開設:07/Feb./1999
更新:07/Jul./2015

web版・科学館資料展示室



大阪市立科学館が所蔵する資料の中から、一部を紹介します。

  *** 目   次 ***

1.近世日本の天文学史資料
2.日本の物理学史資料
3.日本の化学史資料
4.西洋天文学資料
5.日本の現代天文学関連資料
6.計算機関連資料

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近世日本の天文学資料



 大阪市立科学館が所蔵している天文学史関係の資料の一部です。
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写真解説
    
『平天儀』


 岩橋善兵衛著。享和元(1801)年刊。一冊。  著者の岩橋善兵衛(1756〜1811)は、泉州貝塚(現在の大阪府貝塚市)の眼鏡師。望遠鏡を製作し販売した。岩橋の望遠鏡は、当時の国産品の中でも特に優秀で、幕府天文方をはじめ多いに用いられた。日本全国を測量した伊能忠敬も、岩橋の望遠鏡を使用していた。
 平天儀とは、現在の星座早見盤に似た物で、五層に重ねた円盤からなる。それらをまわすことにより、月の位相と出没の様子、潮の干満、南中星座などを知ることができる。
(資料番号:1992-14)
    
『平天儀図解』


 岩橋善兵衛著。享和2(1802)年刊。一冊。  先述の『平天儀』と同様、岩橋善兵衛の著作。本書は『平天儀』とペアになる本で、天文学の基礎を概説している。 岩橋の製作した望遠鏡の図や、自ら観測した惑星のスケッチなども収められている。
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(資料番号:1992-14)
伊勢暦


 江戸時代、一般に流布した毎年の暦。暦の出版元は全国にあったが、中でも一番メジャーだったのがこの伊勢暦である。太陰太陽暦に基づいて作成された毎年の日付と、二十四節気の日時、日月食の予報、毎日の吉凶などが記載されている。
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『天文分野之図』


渋川春海著。延宝5(1677)年。刊本。一幅。
江戸時代の天文学者・渋川春海(1639〜1715)がつくった星図。 星図には、当時使われていた中国星座が描かれている。 円形星図の縁には紀州、淡路、越前といった日本の地名が書かれているが、 これは星占いの「分野」という考えに基づき天上の星座と地上の国々とを 対応させたものである。
(資料番号:1995-18)
『初学天文指南』


 馬場信武著。宝永3(1706)年刊。五冊。  天文暦学の初歩を説いた一般解説書。全五巻。内容は、天文暦学のほか、星座や天文占いについても詳しい記述がある。
 著者の馬場信武は、京都の医者。儒学や易学にも通じたという。
(資料番号:1995-20)
『天経或問』


 游子六著。西川正休訓点。享保15(1730)年。刊本。三冊。
 中国の自然科学書。天文や気象現象など、西洋科学の知識が多く紹介されている。 本書は江戸初期に禁書とされたが、写本によって少しずつ広まっていき、 ようやく1730年になり公刊されたのが本書である。その後も、天文学の入門書として江戸時代末期まで広く読まれた。
『西洋新法暦書』


 中国の天文暦学書。全100巻あるが、当館にはその内の20巻が所蔵されている。 本書はもともと中国・明朝末期に『崇禎暦書』として編纂されたもので、清朝時代になり再編集しタイトルを『西洋新法暦書』にあらためたもの。本書は西洋の宣教師湯若望(Adam Schall von Bell,1591-1666)の指導の下に作られ、当時の最先端の天文学知識が導入されている。  日本でも、18世紀終わりころから次第に読まれるようになり、写本が比較的数多く存在する。
(資料番号:1999-9)
『和蘭天説』


司馬江漢著。寛政7(1795)年。写本。一冊。
司馬江漢の著書。天文学のほか、西洋の科学についての新説を紹介した普及書。コペルニクスの天の体系の図なども紹介されており、日本においてコペルニクス説を一般に紹介した書物としては最初期のものである。
(資料番号:1999-8)
象限儀(復元)


天体の高度を測定する機器。四分儀ともいう。象限儀は古くからあるが、これは江戸時代の天文学者間重富(1756〜1816)が、改良・製作したタイプ。
本資料は、江戸期の測量家・伊能忠敬が使用したものをベースとし、他の資料をも参考にして復元したもの。
(資料番号:2000-13)
垂揺球儀(復元)


江戸時代後期に使われた天体観測用の振り子時計。大阪の天文学者・間重富(1756〜1816)が発明した。1日の誤差は約3〜5秒程度とされており、当時としては高性能であった。
本資料は、加賀藩で使われていたものを精密に複製したもの。
(資料番号:2000-7)


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日本の物理学資料



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写真解説
    
『鼓銅図録』


 増田綱著。住友氏蔵版。文化年間(1800年代初頭)頃刊。一冊。
 銅の精錬法を紹介した解説書。鉱山での採掘から銅吹所での精錬工程、箱詰め、計量までの作業の様子と、それらに用いる道具類の解説文と図が収められている。
 この『鼓銅図録』は、もともと大阪長堀(現在の大阪市中央区島之内)で銅の精練所「住友長堀銅吹所」を営んでいた住友家が贈答用に作製した書物で、主に銅吹所を訪問した幕府高官や外国人などに贈られた。
(資料番号:1999-6)
    
