赤外線観測衛星AKARIによる全天マップ

星形成領域を"見る"赤外線観測衛星AKARI

 2006年2月に打ち上げられた赤外線観測衛星AKARIが運用開始から1年を経て、全天の90%以上をカバーする赤外線画像を公開しました。

AKARIによる全天マップ([JAXA])

 AKARIは日本の宇宙航空研究開発機構JAXAとヨーロッパ宇宙局ESAの協同運用で、赤外線領域の9波長域をそれまでにない高解像度(9秒角)で観測できる人工衛星です。

 図中、横に伸びる明るい帯は天の川(銀河系)です。 明るく見えているのは、星形成が盛んに起こっていて、温かい(といっても、絶対温度で数10〜数100Kですが)チリやガスがたくさん集まっている場所です。
 矢印で指し示されているところは特に星形成が盛んな領域です。
AKARIによるオリオン座領域([福島英雄, 国立天文台 (左); JAXA (右)])
 そのうちの一つ、オリオン座領域を拡大したものが右図です。 左が可視光によるもの、右がAKARIの撮影した赤外線画像で、オリオン座領域全体が星が盛んに形成されている場所であることが分かります(図の上から下へ天の川がのびています)。
 オリオンの三ツ星(ベルト)の下に明るく見えているのがオリオン大星雲M42で、左側いっかくじゅう座領域にあるのはバラ星雲です。 オリオン座の頭の部分には、やはり星形成領域があって大型の星が誕生したために、まわりのガスやチリが吹き飛ばされて、光輪のようになっています。

 AKARIの観測により、星がどのような環境の、どのような条件で、どのように誕生するのか、理解が進むと期待されています。

  
※原文は英語ですが、ESAのプレスリリースをご覧ください。


2007.7.13記(石坂

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