ホシ ヲ メグル センイチ ワ

 

星や天文にまつわる短いお話を1001話書こうと思います。スタートは2005年2月25日。ボチボチやっていきます。


公序良俗に反さないかぎり、配布・コピーは自由とします。出展を、小さくてもけっこうなので、明記してください。WEBに転載される場合は大阪市立科学館の渡部ページにリンクをお願いします。

大阪市立科学館 学芸員 渡部義弥

 

 

2016年9月15日 第110話 八面六臂、天文学者ハレー

第109話で登場した、天文学者エドモンド・ハレーですが、英国グリニッジ天文台の台長を勤めるほどの大物でした。ただ、科学帆船の船長だったこともふくめ、その業績があまり広く知られているとはいえません。

ここでは、斉田博さんの「星の年表」誠文堂新光社、という本に載っている、ハレーの業績をピックアップしてみます。え、それもハレーだったの? とちょっと私もびっくり。まさに、八面六臂の活躍ぶりです。

なお、斉田さんは、ハレーを「ハリー」と表記していて、こちらの方が原語に近いらしいのですが、ここではこれまでの本記事での表記にならってハレーといたします。

1656年10月29日 誕生 ロンドンの東の家は裕福な石鹸製造業者。

1676年(20歳) セントヘレナ島で、南天の天体を観測。当時、オックスフォード大学を中退。ちなみに師匠は、初代グリニッジ天文台長になるフラムスチード。

1677年(21歳) エータ・カリーナ星雲、オメガ・ケンタウリ星団発見

1678年(22歳) 金星太陽面通過を利用しての、太陽距離測定法を考案、発表。

同年、南天星表発表。この成果により卒業資格を得る。

1682年(26歳) 彗星の周期性の発見。後にハレー彗星とよばれる彗星の回帰で確認される。

1683年(27歳) 地磁気の研究。

1686年(30歳) 流星は太陽系の微少天体の地球への落下と推論。

1693年(37歳) 月の永年加速を発見

同年、屈折光学の法則発見。 1/f = 1/a+1/b 焦点距離 f と物体までの距離a、像までの距離b の関係

1695年(39歳) 地球自転速度の変化を発見

1699年〜1701年 科学帆船パラモア・ピンクの船長として大西洋の南北縦断調査航海を敢行。

1701年(41歳) 地磁気の偏角図を史上初めて作成。

1705年(49歳) 1682年の彗星が1758年に回帰すると発表。その位置などの計算結果も示す。

1708年(52歳) 流星は宇宙起源だと考える(1686年とかぶりますが、年表には両方記載されています)。

1715年(59歳) 日食でベイリーのビーズの最初の観測

同年 球状星団M13を記載

1716年(60歳) オーロラと電荷の関係を示唆

1718年(62歳) 恒星の固有運動発見

1720年(64歳) 宇宙は無限であるという説を発表。
同年、グリニッジ天文台長に就任(第二代)。

1721年(65歳) 金星は望遠鏡で弓形に見えるときに、最大光輝になることを発見。

1742年1月14日 没(満85歳) 現職のグリニッジ天文台長のまま死亡。死因は、ブランデーを飲んでそのまま事切れてしまったということだそうです。

2016年8月9日 第109話 科学帆船パラモア・ピンク(Paramore-Pink)とハレー船長

ハレー彗星の予言で有名な、イギリスの科学者エドモンド・ハレーは、グリニッジ天文台の第二代の天文台長(1720〜42年)であり、天文学者としての名声はゆるぎないものです。また、オックスフォード大学で40年に渡り教鞭をとった数学の教授でもありました。

しかし、彼が、船長として世界初の科学探査船パラモア・ピンク号を指揮して2年間の航海をしたことはあまり知られていません。

ハレーの仕事は、大西洋とイギリス海峡の地図作りでした。特に、大西洋は、1699年の航海で、イギリスからアルゼンチン沖の南緯53度まで南下し、1年間をかけて、ぐるりと巡りながら、地図を作成しました。

