ハッブル宇宙望遠鏡とハッブル数

ハッブル数を決める

 宇宙はその70%以上が正体不明のダークエネルギーで満たされています。
 ダークエネルギーは宇宙を加速膨張させる性質を持っていますが、その名が示すとおり、直接観測することはできません。
銀河NGC3021の中のセファイド型変光星([NASA, ESA, and A. Riess (STScI/JHU)])
 ダークエネルギーがどれだけの割合で宇宙に存在しているか、その性質がどのようなものかは、宇宙の膨張率を正確に調べることで推定することができます。
 この宇宙の膨張率を表わす数値がハッブル数です。
 ハッブル数は、遠方の銀河の距離と赤方偏移を測定することで求めることができますが、銀河の距離を測るのは至難の業のため、常に不正確さが伴います。

 ハッブル宇宙望遠鏡HSTは、遠方の銀河の中にあるセファイド型変光星を見つけ出し(右写真)、正確な距離を割り出してきました。
 これにより、ハッブル数の不正確さは3%程度にまで縮小され、74.2±3.6km/s/Mpcとなっています。 この数値は宇宙背景放射観測衛星WMAPが全く別の方法で求めた70.5±1.3km/s/Mpcと誤差の範囲内で一致しています。

 ハッブル数を正確に決めることは、この宇宙の成り立ちを知ること、そのものです。

 ハッブル数決定を語る上で欠かすことのできない役割を果たしてきたハッブル宇宙望遠鏡は現在、最終となる修理ミッションを受けています。

 原文は英語ですがHSTのプレスリリースをご覧ください。

2009.5.13記(石坂
※参考:宇宙論について知りたい方は「宇宙がわかる」(技術評論社)

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