理化新説


 大阪舎密局でハラタマが行った講義の内容を後に製本したもの。1巻目の総説では、1mの基準等度量衡の話や、慣性の法則など物理の内容が納められている。
(資料番号:1999-108)
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日本の化学資料



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写真解説
    
『舎密局開講之説』


 大阪舎密局発行。明治2(1869)年刊。一冊。  明治2年5月1日に開校した日本初の理化学専門学校「大阪舎密局」の開校式において行われた記念講演の収録。舎密局の教頭に就任したオランダ人科学者ハラタマが講演した。
 西洋科学についての解説、物理学・化学に関する概説などが講じられている。
(資料番号:1999-105)
    
化学日記・物理日記


 大阪舎密局の名称が大阪開成所となり、ハラタマの後任として着任したヘルマン・ リッテルが行った講義内容を製本したもの。化学日記、物理日記とも全6冊。
化学日記では、無機物を中心にその性質や、分析等を行っている。 また、物理日記は、当時の日本で唯一の高級物理書と評されていた。
(資料番号:『化学日記』1999-106、『物理日記』1999-104)
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西洋天文学資料



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ラランド『天文学』初版 (ラランデ天文書)


 1764年刊。2冊。
 パリ天文台長の、ラランド(Joseph-Jerome de la Lande , 1732-1802)の著書。当時の天文学全般を解説した教科書である。 本資料は初版本。のちに改訂第二版が出ているが、そのオランダ語訳本である"Astronomia of Sterrekunde"は江戸時代の日本に輸入され、幕府天文方などで翻訳が行われた。日本で最後の太陰太陽暦である「天保暦」の暦法は、本書第二版の内容に基づいて作られている。
(資料番号:1999-38)

    
チコ・ブラーエ著作集


1648年出版。1冊。
16世紀の天文学者チコ・ブラーエ(Tycho Brahe,1546〜1601)の著作集。下記の2本の論文を収める。
 ・「新天文学への序論」:1572年に出現した超新星についての論文
 ・「最近天上に現れた天体に関する書」:1577年に出現した彗星に関する論文
 ティコは自らの観測に基づいて「ティコの体系」と呼ばれる独自の天動説を発表したが、 後者の論文にその体系図が掲載されている。
(資料番号:1997-1)
    
ガリレオ『天文対話』イタリア語第二版


1710年出版。1冊。
イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイ(Gallileo Gallilei,1564〜1642)の著書。
初版は1632年にフィレンツェで発行。正式名称は、「二つの宇宙体系についての対話」。 本書は、プトレマイオスの宇宙体系とコペルニクスの体系についての紹介が対話形式で 収められている。カトリック教会は、本書が太陽中心説(地動説)を支持しているという ことから禁書としたにもかかわらず、各地で出版が続けられた。本書もその一つで、1710年 に発行されている。
(資料番号:2007-25)


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日本の現代天文学関連資料



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写真解説
    
ブリンクコンパレーター


 このブリンクコンパレータは、東大の木曽観測所において、シュミットカメラを使って撮影された同視野の写真乾板2枚の像を比較し、天体の動きを捉えるのに用いられた装置である。1990年代に入って役目を終え、科学館へ寄贈された。
(資料番号:1995-22)
    
岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡制御卓


 1980年代まで岡山天体物理観測所で使用されていた、188cm反射望遠鏡制御用の操作卓(コンソール)。 新型コンソールに置き換えられて役目を終えた。  その後、科学館に寄贈され、傷んだ部分のを一部修復・再塗装した上で静態展示している。
(資料番号:1999-105)
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計算機関連資料



 大阪市立科学館が所蔵している計算機関連資料の一部です。
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写真解説
    
1桁計算機


 キーボード式の計算機で、1桁の加算機能だけを持つ。計算は、キーボードで数字を押していくと足し算をすることができる。20世紀前半頃のもの。
(登録資料名:計算機(鍵盤式、加算機能)、資料番号:2010-19)
    
1桁計算機


 キーボード式の計算機で、1桁の加算機能だけを持つ。計算は、キーボードで数字を押していくと足し算をすることができる。20世紀前半頃のもの。
(登録資料名:計算機(鍵盤式、加算機能)、資料番号:2010-19)
    
ダイヤル式加減算機


 ダイヤル式の計算機。横に並んだダイヤルにはそれぞれ0〜9の穴が開いていて、スタイラスの様な器具を数字の穴に差し込んで回転させることにより、計算が出来る。右回しで加算、左回しげ減算となる。20世紀中ごろのもの。
(登録資料名:計算機(ダイヤル式、加減機能)、資料番号:2010-8)
    
ダイヤル式加減算機


 ダイヤル式の計算機。横に並んだダイヤルにはそれぞれ0〜9の穴が開いていて、スタイラスの様な器具を数字の穴に差し込んで回転させることにより、計算が出来る。右回しで加算、左回しげ減算となる。20世紀中ごろのもの。
(登録資料名:計算機(ダイヤル式、加減機能)、資料番号:2010-8)
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