地図の作成には、天体観測が欠かせません。ハレーの専門はここに発揮されたのです。

この地図では、はじめて、地磁気の偏角が記入されていました。つまり、コンパスと実際の南北のズレがどこならどれくらいかが分かるようになっていたのです。これは「ハレヤン・ライン(Halleyan lines)」と呼ばれていました。

なお、ハレーの乗船パラモア・ピンク号は、世界初の科学探査専用の船でした。大西洋航海では、カナリア諸島、ケープベルデ諸島、フェルナンドデンロンハ、ケープフリオ、トリスタン・ダ・クーニャー、セントヘレナ、トリニダード、パラナンブコ、バミューダ−、ニューファンドランド島などを巡っています。

 

2016年8月4日 第108話 宇宙戦艦ヤマトのガミラス星人の地球攻撃に使われた「遊星爆弾」について

1974年に放送されたSFアニメ番組「宇宙戦艦ヤマト」は、衝撃的な内容でした。ガミラス星人の侵略攻撃により、人類が地球表面に住めなくなってしまうという内容でした。軍隊が負けたとか、そういうレベルではなく、海が干上がり、地球表面まるごとが、火星のように赤茶けた砂漠になるというものでした。

短時間に地球を火星のようにしてしまったのは、ガミラス星人の使った「遊星爆弾」によるものです。遊星といは惑星と同じ意味で使われていた言葉ですが、ここでは、小天体(それでも直径1kmとか)を次々に地球に落とすということを差していました。そして、その遊星爆弾の発射基地は、冥王星という設定でした。

ところで、1974年当時の太陽系の理解は、どうだったのでしょうか。太陽系には9つの惑星(冥王星をふくむ)がまわっており、そのほかに、火星と木星の間の軌道に多数の小惑星が発見されていました。また、木星と同じ距離に、アキレスとパトロクロス、ヘクトルいう小惑星が1906年〜1907年に発見されています。また、彗星のなかには、冥王星よりも遠くからやってくるものがあることが知られていました。

しかし、冥王星の近所からコントロールして小天体を落とそうにも、そんなにたくさんの天体があるのかな? という感じだったのは確かです。

ところで、彗星のなかには、ちょうど冥王星くらいの距離が遠地点の軌道を持つものが存在していました。また知られている彗星の軌道と分布を考えると、もともと冥王星くらいの距離に、彗星の巣ともいえるようなエリアがあることが考えられました。これがエッジワース・カイパーベルトでありました。当初は科学上の仮説だったのですが、後に1977年のキロンをはじめ(考えてみれば、冥王星や海王星の衛星のトリトンもそうだった)、1990年代から続々と、そのあたりにある天体が発見されたのです。

2012年にリメイクされたアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」では、このエッジワース・カイパーベルト天体が遊星爆弾に改造されるというシーンがありました。SFが未来を予見することがありますが、これもその一つと言ってもいいでしょう。

 

2016年7月24日 第107話 古代中国の渾天説

渾天説(こんてんせつ)は、蓋天説の後にでてきた中国の宇宙についての考え方です。紀元前2世紀ころに現れ、紀元2世紀ごろには、主流になっていきます。

蓋天説では、天と地が上下にありましたが、この渾天説では、大地が水に浮かび、その大地と水を巨大な卵の殻のような天が包んでいます。水の下にも天があるというのが斬新な考え方でした。

天体は殻のような天に沿って、昇ったり沈んだりします。これは、天球とよく似た考えであり、実際の天体の動きをよく説明できました。

このような卵の殻のような球殻が考えられたのは、天体の観察を渾天儀というものでできるようになったからです。渾天儀は、地球儀の枠だけのようなもので、天体の高度と方位を調べられます。それによると天体はいつも同じ時間に一定の角度を動いていくことがよくわかります。

そうしたことから、卵のような丸いものが我々の上も下もとりまいているという考え方が生まれたようです。

 

