プラネタリウム投影

天文担当の学芸員として最も大切な業務の一つが、日々のプラネタリウム投影です。

ここでは、投影にまつわる裏話をしていきましょう。


第1回:プラネタリアンになる!
2014年2月2日 更新

 プラネタリウムを投影する人のことを、プラネタリアン(planetarian)と呼びます。

 現在、当館にはプラネタリウムを投影する担当者、プラネタリアンは8名います。私は2010年4月末からプラネタリウム投影をさせてもらっています。

 当館ではプラネタリウム担当者になるために、およそ1ヶ月ほど研修期間を設けています。人によってはもっと早く研修を終えてデビューできる人もいれば、もう少しかかる人もいますが大体の目安としては1ヶ月ほどです。私は2010年4月初めから研修を開始し、4月末にデビューという形になりました。


 投影担当者は投影台(コンソールとも言います)で機械操作をしながらお話をします。一番最初に私がびっくりしたことは、プラネタリウムには本当にたくさんの機器があるということです。まずそれらの機器がどのように動いているのか、しくみを理解しなければいけません。ボタンの配置を覚え、操作の仕方を覚えていきます。

 もう一つ私がびっくりしたことは、当館ではプラネタリウムに決まったシナリオがないということ。担当それぞれが自分で話す内容を決めて、シナリオを作っていかなければなりません。研修中に各担当者の投影を見せてもらいましたが、話す内容やアプローチの仕方は人によってバラバラ。同じ話題とは思えないほど千差万別でした(それが当館の最大の特徴、強みともいえるところです)。機械操作に慣れる傍ら、話す内容を考えつつ覚える作業をしていきました。


 研修期間中は先輩学芸員さんにアドバイスをもらいながら、科学的に間違っているところや言い回しのおかしいところなどを修正していきます。全体の構成や流れも考えながら何度もシナリオを変え、そして覚えていく作業を繰り返していきます。星空解説がスムーズに出来るようになるまでけっこう時間がかかってしまいましたが、4月28日(水)、ついに館内職員のみなさんに見てもらう日がやってきました。いわば研修生最後の試験です。当日は一日中朝から落ち着かなく、もしかしたらデビューの日よりも緊張していたかもしれません。


 閉館後に試験が始まりました。投影中は緊張のあまり、ポインタ(星を指す矢印)を持つ手がブルブル震えてしまいます。落ち着け!と思えば思うほど手の震えがひどくなり、もうどうしようもありません。解説の途中、突然言葉につまったり、スムーズに操作できなかったりと、問題は山積みでした。みなさんから貴重なご意見もいただいて、本当にありがたいと感じると同時に、もっともっと練習しなければ!と強く感じた試験となりました。こうして、いよいよ4月30日(金)、デビューが決まったのです。


次回は、「デビューの日」についてご紹介します。