す」ということを説明するのが目的ですから,適
度に保存すれば十分でしょ.
 rが5分の1になる場合,角運動量が25分の1以上保存していれば(角速度
が大きくなるには)十分です.
 もし9割小さい(10分の1になっている)なら,十分すぎる量が保存されてい
ます.
 
 しかし,なんでそんな言葉尻をとらえるかな〜.
 話の脈絡というものがわからないんですか.
 
                               浜口


[danwa:0815] Re: 台風が左回りである理由
Wed, 26 Jun 2002 20:36:34 From: 浜口
 みなさん,こんにちは.
 
([danwa:0810]石坂さん)
>、「Bi.Bi.説」=「1個の質点モデル」と思っていた私を
 
 ああ,やっぱりそうだったんですね.
 すごい誤解ですね.
 
> しかしながら、[danwa:0806]でBi.Bi.さん本人は:
>> 私は未だに、摩擦なしの☆型軌跡から十分理解できると考えています。
>> これが本質を語っていると。
>
>と、「1個の質点モデル」を使っていることを認めていらっしゃいます。
> 浜口さん、よろしいでしょうか。
 
 よろしいですよ.
 Bi.Bi.説の説明に「1個の質点モデル」を使うことはできます.
(だからといって,「1個の質点モデル」がBi.Bi.説だ,というわけではあり ません)
 
> 一方、[danwa:0806]で書かれている:
>> 私は未だに、摩擦なしの☆型軌跡から十分理解できると考えています。
>> これが本質を語っていると。
> からは必ずしも「吸い込み」は本質ではない、と読めるのですが、
 
「中心に近づくと角速度が増す」ということが本質なので,(吸い込まれてしま わなくても)中心に近づくというだけで十分説明になるでしょう.
「中心に近づく(中心方向へ移動する)」ことが本質です.
 
(ちなみに,私は「吸い込み」という語を,「吸い込まれてしまう」というよ りもむしろ「中心方向への移動」という意味で使っていました)
 
 いっぽう,石坂さんの「吸い込みは必要ではない」という主張は,「中心に
近づくこと(中心方向への移動)は一切必要ではない」という意味ですよね.
 
**********
 
([danwa:0809]長谷川さん)
>石坂さんが書いているのは、低圧部のまわりの空気の角速度の大きい場合に、
>半径方向の運動は回転運動に比べれば十分小さい、というだけのことでしょう。
 
 もしそうだったら何の問題もないのですが…….
 
**********

>>「ここから角速度を求めると」のところを具体的にお願いします.
>
> あ、すみません。[引力]の形(半径依存性)を仮定しなければいけませ
>んでしたね。
 
 それもありますが,それって結局,円運動を仮定しておられるのではないで
すか.
 本末転倒では.
 角速度が十分大きくなるから,円運動が可能になるんです.
(十分な角速度が得られなければ,仮定した引力のもとで,円運動にならない)
 
 空気が中心方向に移動しないのに「角速度が大きくなる」とおっしゃるんで
しよ.それはどうしてか? と尋ねているんです.
  
********** 
 
> 浜口さんにお聞きします。
>>・低気圧が発生すると,空気は低気圧に吸い込まれていく.
> 角運動量を保存したままで、一方的に吸い込まれていくことは
>ないかと思いますが、どうして可能なのかお教えください。
 
「(摩擦のない)1個の質点モデル」とか「(摩擦なく互いに衝突しない)多数の
質点モデル」とかでは,それ(吸い込まれてしまうこと)は不可能だと思います.
 モデルの限界ですね.

 石坂さんのおっしゃるように,流体力学が必要です.
「縮まない粘性流体モデル」が適当と思われます.
 それ(縮まない粘性流体)なら可能でしょう.
 
>「角運動量が保存するから中心にいくほど角速度が大きいのだ」という説明
>は簡単だし、手っ取り早いし、1質点モデルの場合なら真実ですが、
 
 流体の場合も真実ですよ.
 
>                               「角運
>動量が保存していなくても(しないからこそ)、中心に近いほど角速度が大
>きくなる」というところが、空気や水といった粘性流体の渦のおもしろいと
>ころだと私は思っています。
 
“しないからこそ”じゃなくて,“適度に保存するからこそ”でしょ.
 