2016年7月24日 第106話 古代中国の蓋天説

天蓋付きのベッドというのがあります。お姫様が寝るような上に覆いがある、あれですね。

いまから2,000年ほど前、紀元前3世紀〜3世紀ごろの古代中国の人たちは、天空に実際に覆いがあり、そこに太陽や星がへばりついていると考えていました。これを天蓋ではなく、蓋天説(がいてんせつ)と呼んでいます。中国で、非常に古い起源をもつ宇宙構造論です。

蓋天説は、第一次と第二次があるそうです。第一次は天も地も平面、まさに天蓋ベッド。第二次は天も地も中心が高く周囲が低い、ドームのような曲面という形になっています。天の中心は北極で、太陽はその周りをまわります。ただ、季節によってまわる軌道が上下し、夏至は内衝、春分秋分は中衝、冬至は外衝をまわるとしていました。

いずれ、太陽も「沈む」のではなく、自分のいる場所から「遠ざかる」から暗くなるという考えになっていたのが面白いところです。

また、天のなかで、太陽や月が動くのは、天そのものは左へ行くが、太陽や月が右に行き天につられてやや左に行くという考え方でした。

蓋説は、日時計(ノーモン)の影から考えられた説だったとのことです。すなわち、南に行くと、影が小さいのは、太陽がより真上にくるからと考えたのだそうです。

2016年7月24日 第105話 質量が大きい恒星は短命

恒星の燃料は、質量の10%、だから質量が大きい、重い星ほど、たくさん燃料を持っているという話をしました。

ところが、質量が大きいと、燃費が悪くなるのです。それは中心部の圧力があがり、核融合の効率がよくなるからなのです。つまりじゃんじゃんエネルギーを出して、燃料をバカ食いするのですね。

そのバカ食い度合いは、質量の3〜5乗に比例します。大きな恒星だと3〜1乗とおだやかになります。

ですから、太陽の一生、燃料を使い尽くすのは100億年(100,0000,0000)程度なのですが、太陽の10倍の質量の恒星だと、この0が4つとれ、燃料が10倍で1つ増えて都合3つ0がとれますのでたったの1000万年になってしまいます。

逆に仮に質量が太陽の10分の1だと、0が5つ追加され、燃料が10分の1で1つ減って、都合4つ0が加わるので、一生は100兆年になります。

ただし、 あまり質量が小さいと、核融合反応そのものができなくなります。その限界は、太陽の質量の8%です。

2016年7月24日 第104話 恒星はその身体の10%までを自らを輝かせる燃料にする。

恒星が輝くのは、中心で水素の核融合反応がおこり、その熱によるものだということでした。水素がヘリウムになるなかで0.7%の質量がエネルギーに転換されるため、です。

恒星はほぼ水素でできています。一番身近な恒星の太陽の場合、78%が水素、20%がヘリウム、2%がその他の酸素や鉄などです。で、78%の水素ですがそれを使い尽くすことはありません。核融合をおこすには、恒星の中心あたりのような高温高圧な条件が必要だからです。

中心では核融合反応により、次第に水素が減り、ヘリウムばかりになります。そうなると、燃料切れで核融合反応はおこれません。

もっとも、他にも水素はいくらでもあるではないかといいたくなります。ところが外側の水素が中心部にまざることはないのです。中心部が反応しなくなると、中心がつぶれ、その周囲が反応するようになりますが、これは長くは持ちません。

そのため、恒星は大きさによらず、おおむねその身体の10%の質量までを核融合させると、そこで燃料切れになります。

つまり、質量が大きい恒星ほど、たくさんエネルギーを作れるということになりますね。

2016年7月24日 第103話 恒星を輝かせる水素核融合反応は、スゴイなパワーを発揮する。

自ら輝く星、恒星は、その中心で猛烈な熱が発生し、熱くなって輝いています。

この熱は、ほとんどの恒星では水素の核融合反応で発生しています。4つの水素が一つになって、ヘリウムへと変化(核融合)すると、その質量の0.7%が減ります。その分が、アインシュタインの相対性理論の式、

