プラネタリウム投影

天文担当の学芸員として最も大切な業務の一つが、日々のプラネタリウム投影です。

ここでは、投影にまつわる裏話をしていきましょう。


第2回:デビューの日
2014年2月20日 更新

 さて、研修最後の卒検を無事(?)終えて、いよいよ2010年4月30日(金)にデビューとなりました。この日がデビュー日となったのは、ゴールデンウィークに入るとお客様がたくさん来て下さるので、いきなり満席の中投影するのは緊張するだろう、という先輩学芸員さん達のありがたい配慮があったからでした。4月30日はGW直前の平日。午前中はさほどお客様も入らないだろうということで、11時からの投影を担当することになりました。


 と・こ・ろ・が・・・・!


 11時の回は、始まる直前になって、ほぼ満席の状態・・・!!小学校団体の子供たちと大人の方も多く入ってくださいました。今なら嬉しい局面なのですが、この時は余裕がまったくありません。『でえええー!話がちが~う!』と、お世話になった先輩学芸員さんに泣き言をいう始末・・・。

 それでも時間はやってきます。先輩方に見守られながら、投影の準備に入ります。めっちゃ緊張するかな?と思ったのですが、意外とへんな緊張はおそってきませんでした。準備をする間、気持ちはどこかふわふわしていたような気がします。いっぱいいっぱいだったのか、それとも嬉しいという気持ちが大きかったのか・・・・。

投影直前の最終確認中。


 そしてこのとき、私にとって忘れられない瞬間がありました。

 それは、お客様が入ってきたということです。私は今まで、閉館後に誰もいないドームで一人、投影の練習をしてきました。だから、「お客様」を目の当たりにしたのは、このときが初めてだったのです。

 おそらく小学校の遠足で来ていた子どもたちが、とても嬉しそうに笑顔でドームに入ってきました。その子供たちのわくわく感がドーム全体に広がっていくのを感じました。その空気が、私の緊張をどんどんほぐしていってくれたのです。

いざ、投影スタート!


 投影が始まると、私の言葉に一つ一つ子供たちが反応を返してくれます。本当に嬉しい瞬間でした。そうして子供たちとのやり取りを楽しんでいる間に、45分間の投影が終わったのです。やはりいっぱいいっぱいで余裕は全くありませんでしたが、このデビュー戦は私にとても大事なことを教えてくれた気がします。


 それから今日にいたるまで、日々勉強と反省を繰り返しながら投影をさせてもらっています。プラネタリウムでいかに星を楽しんでもらえるか、宇宙を感じてもらえるか―。より多くの人が天文や宇宙に興味を持って、楽しみながら学んでもらえるよう、プラネタリアンは今日も尽力を注いでいます。


 次回は、"果たして暗闇の中でプラネタリアンは何をしているのか?"、「投影台の裏話」をご紹介します。