 ちなみに粘性流体では,吸い込みなしで「中心に近いほど角速度が大きい」
状態は,定常的ではありえません.
(吸い込みがあれば,「中心に近いほど角速度が大きい」状態が,定常的にな
りうる)
 
                                浜口


[danwa:0816] Re: 台風が左回りである理由
Sun, 30 Jun 2002 19:46:0 From: 石坂
談話室のみなさま、こんばんは。

[danwa:0815]浜口さん:
> いっぽう,石坂さんの「吸い込みは必要ではない」という主張は,「中心に
> 近づくこと(中心方向への移動)は一切必要ではない」という意味ですよね.

 これについては[danwa:0768]の一部を再掲します: 
> 1)なぜ台風の空気は回転するのか?
> 2)なぜその回転は(北半球で)左回りなのか?
>
>  何度も言うようですが、私は静止系で説明するのが嫌だと言っている
> わけではありません。1)と2)をごっちゃにして、2)に答えるのに
> は不必要な「吸い込み」を「すごーく重要」として一緒に扱うのはいか
> がなものか、と言っているのです。

1)については、[danwa:0799][danwa:0804]で書いているように、「中心 方向への移動」が入っています。
 ある気塊に注目すれば、最初にいた場所より中心に近づくことで角速度 が大きくなっています。

 そして、
>>                               「角運
>>動量が保存していなくても(しないからこそ)、中心に近いほど角速度が大
>>きくなる」というところが、空気や水といった粘性流体の渦のおもしろいと
>>ころだと私は思っています。
> 
>“しないからこそ”じゃなくて,“適度に保存するからこそ”でしょ.

”しないからこそ”空気は中心に向かって落ちていく(吸い込まれる)ことが できるのでしょ、という意味で書きました(私は角運動量が減ることを「角運 動量が保存しない」と表現しています)。
 この時、角運動量を完全に失うわけではないから(気塊は外側の気塊に角運 動量をただ一方的に与えるだけではなく、内側の気塊からは角運動量を受け取 る)、中心に近づくと角速度が大きくなります(もちろん変な気圧分布をして いなければ、ですが、台風は[danwa:0810]で書いたようにうまい具合に気圧分 布が調整されています)。

>> あ、すみません。[引力]の形(半径依存性)を仮定しなければいけませ
>>んでしたね。
> 
> それもありますが,それって結局,円運動を仮定しておられるのではないで
>すか.
 
 円運動を「仮定」しているわけではありません。
 粘性が働く「結果」として円運動になっているのです(誤解のないように繰 り返しますが、ここでの「円運動」は、ある気塊が閉じた円軌道上を回りつづ ける、という意味ではありません→[danwa:0799][danwa:0804])。

[danwa:0809]長谷川さんのおっしゃるように:
> 石坂さんが書いているのは、低圧部のまわりの空気の角速度の大きい場合に、
> 半径方向の運動は回転運動に比べれば十分小さい、というだけのことでしょう。 ということです。

石坂


[danwa:0820] Re: 台風が左回りである理由
Mon, 1 Jul 2002 12:59:24 From: 浜口
 石坂さん,みなさん,こんにちは.
 
([danwa:0816]石坂さん)
>1)については、[danwa:0799][danwa:0804]で書いているように、「中心
>方向への移動」が入っています。
> ある気塊に注目すれば、最初にいた場所より中心に近づくことで角速度
>が大きくなっています。
 
 おや?
 吸い込みなしで,中心付近の角速度が大きいことを導こうと努力しておられ たのは,いったい何だったのかな.
 
 まあ,いいでしょう.
 
 ようやく,吸い込みが必要であること(吸い込みなしでは台風の空気の回転 は起きないということ)を,お認めになったようですね.

 やれやれ.A^_^;
 
 では,Bi.Bi.説に対する石坂さんの批判は,もはやなくなった,ということ でよろしいですね.
 
**********
 
 あと,些細なことですが,

>”しないからこそ”空気は中心に向かって落ちていく(吸い込まれる)ことが
>できるのでしょ、という意味で書きました(私は角運動量が減ることを「角運
>動量が保存しない」と表現しています)。
 
 流体では,吸い込みがあれば,角運動量を100%保存したままでも落ちてい きますよ.
 
