球状星団の見かけと年齢

年齢は見かけによらぬもの・・・

 お歳を召していても若々しく見える人もいれば、若いのに老けて見える方もいらっしゃいます。
 星の世界も、またしかり、です。

 「球状星団」は銀河の周囲に点在する、100万個程度の恒星が丸く集まった星団です。
球状星団NGC6388([(c)ESO, F. Ferraro (University of Bologna)] )
 こうした球状星団は銀河ができたころに一緒に形成され、現在およそ120億歳です。 ほとんどが年老いた小さな星の集まりです。

 ところが詳細に観測してみると、球状星団を構成する星の中には、青くて大きい、つまり若い星も含まれていることがあったのです(「ナゾのスーパースター」)。
 しかも、見かけの年齢、つまり青い大きな星の存在量が、球状星団によってマチマチでした。

 これはいったい、どういうことなのでしょう?

 今回、ヨーロッパの天文学者グループが、ハッブル宇宙望遠鏡とヨーロッパ南天文台ESOの大型望遠鏡を用いて20個の球状星団を観測し、若い青い星の分布を調べました。
 その結果、球状星団の見かけの年齢(若々しさ)は、青い大きな星の中心集中度で計れそうだ、ということです。

 年老いた星の中に見かけの若い星が混じるのは、星同士が近づきすぎて合体やガスのはぎ取りが起き、恒星の質量が増えるからだと考えられています(「さまよえる青色巨星」)。
 重くなった星は、球状星団の中心部に沈んでいきます。
 見かけの若い球状星団では、全体に青い大きな星が散らばっています。
 一方、青い星が中心に全部落ちてしまえば(あるいは寿命がくれば)、全体としては球状星団は“歳相応”の見かけになります。

 このプロセスがどこまで進んでいるか、で球状星団の見かけの若さが違っていたのです。


※原文は英語ですがESOのプレスリリースをご覧ください。

2012.12.22記(石坂

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