重力レンズで新惑星発見!
新発見の系外惑星(想像図)[ESO]

第2の地球にあと一歩!

 太陽系外惑星としては今までで最も小さな惑星が発見されました!

 この惑星の質量は地球の5倍で、太陽の5分の1という暗い恒星(地球からいて座方向に約2万光年離れた"OGLE-2005-BLG-390")の周りを約10年かけて公転しています。
 軌道から予測される惑星の表面温度は−220℃で、凍りついた死の世界でしょう。 しかし、発見の方法がユニークで、地球に似た惑星の探査への道筋が見えてきたのです。

 これまで発見された系外惑星は160個ほどで、そのほとんどは恒星のすぐ近くを回る木星サイズのものでした。 これはドップラー法という、惑星が恒星におよぼすわずかな重力ゆらぎを観測していたためで、大きく、近い惑星しか見つけにくいからです。

 それに対して今回の発見はマイクロレンズによってなされました。 "マイクロレンズ"は重力レンズの一種で、背後にある恒星の光が手前の恒星の重力作用によって増幅される現象です。
 もし手前の恒星に惑星があれば、恒星だけの場合に比べて特徴的な明るさの変化をします(木星サイズなら数日、地球サイズなら数時間)。 明るさの変化:惑星の存在によってコブができている[ESO]

 マイクロレンズが起きる確率(地球から見て2つの恒星がほぼ直線上に重なる確率)はごくわずかであり、 明るさの変化もごくわずか、短時間しか続かないため、24時間体制で多数の星を同時に監視する必要があります。

 今回の系外惑星は世界中の望遠鏡をネットワークでつないでマイクロレンズを監視するPLANETプロジェクトの一環として発見されました。
 マイクロレンズは惑星と恒星間の距離にはよらず、小さな惑星でも発見できるため、今後、さらに小さな地球サイズの惑星の発見に期待がかかります。

 今回の発見は第2の地球探しへの大きな前進、と言えるでしょう。


※原文は英語ですが
 ・ヨーロッパ南天文台
 ・ヨーロッパ宇宙局
 ・ハッブル宇宙望遠鏡
の各プレスリリースをご覧ください。

2006.1.26記(石坂

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