ノーベル物理学賞2006

宇宙背景放射、2度目の受賞!

受賞者の一人、ジョン・マザー博士([NASA/Bill Ingalls])  2006年のノーベル物理学賞が、宇宙背景放射の観測に対する業績で、ジョン・マザー博士(NASA)とジョージ・スムート博士(カリフォルニア大学バークレー校)に贈られることになりました。
 宇宙背景放射に関しては1978年、発見者であるA.ペンジアスとR.ウィルソンにもノーベル物理学賞が贈られていますから、 宇宙背景放射としては「2度目の受賞」と言えるかもしれません。

 1964年、ペンジアスとウィルソンにより、宇宙のあらゆる方向から一定の強さの電波(宇宙背景放射)がやってきていることが偶然発見され、 宇宙の初期に超高温・高密度の状態ビッグバンがあったことが推測されました。

 1989年に打ち上げられた観測衛星COBEは宇宙背景放射を精密に調べ上げ、1992年、宇宙背景放射が全体としては絶対温度2.74Kに対応すること、 そして、大きなスケールでは10万分の1と極めて小さいながら温度の高低があることを発表したのです。
 宇宙背景放射の温度は理論的予測とぴったり合い、また温度の高低は現在の宇宙大規模構造(超銀河団やボイド)の種になったことの確実な証拠であり、 COBEによる観測はビッグバンを「理論上の推測」から「現実に起きた事実」として確実なものにした点で、きわめて重要かつ画期的なものでした。 宇宙背景放射観測衛星COBE([NASA])

 その後も宇宙背景放射の詳細な観測は続けられ、後継機であるWMAP衛星によって、ビッグバン宇宙論は精密な実証科学となりました。


※原文は英語ですが、ノーベル財団のプレスリリースをご覧ください。


2006.10.5記(石坂

【天文・宇宙】の話題
科学あれこれ
ホームページへ