E=Mc^2  エネルギー=質量×光速の2乗

にしたがって、エネルギーに変換します。わずか0.7%ですが、光速(30万km毎秒)という非常に大きな数字が2乗のかけ算になっているのがポイントです。水素1グラムがヘリウムに核融合すると、6×10^11ジュールのエネルギーがでてきます。この量は、20万キロワット時ですから、ちょっとした発電所が1時間で作る電気エネルギーに相当します。また5〜8万戸の家の電力を1時間まかなうことができます。

2015年11月11日 第102話 特別な4つの1等星

夜空の星のなかで、特に明るい1等星は21個あります。そのなかで、4つの1等星は、特別に表が用意されます。しし座のレグルス、おうし座のアルデバラン、おとめ座のスピカ、そして、さそり座のアンタレスです。

この4つの1等星の共通点は何かというと、誕生日の星座(黄道12星座)の恒星ということです。

そしてこれらは、月によって隠される、星食がおこる恒星なんです。月は、白道といって、太陽の通り道の黄道より平均して±5度8分ほど南北にふれる経路を通りますが、そこまでいれても、上記の4つの1等星だけが星食をおこすことになります。

ちなみに、それぞれの黄道からの距離は次のようになっています。1回星食があると、月の軌道がゆっくり変化する関係で、何回も連続して星食がおこります。

特にアルデバランは5度と、白道がうねる頂上ふきんの変化が少ないところにあるため、連続して星食がおきやすい恒星です。

恒星
アルデバラン −5度28分

レグルス 0度28分

スピカ  −2度3分

アンタレス −4度34分

(参考)ポルックス 6度41分

2015年7月8日 第101話 世界一の1m望遠鏡

望遠鏡の性能をあらわすのに、光を集める対物レンズや反射鏡の直径をよく使います。大きなレンズや反射鏡は、それだけ暗い天体を観測できますから当然です。

ただ、レンズが大きくなると、本体も大きくなり取り回しがしにくいなど大変になってきます。1945年に、アメリカが反射鏡の直径が5mのヘール望遠鏡を作成。長い間、これを超える望遠鏡はありませんでした。旧ソ連が6mの望遠鏡を1970年代に製作したのですが、うまく動かせなかったということです。

その後、21世紀になると、8mや10mという望遠鏡が作られるようになります。コンピュータや制御技術の進歩で、機械ではうまくやれなかった微妙なコントロールができるようになったためです。現在では、30mの望遠鏡も建設がはじまっています。

ところで、世界一の望遠鏡の鏡はというと・・・ものによっては1mなんですね。実はこれは1mの望遠鏡を6台おいて、得られた光を「干渉」させ、全体として300mの望遠鏡に相当する性能を出すというものです。

2003年に本格観測をはじめた、ジョージア州立大学のCHARAがそれで、カリフォルニアのウィルソン山で活動しています。

この1m望遠鏡により、彦星の形が横に伸びていることがとらえられたり、しし座のレグルスの赤道が暗くなっていることや、巨大なガスの円盤が星を覆っていく様子をとらえることもできています。

CHARAのホームページには誇らしげに「世界で初めて!」こんなことができたというのが並んでいます。(2015年7月現在は下記の通り)

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First direct detection of gravity darkening on a single star (Regulus)
First direct measurement of the "P-factor" in the Baade-Wesselink method (δ Cep)
First detection of hot exozodiacal dust around a main-sequence star (Vega)
First model-independent measurement of an exoplanet diameter (HD 189733b)
First angular diameter for a halo population star (μ Cas)
First image of a single, main-sequence star (Altair)
First direct image of an interacting binary (β Lyr)
Shortest-period (1.14 days) binary star system yet resolved (σ2 CrB)
First image of a binary star system in eclipse (ε Aur)
Earliest measurements of a nova fireball after detonation (Nova Delphini 2013)

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