長谷川能三のHP月刊『うちゅう』街角ウォッチング  

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ TOWNSCAPE 8
 
リニアモーターカー
 「リニアモーターカーが実用化されて、既に大阪の街の真ん中を毎日走っている」というと驚くでしょうか? リニアモーターカーというと、超伝導体の電磁石を使って、磁石の力で浮き上がり、時速500kmあまりの猛スピードで走る、あのリニアモーターカーを思い浮かべる人も多いでしょうから…。 でも、本当に大阪の街の真ん中をリニアモーターカーが走っているのです。 もっとも、超伝導体なんか使っていませんし、浮き上がることもなく、せいぜい時速70kmくらいしか出しませんが…。
 そもそも普通のモーターが回転するのに対して、リニアモーターというのはまっすぐ動くモーターというだけの意味です。 ですから、超伝導体を使わなくても、浮かび上がらなくても、遅くても、リニアモーターを使っていればリニアモーターカーなのです。
 そんなリニアモーターカーが走っているのは、大阪市営地下鉄で一番新しい線、長堀鶴見緑地線です(追記:その後開通した今里筋線もリニアモーターカーです)。 地下鉄の穴を掘るのに莫大な費用がかかるので、小さな穴ですむようコンパクトなリニアモーターが使われるようになりました。 他の地下鉄に使われている普通のモーターは大きく、車両の床下に収めようとすると必然的に車両が大きくなり、大きな穴を掘らなければなりません。 地下鉄の普通のモーターは科学館の4階に展示していますので、ぜひご覧ください。
 また展示場4階には「じ・し・ゃ・く」という展示があります。 ガラス板の下で磁石を動かすと、ガラス板の上のアルミニウムチップが動くという展示です。 アルミニウムは磁石につきませんが、磁石を動かすとアルミニウムに電流が流れます。 すると、アルミニウムが電磁石になったようなものですから、磁石に引き寄せられたり反発したりして動くのです。
 地下鉄のリニアモーターでは、車体下に並べた電磁石に流す電流の向きを順番に変えていくことによって、磁石を動かしているのと同じ効果を持たせます。 また、レールとレールの間にはアルミニウムのプレートが敷いてありますが、プレートは固定されているので「じ・し・ゃ・く」のアルミニウムチップと違って動きません。 代わりにその反作用で車両の方が動くというわけなのです。
 あなたはもうリニアモーターカーに乗ったことがありますか?


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