巨大ブラックホールのナゾをさぐる

宇宙初期にも巨大ブラックホールがあった!

 わたしたちの天の川銀河をふくめ、ほとんどの銀河の中心部には巨大なブラックホールがあると考えられています。  こうした銀河中心核の巨大ブラックホールの質量と銀河の質量には比例関係があることがわかっていますが、その理由はまだナゾです。
 
 今回、アメリカ航空宇宙局NASAのX線天文衛星チャンドラと、ハッブル宇宙望遠鏡HSTの共同観測により、宇宙初期に多数の巨大ブラックホールが存在することが明らかになりました。
 観測されたのは、チャンドラ深宇宙(南天)と呼ばれる領域で、宇宙誕生から9億年ほど(=約128億年前;赤方偏移6.5、距離に換算すると280億光年あたり)です。
 200個ほどの銀河が同定されましたが、その30〜100%に、巨大ブラックホールがあるらしいのです。 これが本当だとすると、現在発見されているクェーサーより10000倍も多いです。
チャンドラ深宇宙-南天‐([NASA/CXC/U.Hawaii/E.Treister et al/STScI/UC Santa Cruz/G.Illingworth et al/S.Beckwith et al])
 ただし、これらの巨大ブラックホールは、クェーサーの中心核の1000分の1程度の質量しかありません。

 巨大ブラックホール成長のメカニズムとしては銀河衝突が提案されています。
 宇宙初期の巨大ブラックホールの存在率が高いことから、銀河衝突によるガスの供給で全てのブラックホールが成長したのではなく、巨大ブラックホール同士の合体によって数を減らしたことも、重要なメカニズムである可能性があります。

 原文は英語ですがNASAのプレスリリースをご覧ください。

2011.6.21記(石坂

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