                                浜口


[danwa:0821] Re: 台風が左回りである理由
Date:Tue, 2 Jul 2002 11:26:58 From: 浜口
 石坂さん,みなさん,こんにちは.
 
([danwa:0804]石坂さん)
> 角運動量が増えれば、【1】から、その流体要素は外側へ、角運動量
>を失えば、その流体要素は内側へ移動することになります。
> 外側の軌道に移ると【2】から、速度が小さくなり、内側の軌道に移
>れば、速度は大きくなることが分かります。
>
> 結局、速度を平均化しようとして、2つの流体要素間の速度差がさら
>に大きくなってしまいます。

([danwa:0811]Bi.Bi.さん)
>そんなことはあり得ないと思います。

 私もそう思います(ありえないと).
 
 外側が外側へ,内側が内側へ移動するということは,その間にすきまができ
るということでしょう?
 流体としてあきらかにおかしいですよね.
(おかしくないとすれば,それはいったいどんな流体なのか,と問いたい)
 
**********
 
 それと,いまだに謎なのですが,

([danwa:0789]浜口)
> このとき,授業でその先生はどのような説明をされたのでしょうか?
> もったいぶらずに,その説明の中身を教えて下さい.
> お願いします.
 
 教えていただけないのでしょうか.
 
                                浜口


[danwa:0826] Re: 台風が左回りである理由
Date: Thu, 4 Jul 2002 22:33:21 From: Bi.Bi.
石坂さん、談話室のみなさん、こんばんは。

Bi.Bi.です。

[danwa:0804]石坂さん
>  この問いについては、気圧傾度力にこだわらず、重力のような引力の
> もとで、角運動量を持った物体がどのように振舞うかを考えることにし
> ます。それでも結論の一般性は保てるでしょう(ブラックホールの回り
> の渦=降着円盤や原始太陽系星雲も同じ状況です)。
>

今日、降着円盤の解説で、石坂さんがおっしゃるような描像を見かけました。
ただし、中心部とその周囲を分離し、 周囲の流体が中心部へ落ち込むときの定常状態を求めたものでした。
すなわち、中心部へ流れ込んでいるときの定常解です。
降着率(中心部へ落ち込む度合い)が大きな役割を果たしています。

>  角運動量をもった空気や水は引力の存在する状況では内側ほど速く、
> 外側ほど遅い、というほぼ同心円状の渦をつくることになるのです。
>

ひょっとして、降着率というの忘れてませんか?
降着率を使った計算というのは、中心部での吸い込みを考えるというのと 同値ですよね。

***************

[danwa:0816]石坂さん
> [danwa:0815]浜口さん:
> > いっぽう,石坂さんの「吸い込みは必要ではない」という主張は,「中心に
> > 近づくこと(中心方向への移動)は一切必要ではない」という意味ですよね.
>
>  これについては[danwa:0768]の一部を再掲します: 
> > 1)なぜ台風の空気は回転するのか?
> > 2)なぜその回転は(北半球で)左回りなのか?
> >
> >  何度も言うようですが、私は静止系で説明するのが嫌だと言っている
> > わけではありません。1)と2)をごっちゃにして、2)に答えるのに
> > は不必要な「吸い込み」を「すごーく重要」として一緒に扱うのはいか
> > がなものか、と言っているのです。
>
> 1)については、[danwa:0799][danwa:0804]で書いているように、「中心
> 方向への移動」が入っています。
>  ある気塊に注目すれば、最初にいた場所より中心に近づくことで角速度
> が大きくなっています。
>

随分初期に浜口さんに指摘されたことですが、

[danwa:0614] 浜口さん
>  それと,Bi.Bi.さんのおっしゃる「これから左向きの渦ができるのは自明」と
> いうのは「静止系からみて左巻き」であって,地面系からみて左巻きかどうかは
> それだけでは何とも言えないと思います.
> (Bi.Bi.さんの「自明」は,「地面が左巻きに回転しているからその上にくっ
> ついているものも一緒に左巻きに回転している」ということにすぎないのでは)確認ですが、

このことは了解されていますか?

回転系では、台風の目の周りで空気が左回転するだけでいいですが、
静止系ではそれだけではだめです。
台風の目は一日に一回転していて、
この角速度よりも空気が速く回転することが必要なんですけど。

静止系で見て左回転しているだけでは不十分なのです。

Bi.Bi.


