番組制作
当館ではプラネタリウム番組の制作も行っており、これまで様々な内容を取り上げてきました。
ここでは、これまでに私が携わったプラネタリウム番組をご紹介します。
新しいプロジェクターの明るさ、コントラスト、解像度の高さを存分に活かして、美しい天体映像をたっぷりお楽しみいただくプラネタリウム番組「宇宙美術館2022」。その中で紹介している天体についてくわしく解説する、第3回目です。
※「宇宙美術館2022」は、2022年8月30日(火)~11月30日(日)、絶賛投影中です!
2-4. 散開星団
ここまでは星雲について取り上げてきました。次に、全く異なる星団の世界へとご案内します。星団にもいくつか種類がありますが、その一つが散開星団です。数百から数千の星がゆるやかに集まる星の集団です。
日本において最も有名な散開星団は、やはり、おうし座のプレアデス星団、“すばる”ではないでしょうか。すばるは、地球から約410光年のところに位置し、大阪のような都会の空でも、すっきり晴れていれば肉眼で数個(5,6個)の星を見つけることができます。しかし実際には、1,000個以上の星が集まっており、これらの星々は同じ星雲の中で同じ時期に生まれてきた兄弟星たちです。散開星団は比較的若い星々の集まりであることが多く、すばるもまだ生まれて1億年は経っていないと考えられています。1億年と聞くととても長いように思いますが、太陽は生まれてから50億年ほど経っていることを考えると、星の年齢でいえば、まだまだ若い星たちということになるのです。
画像5. プレアデス星団
©NASA, ESA and AURA/Caltech
2-5. 球状星団
散開星団よりもさらに多くの星々が集まっているのが、球状星団です。数十万もの星がボールのように球状に集まっている星団です。
番組で紹介している球状星団の1つが、M15です。ペガスス座の方向、約3万5,000光年の彼方に位置する星団で、10万以上の星が集まっています。最も年老いた球状星団の1つで、最も古い星の年齢は約120億年です。宇宙の年齢は138億年ですから、非常に古い星が含まれていることが分かります。
球状星団は私たちのすむ天の川銀河(次ページの2-6.銀河を参照)に約150個見つかっており、その全てが天の川銀河の円盤内ではなく、周囲を包む領域(ハローという)に分布しています。
画像6. 球状星団M15
©NASA, ESA
( https://esahubble.org/images/heic1321a/ より )
続いては、銀河の世界へとご案内します。