プランク衛星が迫る宇宙の歴史

宇宙背景放射がより精密に観測された

 ヨーロッパ宇宙局ESAのプランク衛星が、これまでになく精密に宇宙背景放射CMBの観測を行ないました。
 
 宇宙背景放射は「宇宙の晴れ上がり」すなわちビッグバン後38万年たって、宇宙が3000K(摂氏2700度)ほどに冷えた時代に宇宙を満たしていた光の名残です。 いわば、ビッグバンの生き証人です。
 
 宇宙背景放射は、宇宙の歴史(はじまりの時代)を教えてくれる非常に重要なものなので、その発見と観測に対し、これまでに2度ノーベル賞が授与されています。
 
 今回、プランク観測チームはのべ1年3ヶ月以上に及んだ観測の解析結果を発表しました。

 それによると、宇宙背景放射の場所ごとのごくわずかなムラ(強弱)など、これまでの観測結果と大まかな傾向では合致しましたが、強弱の度合いやそのスケールなどは理論的予想とずれていたようです。
 宇宙の構成要素の比率(通常物質:暗黒物質ダークエネルギー)も、これまでの4:23:73から多少値が変わり、5:27:68になりました。 これらの値から宇宙の年齢を計算すると、137億年よりも若干長く、138億年になります。

 こうしたプランク衛星の観測結果から導かれた宇宙論パラメータの変更は小さいように思えるかもしれませんが、宇宙の歴史の解明への大きな一歩です。
プランク衛星が観測した宇宙背景放射:色の違いは強弱を表わしている([ESA and the Planck Collaboration])

※原文は英語ですがESAのプレスリリースをご覧ください。

2013.3.24記(石坂

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