[danwa:0829] Re: 台風が左回りである理由
Date:Fri, 16 Aug 2002 12:12:40 From: 浜口
 みなさん,こんにちは.
 毎日あついですね.A^_^;
 
 さて『うちゅう』8月号が届きました.
(『うちゅう』は大阪市立科学館友の会 会誌です)
 
 長谷川さんによる記事「もう一度,台風はなぜ左巻き?」(16ページ)で,こ れまでの議論がまとめられ,やさしく解説されています.
 
 これまでの議論とは「台風が左まわりに回転する理由を慣性系の立場で(つま りコリオリ力を使わずに)説明する」というものです.
 
 談話室では相当長いやりとりになってしまって,過去ログを読み返すのも一 苦労ですが,今回の長谷川さんの記事(の項目1〜3)はよいまとめになってい ますね.
 内容としては,[danwa:0750]で私が述べたこと(『うちゅう』7月号P24にも 同内容の投稿をしました)の,ていねいな解説になっています.
 
 ようやくこれでこの件も一件落着かと思ったのですが,長谷川さんの記事の 末尾にまたまた石坂さんの妙なコメントがついていて,なんじゃこりゃ,とい うところです.
 
 石坂さんはこのコメントで,
「1なぜ台風(低気圧)は右でも左でもいいのに,左回りなのか? 2宇宙から 見る時コリオリの力は存在しないのに,なぜ同じ向心力(回転)になるのか?  ここを説明したいのですが,紙面がなくなりましので,またの機会に」 と述べておられます.
 長谷川さんの今回の記事がその説明なんでしょ.
 斎藤さんのとき(1月号)と同じで,長谷川さんの説明が間違っているとでも 言いたげですよ.
 
                                浜口


[danwa:0831] Re: 台風が左回りである理由
Date: Fri, 16 Aug 2002 23:14:04 From: Bi.Bi.
みなさん、こんばんは。Bi.Bi.です。
本当に毎日あついですねー。

閉じた系で粘性があれば剛体回転に落ち着くと思っているんですが、 これは間違ってるんでしょうかねー。 とても渦ができるとは考えられないです。
しかし、「うちゅう」8月号のコメントを見ると、 石坂さんはまだなにやら試みておられるような。

さて、しばしば、わたしの主張が間違いだと指摘されてきました。
わたしにとっては、それは「でたらめな」論理でした。

で、なんで「でたらめな」論理が展開されるのか、私の解釈を書きます。
おそらく多くの方が高校地学の教科書を誤読されていると思います。
これが議論をでたらめにしたと考えています。

高校地学の教科書は、低気圧や台風の記述が地衡風を基になされています。
地衡風とはコリオリ力と気圧傾度力が釣り合って等圧線に沿って吹くものとして定義されています。 高気圧や低気圧を含む大規模な運動については、 地上1000メートル以上の上空では、「地衡風としてよい」とあります。 じっさいには、±20パーセントの誤差があるそうです。 (「地表面に近い大気の科学」近藤純正著、東京大学出版会、16ページ)

「地衡風としてよい」の心は、数少ない観測点での気圧から、近似的に任意の点での風の分布を求めることにあ るのでしょう。船や飛行機の安全な、あるいは効率的な運航に用いられる公式なのでしょう。

高校地学教科書は左巻きの理由を記述しているのでなく、 台風や低気圧を左巻きの定常解で説明しているだけなのです。

ところが、高校地学教科書の解説を左巻きの起源の説明と誤解し、 さらに上記のための近似であることを忘れ、 金科玉条のごとく「地衡風は等圧線を横切らない」を適用し、 「台風は吸い込みがない」、と思いこんでしまった事にあると思います。

気象のテキスト(石坂さんが貸してくれたもの)にも、これだけでは右巻きは否定できないとありました。そし て、右巻きを否定するために角運動量保存則(初期条件として左巻きの角運動量を持っている)を使用していま した。(私の主張と全く同じ!)

この「台風は吸い込みがない」という思いこみがあったことは初期の頃の議論を見れば明らかです。

この思いこみから抜け出すことができなかったため、 最近では、吸い込みなしで渦がをつくれると主張されたのでしょう。 残念ながら、それは不可能でしょう。 流体力学の教科書を見ればほとんど明らかなことです。

質点でなく流体として考察することについては 大いに結構なことです。 しかし、上記のような思いこみがある限り、 ちゃんとした論理展開はできないと思います。

Bi.Bi.



