プラネタリウム投影
天文担当の学芸員として最も大切な業務の一つが、日々のプラネタリウム投影です。
ここでは、投影にまつわる裏話をしていきましょう。
今回は、ふだん皆さんにお見せしない投影の準備について、ご紹介しましょう。
☆投影台へ・・・
プラネタリウムが始まる15分ほど前、皆さんがプラネタリウムホールに入場されている間、その回の担当解説員はひそかに投影台へと向かいます。
投影台=コンソールとも呼んでいますが、ここにはいろいろなパソコンや機械があり、ボタンやフェーダがずらりとならんでいます。新人はこの機械操作も覚えていくわけですが、これが結構大変です。
①プラネタリウム機器の初期化
コンソールにならぶボタンには、いろんなプログラムがセットされており、そのうちの一つのボタンに機器を「初期化」してくれるプログラムが割り当てられています。
機器を全て一旦初期化するため、[リセット]ボタンを押し、投影を開始できる状態にします。また、投影中にどのボタンを使うか、ボタンを見ながら確認していきます。
②音楽の準備
当館では、投影中に流すBGM(音楽)は各担当者が自分で選んで決めています。私は、"太陽が沈む夕暮れのシーン"、"街明かりを消して満天の星にするシーン"、そして、"朝を迎える夜明けのシーン"の3つにそれぞれ違う音楽をかけています。CDプレーヤーを3つも使うので、時々どのCDの何番をかけるのか混乱する時もあります(落ち着いて確認するのですが、たまーに間違っちゃいます…)。
③念のため発生練習
これから45分間お話をする訳ですから、滑舌と声質をさっと確認しています。…投影開始前、コンソール近くのお客様は、もしかしたら"あえいうけこかこ"とか変な声が聞こえているかも知れません…汗
④スライドの準備、ワイヤレスマイクをセット
投影に使用する画像などのスライドを準備します。お客様が入場して来られているので、客層を見ながらどのスライドを出すか決めていきます。平日の夕方などは大体大人の方が多くなりますが、そういう時には少し踏み込んだ科学の話題を入れてみたり、ファミリー層が多い時は少しお茶目なスライドを入れてみたりします。
また、コンソールには卓上マイクとワイヤレスマイクがあります。私は自分専用のワイヤレスマイクを使っています。マイクの位置、向きなどを確認しながらセットします。
⑤ハンドポインターの点灯確認
ある意味、これは一番大切な確認事項かも知れません。プラネタリアンの必須アイテム、ハンドポインターです。ドームの星を指す矢印(⇒)を点灯させる機器のことで、お客様の目線を誘導していくものです。中身は電球なので、投影中に切れることもあります(いつ切れるか分からないのが怖い…)。もちろん、そのための予備ポインターはいくつか備えています。
次回は、いよいよ投影中のお話。果たして暗闇の中でプラネタリアンは何をしているのか?「投影中の裏話」をご紹介します。