[danwa:0833] Re: 台風が左回りである理由
Date: Fri, 30 Aug 2002 00:54:34 From: Bi.Bi.
談話室の皆さん、こんばんは。

粘性があれば、剛体回転に落ち着くと考えているBi.Bi.です。

お応えをなかなかいただけないので、もう一つ本質的な疑問を。

[danwa:0799] 石坂さん
> 「回転運動」をする気塊は角運動量を失いつつ徐々に中心に向
> かって落ちていきますが、これは「吸い込まれる」のとは意味
> が違います。角運動量を失うことによって、「落ちて」いくの
> です。また、この時の「落ちていく」速度は回転方向の速度に

これって、気圧傾度力を距離の二乗に反比例すると仮定していません?
降着円盤などではそれでいいですが、 角運動量を失ったら外へ逃げていく場合もあると思うのですが。

たとえば力が距離の6乗に反比例するとか。
間違ってますか?

もし、これが正しければ、 石坂さんがしょっちゅうおっしゃってることで、 「角運動量を失うから中心へ落ちていく」 は変ですね。

Bi.Bi.



[danwa:0834] Re: 台風が左回りである理由
Date: Mon, 2 Sep 2002 11:35:36 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんばんは。
Bi.Bi.です。

台風の件では、議論が1年にもなろうとしているのに、 いっこうに収束する気配がありません。
なにが真実でなにがうそか、 さっぱり分からない状態なのではないでしょうか?

そこで、石坂さんと最近、2回議論をしまして下記のように合意に達しましたので報告します。
結論は
(1)渦をつくるためには、空気が中心へ吸い込まれることが必要。
(2)左巻きはもともと空気が左回転(地べたにへばりついて回転している)だから。
ただし、静止系で見た場合は台風自身が自転しているので、(1)も必要。
(3)粘性流体に関しては、吸い込みがなければ剛体回転に落ち着く。

これまでの議論は一体なんだっただろう?
私は上記のことをずーーっと主張していたつもりなのですが・・・

Bi.Bi.



[danwa:0836] Re: 台風が左回りである理由
Date: Sat, 7 Sep 2002 20:21:27 From: 浜口
 みなさん,こんにちは.

 今日の朝日新聞の夕刊に「台風のしくみ」という特集記事がありますね.
 風が回転を始めるようすが次のように説明されています.

(2002.9.7朝日新聞夕刊3頁)
> 気圧の高い方から低い方へ風が吹き始めると,コリオリの力が働いて風向が
>右向きにずれていく.もし海面とのまさつがなければ,ついには気圧差とコリ
>オリの力が釣り合い,風が等圧線と平行に吹く状態で安定する.
(この後,海面とのまさつにより,風は等圧線を横切って中心に向かって落ち
込むことが述べられています)

 さて,石坂さんは

([danwa:0779]石坂さん)
> それは「低気圧(台風)は空気を吸い込み、高気圧は吹き出す」とい
>う点です。そして「低気圧(台風)が左回りで、高気圧が右回りである
>理由を考える時も吸い込みや吹き出しが前提である」という点です。
(中略)
> これは「吸い込み」を前提とした考え方、「吸い込まれる空気が
>コリオリの力(なり何なり)で向きを変えて、その結果、渦になる」
>という説明が正しくないのではないのか?と感じています。

とおっしゃいますが,東大海洋研究所助教授でさえ,上のように説明している んですよ.

 そこで,石坂さんに再々々度おたずねします.

([danwa:0595]石坂さん)
> ですから、大学の地球物理学(気象)の授業ではこう習いました。
>
>「台風の渦の方向を説明するのに、吹き込む風にコリオリの力が働いて
>右の方にずれていくので、左巻きになる、というのは間違いである。」
>
> これを聞いた時には私は「目からウロコ」というか、ショックを受けた記憶
>があります。

 このとき,授業でその先生はどのような説明をされたのでしょうか?
 
(ここが石坂さんの主張の起源になっているようなので,非常に興味があるん です)

                                浜口


・・・さて、この先 話はどうなるのか?お楽しみに!・・・
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